「第79回毎日映画コンクール」の各賞ノミネート作品・者が19日に発表され、ジェンダーレスの観点から俳優部門における男女の区別を撤廃することが明らかになった。男優、女優両主演賞を「主演俳優賞」に、同助演賞を「助演俳優賞」に変更し、性別を問わずそれぞれ2人までを選出。スポニチグランプリ新人賞も男性・女性の区別を廃止して選考する。最多ノミネートは三宅唱監督・松村北斗&上白石萌音主演の『夜明けのすべて』の7賞、次点が『あんのこと』(入江悠監督・河合優実主演)と『悪は存在しない』(濱口竜介監督)のそれぞれ6賞となった。
毎日映画コンクールは 1946年(昭和21年)、日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された国内最高峰の映画賞です。演技、作品に加え撮影や美術、録音などのスタッフなど、幅広い部門を設けていることが特徴。各賞の選考は、第一線で活躍中の映画評論家やジャーナリスト、専門家など約80人によって行われる。
対象となるのは2024年1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された作品。なお、アニメーションおよびドキュメンタリー部門は、同期間に完成もしくは上映された作品が対象となっている。
最多ノミネートの『夜明けのすべて』は、瀬尾まいこの小説を『ケイコ 目を澄ませて』などの三宅唱監督が映画化。瀬尾自身のパニック障害の経験を基に、人には理解されにくい疾患を抱える男女の交流を描く。次点の『あんのこと』は、『SR サイタマノラッパー』シリーズなどの入江悠監督が、世界的パンデミックが起きた2020年のある日の新聞記事に着想を得て撮り上げた人間ドラマ。同じく次点の『悪は存在しない』は長野県の町を舞台に、地元の人々と、ある施設を計画する芸能事務所の軋轢を描くドラマで、第80回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した。
日本映画大賞は『夜明けのすべて』『あんのこと』『悪は存在しない』のほか、1館から上映規模を拡大し、週末映画動員ランキングのトップ5入りを果たしたインディーズ映画『侍タイムスリッパー』(安田淳一監督・山口馬木也主演)、今年カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞した『ナミビアの砂漠』(山中瑶子監督・河合優実主演)がノミネート。
俳優部門では石原さとみ(『ミッシング』)、上白石萌音(『夜明けのすべて』)、草なぎ剛(『碁盤斬り』)、草笛光子(『九十歳。何がめでたい』)、山口馬木也(『侍タイムスリッパー』)、横浜流星(『正体』)らが主演俳優賞の候補となり、河合優実は『あんのこと』『ナミビアの砂漠』でダブルのノミネートとなった。
発表は2025年1月下旬の毎日新聞、スポーツニッポン新聞にて、贈呈式は同年2月13日、めぐろパーシモンホールにて行われる。第79回毎日映画コンクールノミネート作品(者)一覧は下記の通り。(編集部・石井百合子)
作品部門
<日本映画大賞>
『悪は存在しない』
『あんのこと』
『侍タイムスリッパー』
『ナミビアの砂漠』
『夜明けのすべて』
<外国映画ベストワン賞>
『哀れなるものたち』
『オッペンハイマー』
『関心領域』
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
『人間の境界』
俳優部門
<主演俳優賞>
石原さとみ『ミッシング』
上白石萌音『夜明けのすべて』
河合優実『あんのこと』
河合優実『ナミビアの砂漠』
草なぎ剛『碁盤斬り』
草笛光子『九十歳。何がめでたい』
山口馬木也『侍タイムスリッパー』
横浜流星『正体』
<助演俳優賞>
池松壮亮『ぼくのお日さま』
奥平大兼『Cloud クラウド』
忍足亜希子『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
カルーセル麻紀『一月の声に歓びを刻め』
佐藤二朗『あんのこと』
藤竜也『大いなる不在』
山田孝之『正体』
吉岡里帆『正体』
<スポニチグランプリ新人賞>
栗原颯人『HAPPYEND』
越山敬達『ぼくのお日さま』
齋藤潤『カラオケ行こ!』
中西希亜良『ぼくのお日さま』
羽村仁成『ゴールド・ボーイ』
早瀬憩『違国日記』
山本奈衣瑠『SUPER HAPPY FOREVER』
スタッフ部門
<監督賞>
入江悠『あんのこと』
黒沢清『Cloud クラウド』
白石和彌『碁盤斬り』
濱口竜介『悪は存在しない』
三宅唱『夜明けのすべて』
安田淳一『侍タイムスリッパー』
山中瑶子『ナミビアの砂漠』
<脚本賞>
加藤正人『碁盤斬り』
野木亜紀子『ラストマイル』
濱口竜介『悪は存在しない』
港岳彦『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
