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2024年上期の最推し映画は何? 映画.comスタッフが選んだ“マイベスト”を紹介

映画.com 2024年7月6日 11時0分

 2024年の“前半戦”が終了――!! 皆さんは“上期”では、どんな映画と巡り合うことはできましたか?

 本記事では、映画.com&アニメハックのスタッフが「上期最推しのベスト映画!」と感じた作品を一挙にご紹介(対象:2024年1月1日~2024年6月30日公開・配信作品)。絶賛公開中の作品から、すでに配信やBD&DVDレンタルで楽しめる作品(もちろんこれからリリース予定のものも!)まで幅広くラインナップしました。

 皆さんの映画ライフをもっともっと充実させる良作、秀作、傑作ばかりですので、ぜひ鑑賞の参考にしてください!

 ※作品の並びは「五十音順」です

●「ARGYLLE アーガイル」(劇場公開日:2024年3月1日)

【選出理由】

とにかくサム・ロックウェルにときめいて、心を奪われました。個人的に、世界一かっこよくウインクする俳優=サム・ロックウェルです。ド派手なアクションシーン、アクセントの効いた音楽、魅力的な俳優たち、二転三転どころじゃないストーリー……全部がツボで、「自分はこういう映画が好みなんだ」を再確認できました。大好きです! 続編もお願いします。(映画.com編集部 K.S)

【「ARGYLLE アーガイル」概要】

「キングスマン」シリーズのマシュー・ボーン監督が描く痛快スパイアクション。作家エリーをブライス・ダラス・ハワード、彼女を救うエイダンをサム・ロックウェル、エリーが描く小説の主人公エージェント・アーガイルをヘンリー・カビルが演じた。

謎のスパイ組織の正体に迫る凄腕エージェント・アーガイルの活躍を描いたベストセラー小説「アーガイル」の作者エリー・コンウェイは、愛猫アルフィーと一緒にのんびり過ごす時間を愛する平和主義者。新作の準備を進めている彼女は、アルフィーを連れて列車で移動中に謎の男たちに命を狙われ、エイダンと名乗るスパイに助けられる。やがて、エリーの小説が偶然にも現実のスパイ組織の行動を言い当てていたことが判明。エリーの空想のはずだった世界と、命を狙われる現実との境界線が曖昧になっていくなか、敵の一歩先を行くべく世界中を駆け巡るエリーだったが……。

●「ありふれた教室」(劇場公開日:2024年5月17日)

【選出理由】

筆者は基本的に、イヤ~な空気に満ちた映画が大好物なので、予告編を見た瞬間から、「これは間違いない」と身震い。見始めると期待に違わず、真綿で首を絞められるように、嫌なことが起こり続け、「これだけはやめてくれ」と思う展開に必ず進むという、この地獄。生徒を守りたい先生の正義や理想を説く声は届かず、真実を示すはずの証拠やロジックは踏みにじられ、精神的に追いつめられていく。「学校は社会の縮図」とはよく言ったもので、社会のなかでもあらゆるスケールで不和を生み出しているシチュエーションが、“ありふれた教室”で勃発するさまが、ありありと描かれています。「この行動は許せる?」「この判断はアリ? ナシ?」など、自分の倫理観が暴かれるような感覚に陥る、忘れられない作品です。(映画.com編集部 ドーナッツかじり)

【「ありふれた教室」概要】

ある中学校で発生した小さな事件が予想もつかない方向へと進み、校内の秩序が崩壊していく様を、ひとりの新任教師の目を通して描いたサスペンススリラー。第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされた。

仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を得ていく。ある時、校内で盗難事件が相次ぎ、カーラの教え子が犯人として疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自に犯人捜しを開始。ひそかに職員室の様子を撮影した映像に、ある人物が盗みを働く瞬間が収められていた。しかし、盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は、やがて保護者の批判や生徒の反発、同僚教師との対立といった事態を招いてしまう。後戻りのできないカーラは、次第に孤立無援の窮地に追い込まれていく。

●「あんのこと」(劇場公開日:2024年6月7日)

