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【インタビュー】デイジー・リドリー、実際の海で遠泳シーンを撮影 女性で初めて英仏海峡を横断した水泳選手の実話

映画.com 2024年7月18日 13時0分

 1926年に女性で初めて英仏海峡を横断した水泳選手の実話を映画化した「ヤング・ウーマン・アンド・シー」が、7月19日からディズニープラスで配信される。映画.comは、主人公のトゥルーディ・イーダリーを演じたデイジー・リドリー(「スター・ウォーズ」シリーズ、「オリエント急行殺人事件」)、彼女を献身的に支えた姉・メグ役のティルダ・コブハム=ハーベイ(「ホテル・ムンバイ」「ヒットマン ザ・プロフェッショナル」)のインタビューを独占入手。役どころへの思いや撮影の舞台裏、作品が投げかけるメッセージについて語った。

 女性が泳ぐことが一般的でなかった当時、周りから白い目で見られても諦めず、姉のメグと献身的なコーチらの力強いサポートを受けながら、パリオリンピックに水泳選手として出場したトゥルーディ。彼女は、当時“強い男性”だけが成し遂げられるとされていた英仏海峡を泳いで横断することに憧れを抱き、自身も挑戦することを決意するが、周囲からは「女性には不可能だ」と嘲笑される。社会の荒波を乗り越え、彼女はいかにして、驚くべき偉業を成し遂げたのか?

●コロナ禍で出合った、家族についての“美しい物語”

――まず、脚本を読んだ感想を教えてください。

デイジー・リドリー(以下リドリー):ちょうど、(コロナ禍による)ロックダウンが始まった時期で、皆がとても孤立していたんです。そんなときに、お互いに愛し合い、支え合う家族についての、この美しい物語を読んだんです。試練と苦難を抱えながら、前に進む彼女たちの姿は、本当に素晴らしかった。そして、この映画には、たくさんの喜びと希望が詰まっているように感じました。その気持ちは、いまも変わりません。

ティルダ・コブハム=ハーベイ(以下ハーベイ):とても感動しましたし、心を揺さぶられました。同時に、この脚本を読む前、私がトゥルーディ・イーダリーについて、何も知らないことにショックを受け、自分に失望してしまったんです。だからこそ、その物語を語り、そこに命を吹き込む一員になれることに興奮しました。

――偉業に挑戦するトゥルーディ、彼女を支える姉のメグ。ふたりの姉妹の絆に心を打たれました。

リドリー:姉妹の関係性こそが、この作品では最も重要だと、最初から分かっていました。ですから、オーディションをZoomで行い、素晴らしい女性たちと(姉妹としての)相性を試したんです。そして、ティルダと一緒に台本の読み合わせをすると、すぐに彼女こそが適任だとはっきりしました。オーディションが終わると、関係者のみんなに「私たちのメグが見つかった!」とメッセージを送ったんです。本当に素晴らしかったですね。一緒に水泳のトレーニングもやりましたし。

ハーベイ:(俳優として)泳ぎを学ぶ過程を、一緒に経験できたことも良かったと思います。その過程でお互いを知ることができましたし、共有した経験は登場人物たちに反映もされている。お互いの絆を深める大切な時間でしたし、それが映像にも映し出されていると思いますね。

●実際の海で遠泳シーンを撮影「7月の黒海は本当に冷たかった」

――水泳のトレーニングは、やはり大変でしたか? 実際の海で、遠泳シーンを撮影したそうですね。

リドリー:週に3~4回、毎回1時間半ほどのトレーニングを行いました。始めたばかりの頃は、20メートルも泳げなくて「これでは演じられない」とパニックになってしまったほど。ですから、道のりは長かったですね。撮影中もトレーニングは続き、泳ぎは上達しましたが、やはり、海峡での大規模な撮影は、体力的にも心理的にも、かなりハードでした。初めて、海に飛び込んだ瞬間は、とにかく圧倒されました。海流がある上に、並走するボートのペースに合わせる必要もあったので。それが何日も、何日も……。ハードな撮影をやり遂げることができて、自分をとても誇らしく感じました。辛い思い出? 7月の黒海は本当に冷たかったですし、ひどい嵐だったことを思いだします。

ハーベイ:台本には「彼女は海で泳いでいる」と書いてあって。でも、実際に海に飛び込み、泳ぐデイジーの姿を見て「ここは本当に海の真ん中なんだな」と実感したんです。彼女は、私たちが乗るボートからどんどん離れていき、小さな小さな“点”になっていった。その光景は、本当に驚くべきことでした。デイジー、あなたがその撮影を7日間もいかにしてやり遂げたのか、私には想像もつかないわ。

●作品を通して「希望と喜び、一体感を感じ取ってほしい」

――実在の人物を演じるという点については、どのようにアプローチしましたか?

リドリー:これだけの偉業を成し遂げた人物なのに、トゥルーディに関する資料は、あまり世に出回っていないのが現実でした。ですから、可能な限りのリサーチを徹底的にしたうえで、私たちの解釈を盛り込むことで、トゥルーディの偉業がより鮮明になったと思います。

ハーベイ:トゥルーディ、そして私が演じたメグは、とても絆が強いですが、それぞれは異なるタイプの女性を象徴していると思います。舞台になった1920年代、メグは社会的プレッシャーに直面する女性にとっての“現実”を示していて、一方のトゥルーディが、女性にとってこれから訪れるであろう“希望”を表している。その対比を映画のなかで、見事に映し出すことができ、とても良かったと感じています。

――およそ100年前の物語ですが、時代を超越し、現代を生きる私たちに勇気を与えてくれる作品だと思います。

リドリー:ぜひ、この作品を通して、希望と喜び、お互いを励まし合う一体感を感じ取ってほしいです。どんなに周りが「無理だ」と言うチャレンジであっても、だからこそ、夢を支え合うことが大切なんです。特にトゥルーディの場合は、困難を乗り越える過程を、愛する家族が見守っていた。それは本当に素晴らしいことだと思います。

ハーベイ:そして、「無理だ」と言われるようなチャレンジであっても、それに挑むことを恐れないこと。人生、ときには大胆なリスクを選択することも重要なんだと、トゥルーディの姿を見れば、分かってもらえるはずです。

 「ヤング・ウーマン・アンド・シー」は、ディズニープラスで7月19日より独占配信される。監督は、「マレフィセント2」「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のヨアヒム・ローニング。プロデューサーとして「トップガン マーヴェリック」の世界的大ヒットも記憶に新しいジェリー・ブラッカイマー、チャド・オマンが名を連ねる。

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