コップ1杯で豊富な栄養を手軽に摂れる牛乳。学校給食でも定番ですが、子供にとって牛乳は「飲んだ方が良い」ものなのでしょうか。
注目すべきはカルシウム!
成長期に摂りたい栄養素の中でも、特に大切なものの1つが「カルシウム」です。強い骨や歯を作り、筋肉の収縮や神経の安定にも関わるカルシウムですが、実は1日の必要量を満たすのがなかなか難しく、不足しやすい栄養素。
そこで子供たちの重要なカルシウム源となっているのが牛乳です!カルシウムは様々な食材に含まれますが、牛乳は1回の摂取量が多いこと、体内でのカルシウム吸収率が良いことから「効率の良いカルシウム供給源」とされています。
例えば、牛乳コップ1杯(200cc)で、小学校高学年の1日のカルシウム必要量(600mg)の約40%をも摂取することができます。(※1)給食などで牛乳を毎日飲むことは、子供が健康に育つために欠かせないカルシウム摂取において、大きく貢献している習慣なのです。
牛乳を飲まない場合に気を付けたい栄養バランス、代用食品は?
好き嫌いなどで牛乳を飲まない場合は、まずカルシウム不足に注意が必要です。カルシウムが豊富な食材は、牛乳と同じ乳製品のヨーグルト、チーズ。魚ではしらすなどの小魚、ししゃも、桜えび。野菜では小松菜、水菜、切り干し大根。豆類では木綿豆腐、納豆、厚揚げ、高野豆腐。海藻類ではひじき、わかめなど。これらを食事や間食に取り入れるようにしましょう。
また、牛乳は良質なタンパク質源でもあります。タンパク質は体を作る土台となり、カルシウムと同様に子供の成長に欠かせません。赤身の肉・魚、卵、大豆製品などから、タンパク質の摂取も心がけましょう。
牛乳でお腹が痛くなってしまう場合の対処法は?
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまうという方、これは牛乳に含まれる乳糖を分解できず下痢などを引き起こす「乳糖不耐症」と言い、体質的なものです。
対処法としては、牛乳を一気に飲まずゆっくり少量ずつ飲むこと、胃腸に冷たい刺激を与えないよう温めて飲むことで緩和が期待できます。症状の重い方は、まずは少量の牛乳をココアなどに入れて飲む程度にし、慣れたら徐々に量を増やしていきましょう。市販品の乳糖不耐症用の牛乳を用いるのもおすすめです。
牛乳は絶対に飲まなければいけないものではありませんが、成長期の栄養補給源として優れた飲料です。子供の好き嫌いや栄養バランスなどを考慮しながら与え、元気な体作りをサポートしてあげましょう。
(テキスト : 管理栄養士 板垣 好恵)
(※1)『厚生労働省』「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
『文部科学省』「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」