Infoseek 楽天

Mr.Children、山田尚子監督作「きみの色」の主題歌「in the pocket」書き下ろし カラフルな魅力に包まれる予告完成

映画.com 2024年6月5日 4時0分

 「Mr.Children」が、山田尚子監督の最新作「きみの色」で、主題歌「in the pocket」を書き下ろしていることがわかった。あわせて同曲が彩る、カラフルな魅力満載の予告編(https://youtu.be/F5FN0-p-sxI)もお披露目された。

 本作は、山田監督による完全オリジナル作品。山田監督が最も得意とする思春期をテーマに、少女たちが向き合う自立、葛藤、恋模様が、バンドという題材を通じて描かれる。「若おかみは小学生」「映画 聲の形」などの吉田玲子が脚本を務める。音楽は、「映画 聲の形」「リズと青い鳥」など山田監督作品のほか、「チェンソーマン」のサウンドトラックを担当する作曲家・牛尾憲輔。鈴川紗由が日暮トツ子役、髙石あかりが作永きみ役、木戸大聖が影平ルイ役をの声を務め、1600人に及ぶオーディションから選ばれた若手俳優3人が参加。新垣結衣が3人を導くシスター日吉子役を担当する。

 予告編は、人が「色」で見える高校生のトツ子が、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみと、街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年・ルイと、勢いでバンドを組むことになるコミカルなシーンから始まる。お互いの“好き”と“秘密”を共有している3人が、バンド活動を通じて心を通わせていくさまが、どこか懐かしい空気感で描かれ、あたたかな気持ちに包まれる仕上がりだ。「この先のこと」をめぐる漠然とした不安を感じる17歳という年齢ならではの迷いや悩み。そして「私たちは何度でも歩き直すことができるのです」というシスター日吉子の言葉が切り取られている。

 楽曲提供にあたり、作詞・作曲を務めた桜井和寿は、「この映画の主人公たちは焼き上がる前の陶器のように、少し力を加えただけで壊れてしまいそうなくらい繊細に思える。言い換えれば、柔らかくしなやかだ」と、印象を語る。さらに「主人公たちにはその繊細さのまま、その柔さのまま、しなやかに強く飛び立って欲しい。そんな歌でありたいと、願いを込めてレコーディングさせてもらった」と、思いを明かした。

 「in the pocket」を聞いた山田監督は、「滲んでぼやけた雲の隙間から、ぱっと光が差し込んできたみたいでした。まぶしくて、でも輪郭がはっきりとしていて、なんだかとてもビビットな色味の音楽だと感じました。だけど、もう一度聴いてみると今度は曖昧な色も見えてきて、いろんな色の集合体がこの曲を形作っているんだな、と夢中になって何度も再生ボタンを押しました」と喜びを語る。川村元気プロデューサーは、「『きみの色』の少年少女たちが感じていること、彼らが小さな町で楽器を奏でながら見ている世界を、音楽で表現してくれるアーティストを探した時に、『大人のような子どもたち』と称するバンド以外に思い当たりませんでした」と、オファーに至るまでの経緯を紐解いた。

 「きみの色」は8月30日から、全国東宝系で公開。桜井、山田監督、川村プロデューサーのコメント(全文)は、以下の通り。

■桜井和寿(「Mr.Children」)

この映画の主人公たちは
焼き上がる前の陶器のように、
少し力を加えただけで壊れてしまいそうなくらい繊細に思える。
言い換えれば、柔らかくしなやかだ。

ある日のこと(なんと偶然にも初めて山田監督とお話しする機会を頂いたその日)、
ミーティング場所の駐車場に車を停めると、巣から落ちてしまった飛べない雛スズメを見つけた。
心配になって、拾って、家に連れて帰った。飼育方法を調べようとネットで検索すると、どうやら落ちてしまった「巣立ち雛(そう言うらしい)」は、そこからまた親鳥と共に、飛び立つ練習をし、成長していくらしい。

僕は慌てて、雛を発見した場所に戻り、雛を探しているであろう親鳥に謝罪しながら、拾った場所に雛鳥を戻した。
健やかな成長を願いながら。

あの日出会った雛鳥のように、
抱き上げるでも、背中を押すでもなく
無理に力を加えることなく、
主人公たちには
その繊細さのまま、
その柔さのまま、
しなやかに強く飛び立って欲しい。

そんな歌でありたいと、
願いを込めてレコーディングさせてもらった。

Mr.Children 桜井和寿

■山田尚子監督

滲んでぼやけた雲の隙間から、ぱっと光が差し込んできたみたいでした。
まぶしくて、でも輪郭がはっきりとしていて、なんだかとてもビビットな色味の音楽だと感じました。
だけど、もう一度聴いてみると今度は曖昧な色も見えてきて、いろんな色の集合体がこの曲を形作っているんだな、と夢中になって何度も再生ボタンを押しました。

Mr.Childrenの音楽を聴いていると、その主人公目線で描かれる「誰か」にどうしても思いを馳せてしまいます。
曲の中に描かれる「彼女」だったり「親友」だったり。全く知らない人のはずなのに、自分のあこがれの人に思えたり、一緒に失恋した気持ちになったり。
経験したことのない場所やにおいを歌に乗せて教えてくれる、まるで映画を見ているような感覚に胸が騒ぎます。

人生の中にずっとついて離れないMr.Childrenの音楽。
「きみの色」でも桜井さんの目に映った世界を聴いて、観ることができるなんて思いもしませんでした。
打ち合わせで初めてお会いした時に、「そーっっとね」とくしゃくしゃの笑顔で段ボールに保護したすずめをのぞかせてくださった桜井さんがその場の何よりも柔くて強くはかなく感じて、すっかり身を任せようと思ったのでした。

■川村元気プロデューサー

「きみの色」は、人のことが「色」で見えるトツ子が、学校をドロップアウトしてしまったきみと、進学先に悩みを抱えるルイと三人でバンドを組む物語です。

しかしながら、この映画は(この世界に多様な色があるのと同じように)その物語の外側にも内側にも、大きく深く広がっています。
その「色」を表現するために、山田尚子監督の繊細な映像表現に加えて、どうしても音楽の力を借りたいと思っていました。

「きみの色」の少年少女たちが感じていること、彼らが小さな町で楽器を奏でながら見ている世界を、音楽で表現してくれるアーティストを探した時に、「大人のような子どもたち」と称するバンド以外に思い当たりませんでした。

この主題歌の打ち合わせの日に、桜井和寿さんが偶然保護した雛鳥を見せてもらったときに、言葉を交わすでもなく僕たちが飛び立つべき方向が定まったような気がしました。
この映画が、あの雛鳥のような無垢な力強さを持った主題歌と共に世界に飛び立つ日を楽しみにしています。

企画・プロデュース 川村元気

この記事の関連ニュース