カルシウムやリンの代謝に関わり、健康な骨や歯を作るのに不可欠な栄養素、ビタミンD。日光に当たる時間が少なくなると、ビタミンDが不足しやすくなることをご存知ですか?
ビタミンDは、食事からの摂取以外に、日光を浴びることによって皮膚で合成されています。そのため、日光によくあたる生活をしている人は、ビタミンD不足に陥る心配はないとされています。しかし近年では、紫外線対策として肌を服でカバーしたり、日焼け止めを使うことが増えているため、皮膚での十分な合成は期待できません。
こういった理由で、ビタミンDは不足しやすい栄養素になったと言われているのです。日照時間が少なくなる冬は、よりビタミンDが合成されにくくなるので、これからの季節は普段以上にしっかり食事からとるよう意識しましょう。
くる病や骨粗しょう症の恐れも!
ビタミンDが極端に不足すると、カルシウムの吸収が妨げられ、骨代謝異常を引き起こします。欠乏症としては、子どものくる病、成人の骨軟化症が知られています。高齢者では骨粗しょう症の原因にもなります。
ビタミンDが多く含まれる食品には、鮭や秋刀魚などの魚類全般、きくらげ、しいたけなどのきのこ類、卵黄があります。日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、ビタミンDの摂取目安量は、成人の場合1日あたり5.5μgとされています。代表的な食品のビタミンD含有量は、鮭1切れ26μg、秋刀魚1尾19μgとなっており、その他イワシやウナギ、カレイ、ブリなどにも豊富に含まれることから、これらの魚類を1日1回食べることで、必要摂取量を補うことができると考えられます。
ビタミンDの摂り方のポイント
ビタミンDの摂り方には、2つのポイントがあります。
まず1つ目は、調理法です。ビタミンDは「脂溶性ビタミン」ですので、油と組み合わせることで吸収されやすくなる特徴があります。揚げ物や炒め物などの油を使った調理法で、ビタミンDを効率よく摂取するのがおすすめです。
2つ目は、食べ合わせです。ビタミンDは「カルシウム」と一緒に摂取することで効果を発揮します。イワシの丸干しやちりめんじゃこなどの骨ごと食べられる魚は、ビタミンDとカルシウムを同時に摂ることができますね。その他の食材は、カルシウムが豊富な乳製品などと組み合わせて摂ることをおすすめします。
(テキスト:尾上 雅子)
参考資料:
中村 丁次 (2010)「栄養の基本がわかる図解事典」(成美堂出版)
『厚生労働省』「日本人の食事摂取基準2015年版」http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf