欧米で春のイベントというと「イースター」。この時期にいただく伝統的なパン「ホットクロスパン」は、元々イギリス発の菓子パンで、オーストラリアや北米などのアングロサクソン系移民の多い地域で食されています。
日本人にはなじみの薄い「イースター」は、キリスト教徒にとってクリスマスと肩を並べる重要な日であり、「復活祭」との日本呼称の通り、イエス・キリストが復活をとげた日のこと。春分の日直後の満月の次の日曜日にあたるため、「イースターサンデー」と呼ばれます。キリストが十字架にかけられたその前の金曜日を「グッドフライデー」と呼び、ホットクロスパンをいただく風習が残っているのです。
スパイスとドライフルーツたっぷりのお祝いパン
ホットクロスパンは、レーズン、オレンジピール、クランベリー、いちじくなどのドライフルーツに、シナモンやナツメグ、オールスパイスなどのスパイスをきかせたパンで、十字(クロス)モチーフが表面に描いています。コーヒーやチャイ風味、アップルシナモン味やキャラメル味のほか、チョコレートやナッツなどを入れたり、チーズで食事パン系に仕上げたりと、味のバリエーションも豊富になっています。
従来は十字に切り込みを入れているだけだったクロス模様の付け方も、細長く切ったペストリーをのせて作ったり、水溶きした小麦粉と砂糖で描いたり、アイシングで可愛い飾りつけられたりと、現在では多種多様になっています。
イースターにはローストハムやデビルドエッグなどをいただく慣習もありますが、それにプラスして今年はホットクロスパンを焼いてみてはいかがでしょう? 焼き立てにたっぷりバターを塗って食べるのが本場イチオシの食べ方だそうですよ。