俳優の長塚京三が18日、都内で行われた主演映画『敵』の公開記念舞台あいさつに登壇し、本作が公開前から国内外で高い評価を得ていたことに本音をこぼした。この日は、瀧内公美、松尾諭、松尾貴史、吉田大八監督も来場。登壇予定だった黒沢あすかは、体調不良のため欠席した。
本作は、筒井康隆の小説「敵」を実写化したドラマ。妻に先立たれた元大学教授・渡辺儀助(長塚)が徹底した自己管理のもと穏やかな生活を送る中、ある不測の事態に襲われる。
客席を見渡す長塚は「こういう方たちに観てもらいたいな……という方たちで本当に幸せなことです。ありがとうございました」と感謝の言葉を伝える。公開前から第37回東京国際映画祭で3冠(東京グランプリ・最優秀男優賞・最優秀監督賞)に輝き、アジア全域版アカデミー賞である第18回アジア・フィルム・アワードで6部門(作品賞・監督賞・主演男優賞など)にノミネートされるなど、国内外の多数の映画祭で高い評価を得ていることについては「前評判というのはプレッシャー以外の何物でもないですけど、正しくカミングアウトできたかな? というところですかね。だったらいいなと思います」と打ち明けた。
また「『春になれば花も咲いて、またみんなに会える』という大変好きな台詞があるんですけど、僕はこの作品は一度死んでみて巻き返してみようかな……という話だと思います。(儀助が)“花咲かじいさん”みたいな生き方に生まれ変わっていくんじゃないのかな? という風にも考えられるので、必ずしも悲劇的なお話とはとらえていません」と自身の見解も述べた。
作品にちなみ、将来のためにやりたいことを問われると、長塚は「フランス語をブラッシュアップしようかなと思います」と返答。フランス・パリのソルボンヌ大学に通っていたことがあることから、MCが「ソルボンヌでお勉強されていて。そこからさらにですか?」と向上心に驚くと、長塚は「冗談ですけどね」と笑い、会場を和ませた。
吉田監督は、コロナ禍でいろいろな仕事がキャンセルされて家にいた頃に本作の企画がはじまったため、「撮影ができるのだろうか?」と不安を覚えていたことを振り返りつつ、「東京国際映画祭で賞をいただいたり、こうやって華やかにたくさんの観客の前で初日を迎えられて、まだ夢なんじゃないかな?」と喜びの胸中を明かしていた。(錦怜那)
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