季節の変わり目になると風邪をひいたり、身体がだるくなったり、何らかの不調を感じるという方も多いでしょう。日本では昔から「季節の変わり目は体調を崩しやすい」とされていますが、そこにはどのような背景があるのでしょうか。
季節の変わり目に体調を崩す原因の一つとして、気温の変化が大きいことがあげられます。寒暖の差が大きいと自律神経が乱れやすく、そのため体調を崩しやすくなるのです。
自律神経とは、呼吸や血液循環、消化、吸収、排泄、体温調節など、人間の生命機能をコントロールしている神経のことです。この自律神経には、交感神経と副交感神経という、対象的な働きをしている2種類の神経があります。
交感神経は、心身を活動させるための神経で、主に日中働きます。一方、副交感神経は、緊張をゆるめ、心身を休息させるための神経で、リラックス時や睡眠時に働いています。通常は交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで成り立っていますが、激しい寒暖差によりこの2つのバランスが乱れ、さまざまな不調を引き起こすのです。
季節の変わり目の日本の食文化
また、昔から季節の変わり目が注目されてきた理由としては、日本人が生活の中で年中行事を大切にしてきたことが関係していると考えられます。四季や季節に伴う行事やその食事があるときっと気づいていますよね。
年中行事は「ハレの日」とも呼ばれ、食卓には普段にはないご馳走が並ぶ日でした。味も栄養もたっぷりの旬の食材を取り入れた料理が多く、その季節を表す風物詩にもなっています。「ハレの日」の食事は、体調が崩れやすい季節の変わり目を乗り切る手段で、昔ながらの食の知恵とも言えます。
徐々に気温が下がり、身体が冷えがちなこの時期におすすめの料理は、秋の食材を使った温かいスープです。身体を温める作用をもつスパイスをたっぷり使った、スープカレーもいいですね。冷えによる自律神経の乱れを防ぐためにも、この時期は食事で身体を温めることを意識しましょう。
また、食事以外では、睡眠をしっかりとり生活のリズムを整えること、お風呂では必ず湯船につかり身体を温めること等も、自律神経のバランスを整えるためには効果的だと言われています。
(テキスト:尾上 雅子)
参考資料:
『農林水産省』「日本食文化」http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/gyoji.html