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藤竜也、映画への愛を込めた流暢な英語スピーチに拍手喝采!「愛のコリーダ」検閲の苦い思い出も明かす 北米最大の日本映画祭で特別生涯功労賞

映画.com 2024年7月19日 22時0分

 近浦啓監督、森山未來主演の「大いなる不在」が出品されている北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツ(米・ニューヨーク)で、同作に出演している藤竜也が「愛のコリーダ」や「愛の亡霊」など60年にわたるキャリアを持つ俳優としての功績を称える特別生涯功労賞を受賞。7月18日(現地時間)に授賞式が行われ、藤は流暢な英語でスピーチし、会場を沸かせた。

 映画「大いなる不在」は森山、藤が親子役で初共演し、藤は認知症を患った父、息子役の森山が長年離れて暮らしていた父の知られざる過去を探っていく――というサスペンスヒューマンドラマ。2023年9月に開催された第48回トロント国際映画祭のプラットフォーム・コンペティション部門にてワールドプレミアを飾ったのち、第71回サン・セバスティアン国際映画祭でコンペティション部門のオフィシャルセレクションに選出。同映画祭の歴史上日本人初となるシルバー・シェル賞(最優秀俳優賞)を藤が受賞するという快挙を成し遂げ、更にはサン・セバスティアンの文化財団「アテネオ・ギプスコアノ」が最も卓越した作品に与えるアテネオ・ギプスコアノ賞も受賞。そしてアメリカ最古の国際映画祭、第67回サンフランシスコ国際映画祭でもコンペティション部門で最高賞にあたるグローバル・ビジョンアワードを受賞している。

 特別生涯功労賞(lifetime achievement award)は藤の功績を称える賞であり、ジャパン・カッツとしても初めての授与となる。マンハッタンにあるジャパン・ソサエティーで開催中のジャパン・カッツ会場で、大きく温かい拍手で迎えられ登壇した藤は、「こんなに素晴らしい賞を私にくださり、ありがとうございます」と感謝を述べ、50年前大島渚監督の「愛のコリーダ」上映時にNYを訪れた当時を思い、「我々は上映のためにリンカーンセンターに行ったわけです。ところがとても残念で悲しいことに本編の検閲の問題で上映が出来なかった。私たちはとてもがっかりしたし、犯罪者か何かになったような気分でね。ともかくそれから50年経ったいま、私はここにいて、こんな素敵な賞をいただいた」と苦い思い出を述べたあと、「50年を経てようやくお客様にお礼を言えます。本当に時間の経過を感じます。映画って素晴らしいし、人生も本当に素晴らしいものです。ありがとうございました」と、時折笑いも誘いながら、思いの丈のすべてを英語でスピーチ。観客から割れんばかりの大きな拍手が上がり、受賞式は締めくくられた。

 「大いなる不在」の公式上映はエンドロールが始まるとともに、大きく長い拍手が響き渡り、上映後には近浦監督と藤が登壇し、拍手や笑いが起きる一体感に包まれた上映となった。本作は、現地時間7月19日よりNYの劇場アンジェリカ・フィルムセンターにて、その翌週26日にはロサンジェルスのレムリシアターでの劇場公開のほか、台湾、韓国、インドネシア、スペインでの配給が決まっている。

 「大いなる不在」は、テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開中。

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