安田淳一『侍タイムスリッパー』
和田清人、三宅唱『夜明けのすべて』
<撮影賞>
池田直矢『十一人の賊軍』
浦田秀穂『箱男』
奥山大史『ぼくのお日さま』
北川喜雄『悪は存在しない』
佐光朗『八犬伝』
月永雄太『夜明けのすべて』
<美術賞>
安宅紀史『Cloud クラウド』
磯貝さやか『雨の中の慾情』
今村力、松崎宙人『碁盤斬り』
沖原正純『十一人の賊軍』
佐々木尚『八犬伝』
林田裕至『箱男』
YANG 仁榮『ラストマイル』
<音楽賞>
石橋英子『悪は存在しない』
勝本道哲 『箱男』
佐藤良成(ハンバート ハンバート)『ぼくのお日さま』
Hi’Spec『夜明けのすべて』
安川午朗『あんのこと』
渡邊琢磨『Cloud クラウド』
渡邊琢磨『ナミビアの砂漠』
<録音賞>
浦田和治『碁盤斬り』
浦田和治『十一人の賊軍』
川井崇満『夜明けのすべて』
小清水建治『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
田中博信『ミッシング』
藤丸和徳『あんのこと』
松野泉『悪は存在しない』
ドキュメンタリー部門
<ドキュメンタリー映画賞>
『生きて、生きて、生きろ。』
『鹿嶋神社と大久保ー歴史と祭りと村の人々ー』
『うんこと死体の復権』
『WILL』
『あなたのおみとり』
『骨を掘る男』
『戦雲』
『正義の行方』
『その鼓動に耳をあてよ』
『マミー』 『五香宮の猫』
『どうすればよかったか?』
『吾輩は保護犬である』
『おらが村のツチノコ騒動記』
『大好き~奈緒ちゃんとお母さんの50年~』
『映画 ◯月◯日、区長になる女。』
『倭文 旅するカジの木』
『沖縄久高島のイラブー』
『94歳のゲイ』
『#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版』
『かづゑ的』
『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』
『りりィ 私は泣いています』
『フジヤマコットントン』
『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』
『拳と祈り -袴田巖の生涯-』
『いもうとの時間』
『江里はみんなと生きていく』
『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』
『アイアム・ア・コメディアン』
『かいじゅう』
『おまえの親になったるで』
『沖縄狂想曲』
『狂熱のふたり~豪華本「マルメロ草紙」はこうして生まれた~』
『燃えるドレスを紡いで』
『劇場版 再会長江』
『アイヌプリ』
『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』
『津島 -福島は語る・第二章-』
『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』
アニメーション部門
<大藤信郎賞>
『パーキングエリアの夜』
『私は、私と、私が、私を、』
『7:40』
『MAGICAL GIRL』
『ブルースのステップ』
『とても短い』
『ヤポラポンキー』
『ぽち桜』
『Painting』
『Bottle George』
『生の喜び生きる喜び』
『チュソクを準備しよう』
『ハコフグとみなまたの海』
『Garden of Remembrance』
『神々来々』
『トラペジウム』
『こまねこのかいがいりょこう』
『藍の約束』
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』
『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』
『ルックバック』
『ベルサイユのばら』
『i☆Ris the Movie - Full Energy!! -』
『Element』
『ファーストライン』
『数分間のエールを』
『クラユカバ』
『クラメルカガリ』
『私の横たわる内臓』
『孤』
『シノアリス 一番最後のモノガタリ』
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
『化け猫あんずちゃん』
『PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX』
『劇場版モノノ怪 唐傘』
『さざ波の少女たち』
『がんばっていきまっしょい』
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』
『ふれる。』
『Into a Landscape』
『きみの色』
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