【選出理由】

いろいろなシステムの合間からすり抜けてしまう、そんなことがあるのかと信じたくない気持ちを抱える。しかしあのあどけない笑顔や屈託のない表情から、「あん」という女性が確かに生きていたということが伝わってきてなんとも胸をかき乱される。河合優実という素晴らしい俳優が「あん」を私たちの胸に刻ませる、忘れたくない映画。(映画.com エビタニ)

【「あんのこと」概要】

「SR サイタマノラッパー」「AI崩壊」の入江悠が監督・脚本を手がけ、ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ。河合優実が杏役で主演を務め、杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、正義感と友情に揺れるジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じた。

売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。

●「Ultraman: Rising」(配信開始日:2024年6月14日)

【選出理由】

別の作品をベスト映画に挙げ、選考理由を書き終えていたんですが、その日の夜に本作を観て、急きょ深夜に書き直しています。どれだけ言葉を尽くしてもこの感情のすべてを言い表せそうにない。子育てをしたことがある人は本編尺2時間のうち1時間59分はボロッボロに泣くと思う(自分がそうだった)。つらい、喜び、つらい、学び、つらい、成長、つらい、感動…まったく泣くところじゃないのにダバダバ泣いた。そして「グレンラガン」「スパイダーバース」級にアツい。これが実質無料(Netflix見放題)なのはシンプルにバグってる。「何観よっかな」って1時間ザッピングして結局何も観ない、をやるくらいなら本作を観てほしい。(映画.com 尾崎秋彦)

【「Ultraman: Rising」概要】

日本が生んだ特撮ヒーロー「ウルトラマン」を、親子と家族をテーマに世代を超えて楽しめる物語として描いた、日米合作の長編CGアニメーション。「KUBO クボ 二本の弦の秘密」の原案・キャラクターデザインを務めたシャノン・ティンドルが監督・脚本を手がけ、「インダストリアル・ライト&マジック(ILM)」がCGアニメーション制作を担当した。

野球のスター選手サトウ・ケンには、地球を守るスーパーヒーロー「ウルトラマン」というもうひとつの顔があった。その役割を果たすため日本に帰国して野球の試合に臨むケンだったが、突如として強大な怪獣ジャイガントロンが襲来。ウルトラマンに変身して激しい戦いを繰り広げるなか、ケンはひょんなことから宿敵の子である赤ちゃん怪獣の世話を任せられてしまう。ケンは新米パパとして奮闘しながら、疎遠になっていた父との関係や、ウルトラマンであることの本当の意味と向き合っていく。

●「オッペンハイマー」(劇場公開日:2024年3月29日)

【選出理由】

間違いなく映画史に残る作品。クリストファー・ノーラン監督の現時点での到達点であり、俳優キリアン・マーフィの名演が記憶に残る。原子爆弾の被爆国である日本人にとってはセンシティブな題材。原爆が開発され、使用されなければならなかった理由や経緯には複雑な思いがこみ上げるが、苦悩し葛藤する物理学者ロバート・オッペンハイマーの頭の中に入り込み、宇宙の根源と、その栄光と挫折に迫る映画的な映像と音楽の表現に圧倒される。「我々が世界を破壊した」という言葉がいつまでも頭から離れない。(映画.com 和田隆)

【「オッペンハイマー」概要】

「ダークナイト」「TENET テネット」などの大作を送り出してきたクリストファー・ノーラン監督が、アメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画。2006年ピュリッツァー賞を受賞した、カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによるノンフィクション「『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を下敷きに、オッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤を描く。

第96回アカデミー賞では同年度最多となる13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞を果たした。

●「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」(劇場公開日:2024年1月26日)

【選出理由】

もうないのだろうなと思っていたガンダムSEEDの劇場版が、18年の時を経て本当に実現。完全新作のガンダムSEEDを映画館で見ることができるというだけで、特別なものでした。変わらぬ世界観、キャラやメカも総出演で、テレビシリーズを見ていた当時を思い出して、新しいけどなんだか懐かしいような気する、成り立ちを含めて感慨深い一作でした。(映画.comスタッフ A.Y)

【「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」概要】

人気アニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの劇場版。宇宙に進出した人類が、「コーディネイター」と呼ばれる遺伝子を調整された人類と、「ナチュラル」と称される従来の人類にわかれて対立する世界を舞台に、コーディネイターの少年キラ・ヤマトが戦火に巻き込まれていく姿を描いた2002~03年放送のテレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」、その続編として04~05年に放送された「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に続く新たな物語が、完全新作として描かれた。

