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町田啓太、“平安F4”のシーンは「同窓会のような感じ」

シネマトゥデイ 映画情報 2024年11月17日 20時47分

 吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で平安中期の公卿、歌人の藤原公任を演じた町田啓太(34)。本作で公任は平安貴族社会の最高権力者となる藤原道長(柄本佑)、藤原斉信(金田哲)、藤原行成(渡辺大知)と並んで“平安のF4”として人気を博したが、道長との関係を中心にF4としての歩みを振り返った。

 公任は、関白・頼忠(橋爪淳)を父に持つエリート。道長とは同い年で少年期より斉信、行成らと共に出世のために切磋琢磨した。父が隠居したことによって後ろ盾を失い、一時は他の3人より出遅れるが最終的には正二位・権大納言へ上り詰めることとなる。一方で音曲、漢詩、和歌など文化面に秀でている。

 町田にとって大河ドラマへの出演は「西郷どん」(2018※小松帯刀役)、「青天を衝け」(2021※土方歳三役)に続いて3度目。演じる公任は第3回より登場。前2作に比べて格段に出演シーンが多く、撮影は1年半に及んだ。町田は「僕の中でとても比重は大きかったですし、どこにいても何か考えている節があったので、その意味ではずっと考えていた1年半だったなと思います」と振り返る。1年半にわたって公任を演じ続けると共に長髪をキープし、「こんなに伸ばしたことはない」とも。

 「僕は半かつらでやらせていただいたのですが、こんなに伸ばしたこともなかったので、キャストの皆さんがどんどん同じような髪型になっていくなかで、“どうケアしている?”“寝る時はどうしてる?”“夏は暑くて起きちゃうよね”と髪問題についてよく話していました(笑)。後半になって徐々に皆さん風貌が変わっていくのが少し寂しくもあって。髪型を見ながら終わりが近づいてくるのを感じるというのもなかなか不思議な感覚でした。ちなみに、ヘアメイクの際に藤原実資役の秋山竜次さんと隣になることが多かったのですが、物語が進むにつれて秋山さんの声が聞こえてきて。おそらく結髪部さんと共に気合いを入れられていたんだと思いますが、撮影シーンを重ねていくと同時に秋山さんと結髪部さんのそのやりとりを見るのもひそかな楽しみでした(笑)」

 公任は、少年期には道長をライバル視していたが、道長が出世し左大臣となってからは常に彼の味方となり支える立場に徹した。道長が強引なかたちで孫の敦成親王を東宮とした時も賛同していたが、第44回では「はたから見れば欲張りすぎだ」と道長に左大臣を辞するように促した。この時の公任の心境について、町田は解釈をこう語る。

 「あくまで僕の勝手な解釈なんですけど、公任は道長が頑張りすぎだと思っているのではないかと。何でもかんでも首を突っ込んで、しかもちょっといい顔をしながら、いろんな人の意見を全部聞いていたら回るものも回らなくなってくるだろうと。娘たちを入内させ、息子たちも跡継ぎとして育っているわけですから任せられるところは任せるべきだと。辞めるべきというのは、心配する気持ちが大きいのだと思いますし、あくまで敬意を持っての話だと思うんですね。あとは、なかなか道長に意見できる人がいないというのもあるのではないでしょうか。公任は旧友ですし、昔から割と言いたい放題な性格でもあったから、斉信、行成、(源)俊賢らとも話して、代表するかたちで公任が言ったんだろうと。なので、公任と道長の関係自体は変わっていないと思います」

 ところで、公任は斉信、行成、源俊賢(本田大輔)と共に一条天皇(塩野瑛久)を支えた四納言として知られているが、公任は4人の中でどんなポジションだったのか?

 「非常に難しかったですね。途中から俊賢さんという、とても能動的で情熱的な人が入ってきたこともあって。行成は帝と道長の板挟みで苦労もしていましたけれども本当に良く動いていましたし、斉信は一番いいとこ取りを狙っているような人だから、実務はどうだったのかと言われると、ちょっとクエスチョンなところがあるんですけれど、陰ではたくさん働いていたんだろうなと(笑)。公任は芸事の世界でも活躍していたことでも知られていますが、当時は公任と実資の仕事量が半端なかったようなので、俯瞰して物事を見て道長を支えられた人だったのかなと思います」

 “F4”が顔を合わせるシーンは、町田にとっても楽しみだったといい、とりわけ思い出深いシーンとして第30回で道長が開いた宴を挙げる。

 「序盤に比べて中盤はあまり一緒の場面がなかったのですが、道長主催の平安鍋パーティでは久々に込み入った話ではなくて、日常会話の感じでした。それぞれ歳を重ねていて、道長、公任、斉信は髭を生やしているんですけど、その時話していたのが“同窓会というか、同級生に久々に会うとこういう感じだよね”と。年齢を忘れてしまうと言いますか、青春期で時が止まっている感覚が不思議だねと。要所要所で集まるごとにそういう感覚で居られたのは、序盤でしっかり4人の関係を構築できたからかなと思いますし、心強かったですし、居心地が良かったです。4人で会うシーンはいつも楽しみにしていましたね」

 本取材日(10月21日)に公任の最後のシーンのリハーサルを終えたといい、「今ちょっとしみじみしてしまっていて。皆さんとだんだん“ありがとうございました”とお別れのご挨拶をする機会も増えてきていて、あぁ本当に終わるんだなって。公任として最後をしっかりと締めくくれるように、最後の最後まで考え続けながら演じたいと思っています」と残り少ない撮影の日に思いを馳せていた。(編集部・石井百合子)

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