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昭和特撮アクションを支えた「大野剣友会」レジェンド集結に海外ファンも熱視線 変身ポーズ秘話など貴重エピソードに沸く

シネマトゥデイ 映画情報 2025年1月30日 18時2分

 「仮面ライダー」「秘密戦隊ゴレンジャー」をはじめとする数多くの特撮番組でアクション、スタント、スーツアクターなどを担当してきた「大野剣友会」のメインメンバーが集結した「超・大野剣友会祭り」が25日に「LOFT9 Shibuya」で行われ、岡田勝、中屋敷哲也、河原崎洋央、上田弘司、中本恒夫、若狭新一、小泉豊、城谷光俊、福沢博文らレジェンドメンバーが一堂に会した。この日の司会は、大野剣友会OBでもあるスタント・コーディネーターの MICHI YAMATO が担当した。

 この日は、「仮面ライダー」の蜘蛛男を演じ、その後殺陣も担当した岡田。昭和仮面ライダーのスーツアクティングを務めた中屋敷ら主演級のスーツアクターをはじめ、アクション界のレジェンドが集合。昭和特撮アクションの雄姿を体感できる貴重な機会ということで、チケットは即完売で会場は超満員。国内の遠方からの参加者はもちろんのこと、海外からも台湾、香港、アメリカなどからの参加者も見られるなど、注目の高さがうかがい知れた。

 オープニングでは、出演者がひとりずつ登場し、それぞれが担当したヒーローの名乗りを披露。会場は早くも興奮のるつぼに包まれ、大喝采となった。ちなみにこの日は、長きにわたり戦隊レッド役を務めた新堀和男も参加予定だったが、腰痛の悪化のため残念ながら欠席。「皆さん新堀です。剣友会と今日来てくれたみんなに会いに行くつもりだったけど、腰が痛くて痛くて……ちょっと行けそうにないんだよなぁ。悪いな。休んで治しておくからまた今度会おう。今日は剣友会のみんなのことを頼んだぞ!」というメッセージが読み上げられると会場から温かな拍手が送られた。

 大野剣友会は、1964年に大野幸太郎が設立。このメンバーの中で最初に大野剣友会に参加したという中屋敷は「(岡田より)4か月早い!」と明かして会場を沸かせると、当時の大野剣友会の先輩たちの印象について「顔が怖かった。まぁ俺も負けてないけどさ」と振り返って会場は大笑い。そして4か月後に岡田が入会することとなり、「兄弟みたいなもんだよね。先輩たちは怖いし、同期が来たのは救いだよね。怒られる時はふたり一緒に怒られような、と言い合う感じだった」という。

 一方の岡田は当初、大野剣友会入りを断っていたという。「1年間断ってましたよ。だって俺、スターになろうと思ってたからさ」と冗談めかした岡田は、「しょせん無理だったけどね。ただ中屋敷さんは先輩だよ。年も上だし、この人も怖かったからね」と笑顔で振り返った。

 大野剣友会が本格的な現代劇アクションを手がけたのは1969~1971年に放送されたドラマ「柔道一直線」(TBS)だった。しかし、当時の話を2人に聞こうとするも「覚えてないなぁ」。その理由として「『仮面ライダー』とか『柔道一直線』に入ってから2年間は仕事がないわけだから。あの時はどうでした? と言われても、けいこをしていた思い出しかない」という中屋敷。実は岡田によると、「柔道一直線」の前にも、剣友会の先輩たちと一緒にドラマ「キイハンター」「日本剣客伝」などに参加していたという。そんな「柔道一直線」の現場も、「何にも考えてない。朝入って、おはようさんってなもんだよな。だからとにかく余裕がない。無我夢中にやるしかなかったね」と振り返ると、中屋敷も「そうそう!」と深くうなずいていた。

 その後「仮面ライダー」の現場に入ることになるが、中屋敷は、面をつけて芝居をすることに「嫌だったね」と正直な思いを告白する。「役者になりたくて入ったのに、顔を隠してやりたいとは思わなかった。今の若い子ってスーツアクターにあこがれて、そういうものをやりたいという人はいるみたいだけど、俺たちの時代は誰もいなかった。それは仕事としてギャラをもらえるから。そんなスタートだよね」。

 とは言いながらも、大野剣友会のメンバーたちは、視聴者を楽しませるために、命がけのアクションに取り組んでいた。その中のひとつとして、仮面ライダーV3が、50メートル近い煙突の上でポーズを決めるという、伝説のシーンの話題となると「やはり仕事として受けている以上は、『やりたくない』『断ろう』なんてのは一切なかった」と中屋敷。大野剣友会としての誇りをもって取り組んだという。

 仮面ライダーの変身ポーズを作り出したのは技斗を担当した高橋一俊だったが、この日は、その土台を作ったのは岡田なのでは? という指摘も。しかし岡田は「それはカシラ(高橋一俊)。『仮面ライダー』に変身ポーズがあるらしいぞと言うので。『柔道一直線』のポーズをいくつかやってみせたら、カシラがこうか、こうか、という感じでやってみて。それで『分かった。考えてみる』って考えて。5種類か10種類か持ってった中から決まったもの」と証言。となると変身ポーズは高橋と岡田のディスカッションで生まれた……? というさらなる指摘には、「すべてカシラが考えたということでいいの。俺なんかどうでもいい」と気持ちよく笑う岡田だった。

 その後も特撮の撮影の貴重な裏話が次々と飛び出し、熱心に耳を傾けていた観客。この盛り上がりに司会のMICHIも「世界中から来てくださって本当にありがとうございます!」と感激の表情だった。

 なお、この日のイベント終盤には岡田が体調を崩し中座するというアクシデントがあった。運営元にその後の岡田の様子を尋ねたところ、「岡田さんは脱水症状だったようですが、今は元気です」とのことなので、まずはひと安心だ。(取材・文:壬生智裕)

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