監督はテレビシリーズに続き福田己津央が担当。キラ・ヤマト役の保志総一朗、ラクス・クライン役の田中理恵、アスラン・ザラ役の石田彰、シン・アスカ役の鈴村健一らレギュラーキャスト陣も多くがテレビシリーズから続投。田村ゆかり、下野紘、中村悠一、上坂すみれ、福圓美里、松岡禎丞、利根健太朗らが新キャラクターのキャストを務め、ハリウッド映画「レディ・プレイヤー1」で知られる俳優の森崎ウィンも声優として参加した。

●「52ヘルツのクジラたち」(劇場公開日:2024年3月1日)

【選出理由】

鑑賞後数日間たっても自分の中に留まり続けた作品。奇跡的な出会いたったひとつが夢も未来もない孤独な日々から抜け出す光になる、そういう出会いが必ず誰にでもあると思いたい。キャスト陣全員素晴らしかったのはもちろんのこと、書き下ろしの主題歌も作品と合って世界観を引き立たせていてとてもよかった。(映画comスタッフ Y)

【「52ヘルツのクジラたち」概要】

2021年本屋大賞を受賞した町田そのこの同名ベストセラー小説を、杉咲花主演で映画化したヒューマンドラマ。

自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく。

●「シティーハンター」(配信開始日:2024年4月25日)

【選出理由】

鈴木亮平さん主演で実写化されると聞いてから、ずっと楽しみにしていました! 配信当日にワクワクしながら視聴しましたが、冒頭の伝言板に書かれた「XYZ」から、エンディングの「Get Wild」まで完璧な実写化でした!! 肉体改造のプロとして知られる鈴木さんですが、今作でも“冴羽リョウ”の細マッチョな体型を見事に再現。声までアニメ版の神谷明さんにそっくりなときがあって、びっくりしました。森田望智さんが演じた香や、安藤政信さん扮する槇村もイメージにぴったりで、これ1作だけで終わってしまうのはもったいない! 続編やドラマ化を期待しています!(映画.com編集部 MOMO)

【「シティーハンター」概要】

北条司の大人気コミック「シティーハンター」の日本初実写化となるアクションエンタテインメント。東京の大都市・新宿の裏社会で起こる様々なトラブル処理を請け負う、超一流のスイーパー(始末屋)である主人公・冴羽?の活躍を描く。

主人公の冴羽?を鈴木亮平、ヒロインの槇村香を森田望智、リョウの相棒である槇村秀幸を安藤政信、リョウとは腐れ縁の刑事・野上冴子を木村文乃がそれぞれ演じる。1980年代に人気を博したテレビアニメ版「シティーハンター」のエンディングテーマとして有名なTM NETWORKの「Get Wild」が、新たに制作された「Get Wild Continual」としてエンディングを飾る。

●「青春18×2 君へと続く道」(劇場公開日:2024年5月3日)

【選出理由】

藤井道人監督が日本と台湾を舞台にした青春ラブストーリー。劇中で主人公のジミーがヒロインのアミを台湾・台南地区で現在も名画座として営業している全美戲院に岩井俊二監督の「Love Letter」をデートに誘って見に行く回想シーンでは、当時上映していたであろう「藍色恋夏(原題:藍色大門)」のポスターが掲出されていたり、どこか懐かしい雰囲気も楽しめる演出が散りばめられている為、一度見た方でも再度チェックしてみてください!(映画.comスタッフ おにぎり)

【「青春18×2 君へと続く道」概要】

「新聞記者」「余命10年」の藤井道人が監督・脚本を手がけた日台合作のラブストーリー。ジミー・ライの紀行エッセイ「青春18×2 日本漫車流浪記」を映画化し、18年前の台湾と現在の日本を舞台に、国境と時を超えてつながる初恋の記憶をエモーショナルに描き出す。

