2025年1月5日にスタートとなる横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)。本作では貸本屋から身を興し、江戸のメディア王へと成り上がっていく主人公・蔦屋重三郎(横浜)と、彼が見出していく喜多川歌麿、山東京伝、葛飾北斎、曲亭馬琴、十返舎一九ら名だたる絵師、作家たちのエピソードへの期待に沸いているが、蔦重を取り巻く美しくも哀しい女郎たちの生きざまも大きな見どころ。大河ドラマ初出演組が多く名を連ねる、女郎を演じるキャストたちを振り返ってみた。
大河ドラマ第64作となる本作は、貸本屋から身を興して書籍の編集・出版業を開始し、のちに江戸のメディア王として時代の寵児となった蔦屋重三郎(横浜流星)を主人公にしたストーリー。脚本を大河ドラマ「おんな城主 直虎」、NHKドラマ「大奥」シリーズなどの森下佳子、語りを綾瀬はるかが務める。
女郎の世界も格差があり、吉原の老舗女郎屋・松葉屋を代表する女郎・花の井を演じるのは、大河ドラマ初出演となる小芝風花。幼い頃に親に売られ、蔦重とともに吉原で育った幼なじみであり、とある理由から長らく途絶えていた伝説の花魁の名跡“瀬川”を継ぎ、その名を江戸市中にとどろかすこととなる。ドラマの公式SNSでは花の井が高下駄で八文字を描きながら練り歩く様子などが見られる。
同じく大河初出演となる久保田紗友は、花の井の先を行くトップの「呼出」である松葉屋の松の井に。「呼出」は当時最高級の遊女であり、客からの指名を受けると禿(かむろ)や振袖新造(ふりそでしんぞう)を従えて引手茶屋まで客を迎えに行く花魁道中を行った。
その「呼出」の下のランクに当たる「座敷持ち」のうつせみを演じるのが小野花梨。小野も大河初出演。「座敷持ち」は、客を接待するための座敷を持つ中堅の遊女。花魁道中は行わないが、禿や振袖新造がついて身の回りの世話をする。松葉屋で働くうつせみは、とある出会いがきっかけで人生が大きく変わることになる。
同じく「座敷持ち」として玉屋で働く志津山に、大河初出演の東野絢香。蔦重が初めて作る本「一目千本」にも登場。「一目千本」とは吉原の店や遊女から協賛金を集め、吉原名うての遊女たちを花に“見立てて”紹介する限定本のことで、志津山は「葛の花」として見立てられる。
そして、吉原の新興勢力・大文字屋の遊女・誰袖(たがそで)に大河初出演の福原遥。禿上がりの振袖新造の時には「かをり」と名乗り、蔦重に片思い。吉原を代表する花魁に成長してからは、老中・田沼意次(渡辺謙)の懐刀ともいえる勘定組頭を務めていた幕臣・土山宗次郎に祝儀を含めて1200両という莫大な金額で身請けされ、江戸中にその名を広めることとなる。しかし、その金の出所についてある疑惑が生まれ、吉原と江戸幕府、蔦重と誰袖の人生を揺るがす大事件へと発展していく。
最下層の遊女屋「河岸見世」(二文字屋)に転落したちどりに、大河初出演の中島瑠菜。「河岸見世」には、年齢や病気、愛想のなさなどさまざまな理由で行き場を失った遊女たちが集まる。なじみの客でかろうじてにぎわう老舗妓楼に比べ、市中の岡場所(非公認の遊郭)に客を取られ、客足の遠のいた河岸見世では常に貧しさと病が蔓延している。
かつては松葉屋の高級女郎だったのが、体を壊し「河岸見世」に身を落とした薄幸な朝顔に、愛希れいか。愛希も大河初。幼少期の蔦重と花の井に赤本(子ども用の絵本)を読み聞かせ、蔦重が本の世界の楽しさ、面白さを知るきっかけとなった。
そのほか、映画『花宵道中』(2014)で花魁役で主演を務めた安達祐実が、吉原の女郎屋「大黒屋」の女将りつ役で出演。映画『吉原炎上』(1987)で最下層に転落する女郎を演じたかたせ梨乃が、行き場のない遊女たちを抱える河岸見世「二文字屋」の女将に。水野美紀が、代々瀬川という伝説の遊女を輩出する老舗の松葉屋の女将・いねを演じる。(編集部・石井百合子)
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