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【なぜ、いま熱い?】「寄生獣」「七夕の国」が立て続けに映像化! 岩明均作品の魅力を紐解く

映画.com 2024年6月30日 13時0分

 壮大なスケールと刺激的な表現から、“映像化不可能”と言われ続けていた岩明均氏の“怪作”SF漫画を、細田佳央太主演で実写化するドラマシリーズ「七夕の国」が、ディズニープラス「スター」で7月4日から独占配信される。

 岩明氏といえば、この春に「寄生獣」が韓国版としてNetflixで実写ドラマ化され、話題を集めたばかり。「寄生獣」が連載開始されたのは1988年、そして「七夕の国」は96年と、どちらも平成初期をにぎわせた作品が、令和の時代に立て続けに実写化された理由とは? 時を超えて愛され続ける岩明作品の魅力を、「七夕の国」の瀧悠輔監督(「大豆田とわ子と三人の元夫」「クレイジークルーズ」)、プロデューサーを務めた山本晃久氏(「ガンニバル」「ドライブ・マイ・カー」)が紐解く。

 10年ほど前、深夜ドラマの仕事でタッグを組んだ瀧監督と山本氏は当時、次回作の構想を話し合うなかで、ともに学生時代に連載を読み夢中になったという「七夕の国」のタイトルが自然な流れで出てきたという。今回の実写化は、10年に及ぶこれまでの思いが実を結んだ結果なのだ。

 瀧監督は「高校生か大学生の頃だったかな。毎週楽しみに読んでいました。それまでの漫画では見たことがない展開の作品で、そうなるとは思わずに読んでいたので驚きました」と、連載当時の衝撃を振り返る。映像化への思いを強くする一方で、「この仕事をするようになって、読み直すと、映像化はなかなか難しいだろうなあと思いました」とも語り、「CGや作品の規模的にも大きくないとこの物語は成立しない。それだけのお金と時間の余裕もないといけない。いろいろな状況が揃わないと、映像化はできないだろうと思っていました」と、作品愛の強さゆえ、中途半端な状況では作りたくないという思いがあったと明かす。

 「寄生獣」「七夕の国」に共通するのは、平凡な生活を送る主人公の世界が、特別な力が原因で、ある日を境に一変し、大きな力と対峙する壮大なストーリー。そして、日常生活の風景のなかで、想像の範疇を優に超える衝撃的な事件が起きていくその独創性だ。

 山本氏もまた、「七夕の国」の実写化に大きなハードルを感じつつも、強い思いを抱きながら、チャンスをうかがっていたという。原作の魅力については、「岩明先生がつくられたエンタテインメントの素晴らしさですね。歴史民族学的な要素とSF、ミステリーが組み合わさった絶妙な娯楽作だと思います。それに『七夕の国』で描かれた物語は、時代に左右されない強さを持っています」と語る。

 原作への思い入れが強い瀧監督と山本氏のタッグだからこそ、細部にまで宿した映像へのこだわりが、すさまじいものになったことは言うまでもない。特に本作のシンボルである●(まる)と呼ばれる球体の映像化には、多大な労力と時間が費やされた。

 「漫画という二次元を映像で再現するのは難しい部分もありますが、それに近づけたい。最もこだわったのは、“窓の外”という球体ですね。そのルックから破裂したときの音まで、何度も何度もトライアンドエラーを繰り返しました」(瀧監督)。

 奇妙だが普遍的な物語、社会の問題をあぶり出すメッセージが込められているのも、岩明作品の色あせない魅力。今回、製作陣の原作に対する深い愛情と敬意が、“映像化不可能”と言われ続けた「七夕の国」の実写ドラマシリーズ化を実現させ、岩明氏の世界観が再び、熱い注目を浴びようとしている。

 「七夕の国」は、ディズニープラス「スター」で、7月4日に独占配信開始。

【「七夕の国」あらすじ】

 主人公のナン丸こと南丸洋二(細田)は、「触れることなく、あらゆる物に小さな穴を空ける」という何の役にも立たない超能力を持つ大学生。そんな彼が平穏な生活を送るなか、ある日突然、ビルや人が丸くえぐられる怪事件が多発し、日本中は恐怖に包まれていく。事件の鍵を握るのは、東北の山間にあり、時期外れの七夕祭を行う“丸神の里”丸川町。ひょんなことから、この町を訪れることとなったナン丸は、自身がこの地にルーツを持つことを教えられ、知らず知らずのうちに、代々受け継がれていた●(まる)の力の謎に巻き込まれていく。

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