18年前の台湾。高校3年生のジミーはアルバイト先で4歳上の日本人バックパッカー、アミと出会い、天真爛漫でどこかミステリアスな彼女に恋心を抱く。アミもまた、ある秘密を抱えながらもジミーにひかれていく。しかし突然アミの帰国が決まり、意気消沈するジミーにアミはある約束を提案する。現在。人生につまずいて久々に帰郷した36歳のジミーは、かつてアミから届いたハガキを再び手に取り、あの日の約束を果たすべく日本へ向けて旅立つ。東京から鎌倉・長野・新潟、そしてアミの故郷・福島へと向かう道中で、彼女と過ごした日々の記憶がジミーの心によみがえる。

●「デューン 砂の惑星 PART2」(劇場公開日:2024年3月15日)

【選出理由】

実は、見る前から今年のNO.1に決まっていました。デビッド・リンチ版もリバイバルされ、個人的に今年はデューン・イヤー。とにかく「スター・ウォーズ」の記憶が上書きされる感じが快感でした。ポール・アトレイデスが「ルーク・スカイウォーカー」の原形であり、クイサッツ・ハデラッハが「ジェダイ」に置き換わり、声を使った超能力が「フォース」になった……。ビルヌーブの「デューン」はSF映画史を塗り替えました。次回作も超期待です。(映画.com編集長 駒井尚文)

【「デューン 砂の惑星 PART2」概要】

「メッセージ」「ブレードランナー2049」のドゥニ・ビルヌーブ監督がフランク・ハーバートのSF小説を映画化し、第94回アカデミー賞で6部門に輝いたSFアドベンチャー大作「DUNE デューン 砂の惑星」の続編。ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソンら前作のキャストに加え、オースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、レア・セドゥが新たに参加している。

その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、ついに反撃の狼煙を上げる。砂漠の民フレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサがデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。

●「映画 ◯月◯日、区長になる女。」(劇場公開日:2024年1月2日)

【選出理由】

面白い作品が多い選挙ドキュメント、しかし女性監督が女性候補を撮った映画ってこれまであったかな? と、杉並区長となった岸本聡子さんへの興味、映画「お母さんが一緒」(原作/脚本)のペヤンヌマキさんが監督ということで鑑賞。区長選の結果のその先のラストでは思わず涙し、民主主義の希望が見えた。政治の世界でなくとも、何か新しい一歩を踏み出したい人に見てほしい1作です。(映画.com M)

【「映画 ◯月◯日、区長になる女。」概要】

劇作家・演出家のペヤンヌマキが監督を務め、2022年の杉並区長選挙を記録したドキュメンタリー。人口57万人、有権者数47万人という規模の選挙でありながら、わずか187票差で現職区長を破った岸本聡子と、彼女を草の根で支えた住民たちに密着した。

東京都杉並区在住のペヤンヌマキ監督が、自身の住んでいるアパートが道路拡張計画で立ち退きの危機にあることを知り、止める方法を調べ始めたことをきっかけに本作の制作を開始。地域問題の当事者となった監督が、それまで無縁だった選挙や政治の世界へ飛び込んで住民たちと連携しながら学び悩む過程をとらえ、候補者や支援者たちと合意形成のため対話を積み重ねていく姿を映し出す。

●「ミッシング」(劇場公開日:2024年5月17日)

【選出理由】

“引きずる系”の映画ですよね、本当に。僕は未だに引きずっています。親として、子として、家族として、働くものとして――それぞれの視点で直面できる物語。鑑賞中に“ズルいよ”と感じたことが2つ。ひとつは、吉田流演出の巧(うま)ずるさ。内から笑いが漏れ出ることで、僕自身も映画の当事者になっていた……そのことに気づいた時、思わず冷汗をかきました。で、もうひとつは青木崇高さんの涙。あの芝居、絶対に忘れませんから。(映画.com編集部 岡田寛司)

【「ミッシング」概要】

「空白」「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督が、石原さとみを主演に迎えてオリジナル脚本で撮りあげたヒューマンドラマ。幼女失踪事件を軸に、失ってしまった大切なものを取り戻していく人々の姿をリアルかつ繊細に描き出す。

沙織里の娘・美羽が突然いなくなった。懸命な捜索も虚しく3カ月が過ぎ、沙織里は世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていた。夫の豊とは事件に対する温度差からケンカが絶えず、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々。そんな中、沙織里が娘の失踪時にアイドルのライブに行っていたことが知られ、ネット上で育児放棄だと誹謗中傷の標的になってしまう。世間の好奇の目にさらされ続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるように。一方、砂田は視聴率獲得を狙う局上層部の意向により、沙織里や彼女の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材を命じられてしまう。

