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柄本佑がたどり着いた「光る君へ」道長とまひろの関係

シネマトゥデイ 映画情報 2024年11月25日 18時2分

 吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で平安貴族社会の最高権力者として語り継がれる藤原道長を演じる柄本佑。10月25日にクランクアップを迎え、本作の軸として描かれてきた主人公まひろと道長の関係を振り返った。

 平安時代に、のちに1000年の時を超えるベストセラーとなる「源氏物語」を生み出した紫式部の生涯を、大河ドラマ「功名が辻」(2006)や、吉高と柄本が出演したドラマ「知らなくていいコト」(2020・日本テレビ系)などラブストーリーの名手としても知られる大石静のオリジナル脚本で描いた本作。まひろと道長は初回、幼少期に出会い、まひろは下級貴族、道長は上級貴族と身分差がありながらも偶然の再会を繰り返し、道長はまひろと交わした「民のための政を成す」という約束を果たすために左大臣へと上り詰め、第44回では摂政も兼務するようになった。

 ドラマの中で特に注目を浴びているのが、まひろと道長の関係。とりわけ、まひろが道長の子・賢子を産むオリジナル展開は大きな反響を呼んだ。まひろがこの事実を道長に告げることはなく、果たして道長は賢子が自身の娘であることに気づいているのかと視聴者から強い関心が寄せられていた。第45回ではまひろが道長に大宰府に旅立つことを告げた際、初めて、賢子の実父が道長であることを告白した。柄本自身、演じるうえでこの点をどう捉えていたのか?

 「賢子に関しては、僕自身は気づくだろうと思っていたんですけど、演出の中島(由貴)さんは“とにかく道長は気づかないよ”とおっしゃっていました。1回、気づいているのかなというムーブがあったんですけど、“今のだとちょっと気づいている感じに見えるから、それはやらないで”みたいな指摘を受けることもあって。45回で、道長が大宰府に発つというまひろに“行かないでくれ”と言うんですけど、道長はとにかくまひろなんですよね(笑)。『光る君へ』の道長って、割とまっすぐというか少年のようなところがあって。(正妻の)倫子のところに行ったらこんなことになっちゃった、(もう一人の妻)明子のところに行ったらこっちはこっちでこんなことになっちゃった。内裏で寝ーよう! みたいな(笑)。結局、倫子とも明子とも向き合っていなくて、僕自身はマズいな~と思っていましたけど、台本でそうなっているからしょうがないなと思いながらやっていました(笑)。でも、そういったところが道長の大らかさに繋がればいいなとも思っていました」

 第45回では、道長の懇願もきかずまひろは「これ以上、手に入らぬお方のそばにいる意味は、何なのでございましょう」「ここらで違う人生も歩みたくなったのでございます」と大宰府行きの決意を固くする。その後、道長は体調が思わしくなく、ついに出家を決意。妻の倫子(黒木華)は「藤式部がいなくなったからですの?」と問うていたが、柄本は出家を決めた道長にこう思いを巡らせる。

 「まひろがいなくなってからすぐに出家してしまうので、もうそうとしか思えないですよね。ただ、道長は倫子に出家の理由を尋ねられた時に“休みたい”と言っているんですね。とにかく疲れ果てた、もう嫌だと。大石先生が素晴らしいと思うのは、そんな地に足がついた感じといいますか。まひろがいなくなったショックもあるでしょうし、政治的なこともあったりするんだろうけど、“休みたい”というセリフに行くのがとてもいいなと。いわば立派ではない道長を今回作っていただいたっていう感じですかね。そこに助けられたところもあります」

 なお、剃髪のシーンでは実際に自身の髪を剃っているが、柄本は「不思議な感じでした」と振り返る。

 「剃り始めた時は別にどうってことはなかったんです。ショリショリ剃られているなーという感じで。“あっ、剃っているんだ”と実感したのは、髪が降ってきて手の甲に触れたときです。そこから一気にグッときて。作品の中でそんな体験ができるというのは、とても不思議な感じでしたね」

 出世しても、年を重ねても、まひろを強く思う気持ちは変わらない道長。そんな道長を演じてきて、柄本がたどり着いたのは……?

 「演じるうえで意識していたわけではないですけど、今思うと道長は“対まひろかその他大勢”っていうことになっていましたね。大石先生もおそらくそう目論んで書かれていると思いますし、実際に“道長はまひろとのことになると周りが見えなくなる”というようなことが書かれていたりして。ト書きにそういうことが書かれているのは珍しいことで(笑)。僕が演技で迷わないよう書いてくださったのだと思いますが、とにかくそういうふうに書かれていたこともあり、自然に“とにかくまひろ”という形になっていましたね」

 まひろが道長の依頼で「源氏物語」を書くために内裏に上がって以来、道長はしばしばまひろの局を訪れては娘たちのことなどさまざまな悩みを漏らしていたが、柄本はそうしたところからも「まひろがいてくれるだけで心強いんじゃないかなと思います。そばに(存在を)感じられるだけで」と感じたという。

 「道長がまひろの局を訪れるところは、割と生き生きしていますよね。愚痴を吐いているけど、まひろの顔を見るとほっとする、安心するというか」と続けるが、第44話では本編からカットされるかたちになったが、台本には「用はない。おまえに会いに来ただけだ」という道長のセリフもあった。

 最終回まで残すところ3回。まひろは大宰府に行き、道長は出家と人生の大きな転機を迎えるが、それぞれどのような終着点を迎えるのか。(編集部・石井百合子)

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