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内田有紀『ドクターX』完結「まだ実感ない」城之内博美と向き合った12年間

シネマトゥデイ 映画情報 2024年12月6日 6時46分

 2012年に放送がスタートした国民的医療ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」が、『劇場版ドクターX』(全国公開中)で12年の歴史に幕を閉じる。第1シリーズから登場し、主人公・大門未知子(米倉涼子)の公私にわたる相方であり、信頼関係で結ばれているフリーランスの麻酔科医・城之内博美を演じた内田有紀が、作品やキャラクターへの思い、撮影現場での思い出を語った。

ウェットなムードは一切なかった

 シリーズを重ねるたびに「これで最後」と思いながら挑んでいたという内田は、今回も特別に気負うことなく撮影現場に入ったという。「よねちゃん(米倉)も内山(聖子エグゼクティブプロデューサー)さんも、『これで終わりにするよ』って感じでさっぱりしているんです。現場もいつも通りでカラッとしていて、ウェットなムードは一切なかったです」と明かし、「いつもすがすがしく、見終わったあとに爽快感があるドラマだったので、終わりもそうなんでしょうね。でもまだ、実感はないんです」と笑う。「きっと、たくさんの方が観てくださって、感想を伝えてくださったときにはじめて、寂しさとかホッとする感覚を味わうのかもしれません」

 今作では、岸部一徳演じる神原晶に大きな危機が訪れる。「台本を読んで、晶さんの過去に驚きましたし、広がりがあって読みごたえがありました。博美は、未知子&晶さん師弟の潤滑油の役割というか、彼女たちをいつも見守る感じでしたから、今回もそれをまっとうできたかなと思います。出演者全員がよねちゃんを支えて、よねちゃんに引っ張られて。いい相乗効果だったと思います」と内田は満足そうだ。

 断続的に同じキャラクターを長年演じ続けるのは、難しいものもあるはずだ。内田は今作の博美役はもちろん、「踊る大捜査線」シリーズでも篠原夏美を長く演じ続けている。「主人公だけではなく他のキャラクターに対しても『あの人はいまどうしてるんだろう』と観てくださった方が気になるような、脇役の人生までしっかりと描かれた作品はスケールも大きくなります。視聴率も動員数も上がるごとにみなさんが待ち望んでくださるような展開が生まれるから不思議だなと、それは『踊る』のときに感じていました。『ドクターX』も、まさしく観ていただいていたみなさんがキャラクターを作ってくださったんです」

 「私たちはみなさんのご期待に添いつつ、さらに深みを持たせたり、自分なりのエッセンスを加えたりしながら演じました。応援してくださっている方々に役を成長させてもらっていたので、役者としてとてもやりがいがありました。そういう役にはなかなか出会えることはないので、なんて幸せなんだろうと、その一言に尽きます。自分の役者人生に、本当に豊かな時間を与えていただきました」と内田は感慨深げに語る。「『ドクターX』はかけがえのない出会いでしたし、それを大事にしながらみんなでここまで走りきれたことが、一番の喜びでした」

医療の希望も詰まっている

 今作で描かれるのは、未知子のエピソードゼロであり、晶との出会いでもある。その分、初見の人でも見やすいと内田は言う。「未知子がなぜ諦めなくなったのか、なぜ人の命を救うことにこれだけ全力で向き合うのか、ということが本作によってお分かりいただけるかと思います。私自身、シリーズものだとどこから見るのかわからないなと思うほうですが、今作はむしろここから観て、以前のテレビシリーズに遡るほうが分かりやすいかもしれません。勿論、シリーズを楽しんでいただいた方へも見ごたえあるものになっていると思います」

 「誰もが思うことかもしれませんが、『未知子みたいなお医者さんがいたらいいのに』って私自身も思います。あれだけ患者さんの気持ちに立って、辛さや怖さを一緒に考えてくれるお医者さんが居てくれたら患者さんとしても心強いだりうし、医療の希望も詰まっていますよね」とにっこり。博美の麻酔と未知子の外科の腕さえあれば、安心して命を預けられるだろう。「2人がいたらきっと助けてくれると思うし、その諦めない気持ちを作ったのは晶さんだったという事が分かる映画になっていると思います。ぜひ劇場でその諦めない気持ちを体験してみてください」とアピールした。(取材・文:早川あゆみ)

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