●「無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語」(劇場公開日:2024年1月2日)

【選出理由】

さえない人生を過ごしてきた人や一度は夢破れ挫折した人々が、寂れた町のおもちゃ屋の店主が立ち上げたアマチュアプロレス団体を通じて再び立ち上がり、周囲の人々を笑顔にする感動のドキュメンタリー。中盤から予期せぬ展開を迎えますが、その結末は落涙必至です。(映画.comスタッフ A.K)

【「無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語」概要】

北海道のアマチュアプロレス団体「新根室プロレス」を追ったドキュメンタリー。2021年12月に放送され、ギャラクシー賞奨励賞などを受賞したドキュメンタリー番組に新規取材などを追加した劇場版。

2006年に北海道・根室市内でおもちゃ屋を営むサムソン宮本を中心に結成されたアマチュアプロレス団体新根室プロレス。身長3メートルを超える巨大レスラー、アンドレザ・ジャイアントパンダをはじめ、元テレビマンや銀行員などさまざまな横顔を持つレスラーたちが活躍していたが、19年9月、難病・平滑筋肉腫と診断されたサムソン宮本は同年12月31日をもって新根室プロレスを解散することを発表。19年10月に東京・新木場で開催された引退興行でサムソンは満員の観客が見守る中、「必ずこのリングに帰ってきます」と約束する。しかし翌20年9月、サムソンは55歳で他界。サムソンの死から3年、活動を休止していた新根室プロレスのメンバーは再び東京・新木場のリングに姿を現す。

●「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」(劇場公開日:2024年4月12日)

【選出理由】

熱烈なコナンファンではなく、これまでのシリーズに関しても一喜一憂することはなかった。そんな私でも、今作に詰め込まれた情報量に圧倒され、観賞後はしばらく脳内処理に時間を要した。本編にちりばめられたエモーショナルなシーンの数々は、コナンファンならずとも釘付けにさせられること必至。次回作以降を密かに楽しみにするようになったということは、もう立派なコナンファンなのだろうか……。いずれにせよ、それほどまでに今作の出来は出色であった。(映画.com副編集長 大塚史貴)

【「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」概要】

大ヒットシリーズ「名探偵コナン」の劇場版27作目。「月下の奇術師」の異名を持つ怪盗キッドや、キッドとは因縁のある「西の高校生探偵」こと服部平次が登場し、北海道・函館を舞台に、謎に包まれた日本刀をめぐるミステリーが展開する。北海道警捜査一課の刑事・川添善久役で北海道出身の大泉洋がゲスト声優出演している。

北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届く。キッドの狙いは新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だったが、折しも函館で開催される剣道大会のため、服部平次やコナンも同地を訪れていた。平次はキッドの変装を見破り、追い詰めていく。時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で発見され、捜査線上には「死の商人」と呼ばれる日系アメリカ人の男の存在が浮上する。

●「ルックバック」(劇場公開日:2024年6月28日)

【選出理由】

漫画を描く“静”のドラマを豊かなアニメーションで描ききる快作。俳優2人による声の演技、音楽も素晴らしく、中編アニメのひとつの理想形だと思いました。(アニメハック編集部 五所光太郎)

【「ルックバック」概要】

「チェンソーマン」で知られる人気漫画家・藤本タツキが、2021年に「ジャンプ+」で発表した読み切り漫画を劇場アニメ化。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」や「君たちはどう生きるか」などさまざまな話題のアニメに携わってきた、アニメーション監督でアニメーターの押山清高が、監督・脚本・キャラクターデザインを手がけ、ひたむきに漫画づくりを続ける2人の少女の姿を描く青春ストーリー。

学生新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメイトからも称賛されている小学4年生の藤野。そんなある日、先生から、同学年の不登校の生徒・京本の描いた4コマ漫画を新聞に載せたいと告げられる。自分の才能に自信を抱く藤野と、引きこもりで学校にも来られない京本。正反対な2人の少女は、漫画へのひたむきな思いでつながっていく。しかし、ある時、すべてを打ち砕く出来事が起こる。

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