清水茜の人気漫画を実写映画化した『はたらく細胞』(全国公開中)で免疫細胞の一つであるマクロファージ役を務めた松本若菜がインタビューに応じ、本作で挑んだ鉈(なた)アクションの裏側や、飛躍の年となった2024年の活動について語った。
本作は、累計発行部数1,000万部を突破する人気漫画「はたらく細胞」とスピンオフ「はたらく細胞BLACK」を原作とするファンタジー。赤血球(永野芽郁)、白血球/好中球(佐藤健)といった人間の体内ではたらく擬人化された細胞たちの活躍を描く。松本が演じたマクロファージは、細菌などの異物を捕らえて殺し、抗原や免疫情報を見つけ出す役割を担うと共に、幼い赤血球たちを導く“育成係”としても活動する。
戦闘モードとの切り替えを意識
自身の姪が「はたらく細胞」を読んでいたという松本は、「原作を読ませていただき、アニメを拝見して、本当に幅広い世代に愛されている作品だと思いました。私自身も作品にのめり込んだので、実写版に参加できてすごく嬉しかったです」と本作出演の心境を明かす。
マクロファージは、メルヘンチックなビジュアルとは裏腹に、戦闘モードに入れば巨大な鉈を振り回し、外敵を木っ端微塵に蹴散らすキャラクター。メガホンを取った武内英樹監督からは「戦闘シーンになったらガラッと変わってほしい」というオーダーがあった。「原作だとニコニコ笑いながら鉈を振り回す感じですが、(実写版は)ガラッと変える。キャラ変ではありませんが、パッと切り替えて、鋭い視線で(敵を)斬った方がカッコよくなると、監督からお話しがありました」
「原作のマクロファージにビジュアルを近づけたい」というこだわりがあった松本は、扮装統括・衣裳コンセプトを担当した柘植伊佐夫の設定画を参考に、スタッフとメイクの濃さやドレスの可動域の微調整を行った。また、マクロファージの独特なボイスは「アニメ版のマクロファージさんの声からインスピレーション受けて、自分なりに寄せて演じています」とアニメ版声優・井上喜久子の声を研究してつくったことを明かした。
鉈アクションは「カッコよくかつ美しく」
『はたらく細胞』は、白血球をはじめとする細胞たちの迫力あるアクションも見どころの一つ。アクション監督には、『るろうに剣心』シリーズで佐藤とタッグを組んだ大内貴仁が就任。松本も、これまで経験したことがない本格アクションに挑戦している。
アクションシーンは過去にも経験したことがある松本は、「アクションは絶対にあると聞いていました。原作を読んでも、鉈を振り回すイメージが強かったので、自分もやらなければという気持ちで臨みました」と振り返る。マクロファージの武器である鉈は、アクション用に軽量化されてはいるものの、実際に持つとかなりの重さを感じたという。「鉈が重たいので、遠心力の影響で引っ張られてしまいます。ワイヤーをつけた状態でのアクションだったので、回転する時にドレスのフリフリ部分が合わさって、カッコよくかつ美しく見えるようにというのは、大内監督もお話しされていました」
本番に向けてアクション練習を重ねた松本は、筋トレとアクションで使う筋肉は全く違うということに気づいた。巨大な鉈を持つ腕の筋肉を鍛えるために、松本は別作品の撮影で一緒だった山下智久から助言をもらっていた。「山下さんと別作品の撮影でご一緒していた時に、『どうやったら腕の筋肉ができますか?』とお聞きしました。筋肉が美しい山下さんは『こうすればいいですよ』とアドバイスをしてくださいました」
2025年も「焦らず、驕らず、丁寧に」
『はたらく細胞』では、デビュー作「仮面ライダー電王」(2007~2008)で姉弟役だった佐藤と久々に作品で再会したことも話題になった。松本は「17年経つとお互いの環境も変わっていますし、会っていない時の方が、当時の感覚はあるかもしれないです。実際お会いするとお互い大人ですし、話す内容も変わっています」と時の流れを感じているものの、「彼が出ている作品があると、純粋に応援したいなって思いがあります。それは、姉弟役をやっていたからということもあるかもしれません」と「電王」当時の関係性は今も忘れてはいない。
2024年は『はたらく細胞』をはじめ、ドラマ「西園寺さんは家事をしない」「わたしの宝物」と2クール連続で主演を務めるなど、松本にとって飛躍の年となった。「GP帯でのドラマ主演は自分にとって初めての挑戦でした。松本若菜を主演に起用しようと思ってくださった制作陣のみなさんも挑戦だったと思うので、その方々の期待を裏切ってはいけないという気持ちで、特にこの半年間は突き進んできました。いろいろな経験をさせていただけましたし、自分の中で挑戦の一年だったと思います」
『はたらく細胞』が劇場公開されて迎える2025年、松本に来年の目標を聞いてみると「焦らず、驕らず、丁寧に」と回答した。「ここ数年ずっと掲げてきたことです。それを来年もマイペースに、継続していきたいとに思っています」(取材・文:編集部・倉本拓弥)
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