低温調理は、「焼く」「蒸す」「煮る」につぐ第四の調理法とも称される真空調理法を活用した調理法とも言え、特にかたまり肉の調理に重宝します。お肉に含まれるたんぱく質の、58度から60度前後で凝固し、68度から分水作用が始まる性質を活かした、この温度帯で調理するのがポイントになってきます。
また、肉をジューシーに感じさせるコラーゲンは時間をかければ温度が低くても分解するため、低温で長時間加熱することが、高温で加熱しては得られない柔らかさやジューシーさを生み出すのです。炊飯器の保温モードで角煮やローストビーフがおいしく仕上がるのも、基本的には同じ理由と言えるでしょう。
低温調理法は日本では当初、セントラルキッチン方式のファミリーレストラン、居酒屋チェーン店が採用して広まったと言われています。特に肉じゃがなどの調理に時間がかかる煮物料理を中心に利用されるようになり、現在ではラーメン店でもチャーシューを低温調理法で作っているところが増えています。
今回は、低温調理を野菜にも活かした基本的な煮ころがし、マーボナス、しっとり柔らかに仕上がる鶏ハムや豚しゃぶと焼かないローストポークを取り上げてみました。低温調理法でいつもとはひと味違うお料理作りに挑戦してみませんか?