歌手・女優の生田絵梨花が、松本清張原作のNHK特集ドラマ「天城越え」で主演を務めることが明らかになった。NHK BSプレミアム4K で5月10日(19:30~20:59)、BSで6月14日(21:00~22:29)、BS8Kで3月23日(21:00~22:29)に放送される
「天城越え」は、ある遊女と14歳の少年の天城峠を越える旅で起きた殺人事件と、30年にわたり事件を追うベテラン刑事を描いたミステリー。
昭和31年、静岡県の印刷業者・望月次郎は、定年間近の刑事・田島から、過去の土木作業員殺害事件に関する捜査資料の印刷を依頼される。その事件には、少年時代の次郎と初恋の女性である遊女・大塚ハナが関わっていた。手に手をとって天城峠を越えた、少年にとって数時間の恋。夢のような時間のあと、自分と別れたハナは土木作業員を殺し、逮捕される。田島の強引な取り調べに殺害を自供したハナ。だが、その自供は極めて不自然であり、まるで誰かをかばっているかのようだった。
生田が演じるハナは、伊豆・修善寺の遊郭にいた遊女。負けん気が強く、同僚や客とのトラブルが絶えなかった彼女は、店を抜け出して天城峠を越えようとする。茨城の寒村で生まれ、貧しさゆえ、12歳にして吉原の女郎屋へ下働きに売られた彼女は、その後、伊豆へ逃亡するも、不器用な性格が災いし、男にだまされたり人に裏切られたりの連続。絶望のなか、天城越えの途中で少年時代の次郎と運命の出会いを果たし、彼の純粋な瞳に胸打たれ、その未来に思いを馳せる。だが、ささやかな幸福も束の間、殺人容疑で捕まってしまう。警察の取り調べに対しても強情で、無実を主張し続ける。
映画化を含め、これまで幾度も映像化されてきた不朽の名作。主演の生田は「ここからまだまだ葛藤の日々になるかと思いますが、全身でぶつかっていきたいです。楽しみにしていていただけたら嬉しいです」と意気込みを語っている。
脚本は、NHK連続テレビ小説「マッサン」「ちむどんどん」などの羽原大介。演出は「団地のふたり」「正直不動産2」などの金澤友也が担当する。キャスト・スタッフのコメントは以下の通り。(編集部・入倉功一)
生田絵梨花コメント
「天城越え」の大塚ハナ役のオファーをいただき、過去作品を拝見したとき、自分に務まるだろうかと少しこわくなりました。ハナの生きてきた境遇や心の内を、令和に生きる自分がどれだけ想像しきれるだろうかと思ったのです。
ですが、クランクインする前にスタッフの皆さまと話し合いを重ねられたこと、そして初めて扮装を纏ってカメラ前に立った時、監督から「ハナだ」と言っていただけたことで、抱えていた心配を拭ってスタートを切ることができました。
ここからまだまだ葛藤の日々になるかと思いますが、全身でぶつかっていきたいです。
楽しみにしていていただけたら嬉しいです。
脚本:羽原大介コメント
この度、松本清張の名作「天城越え」ドラマ化脚本を執筆する機会をいただき、大変光栄に思っております。同作品の映像化は今回で四度目となります。かつて「黒革の手帖」の脚本を担当させていただいた経験を活かし、「人間の業」を骨太に描いた原作の骨格はそのままに、過去の素晴らしい映像作品に敬意を表しつつ、新たな視点と解釈を加え、視聴者の皆さまに新たな感動をお届けできるよう努めました。
生田絵梨花さんをヒロインに迎え、どんな新しい令和の「大塚ハナ」が生まれるのか、私自身とても楽しみにしております。
どうぞご期待ください。
演出:金澤友也コメント
昨年、劇中で石川さゆりさんの「天城越え」を何度も歌うドラマを撮影していました。そして、今年はこの松本清張の「天城越え」を演出させていただくことになりました。大変、深い縁を感じております。この作品は大正~昭和の時代の物語ですが、そこに込められた思いは現代にも通じるものだと思います。天城トンネルが今も昔も変わらず在り続けるように、ずっと変わらず愛され続ける「天城越え」を新しい形でお届けします。
制作統括:黒沢淳コメント
ドラマや映画の仕事を志したら、いつかやってみたいと誰もが願うのが、松本清張先生原作の映像化です。特に「天城越え」は、私にとってずっと憧れの存在でした。このせつないせつない至高のラブストーリーは、まさに聖域でした。
思春期手前の少年が、美しい大人の女性に恋をして、かりそめの間、共に旅路を歩んだ・・・それは少年にとって、一生忘れられない初恋の記憶であり、目覚めの瞬間であり、運命の分岐点でもありました。
ーー画像も言葉も自由自在にデータ保存できて、膨大に膨れ上がり氾濫している今の時代。「消えない記憶」の尊さを、改めて実感していただけましたら幸いです。
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