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江口のりこ、10年周期で小泉孝太郎を追い詰める役どころに「ご縁がある」

映画.com 2024年7月22日 21時30分

 江口のりこが主演を務め、森ガキ侑大監督のメガホンで吉田修一氏の小説を映画化する「愛に乱暴」の完成披露試写会が7月22日、東京・丸の内ピカデリーで行われ、江口のりこ、小泉孝太郎、馬場ふみか、風吹ジュン、森ガキ監督が舞台挨拶に立った。

 本作は、夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で「丁寧な暮らし」にいそしみ、毎日を充実させていた主婦の桃子(江口)の周囲で徐々に不穏なできごとが起こり始め、桃子の平穏な日常が少しずつ乱れ始めるさまを描き出すヒューマンサスペンス。

 本作の原作小説を読んだ際、「この原作を読んだ時に“今”映画化する意味があると強く感じた」という森ガキ監督。その思いについて「今は生産性ばかりが求められている世の中になっている中で、人の感情や居場所というところが忘れられているわけではないでしょうが、ものすごく余白のない世の中になってきているのかなと思っていて。だからその人に寄り添えたり、居場所がなくなっているという裏テーマみたいなものが今の時代に刺さるのではないかと思い、今、描きたいと思いました」と明かす。

 本作は江口にとって、今年3本目の映画主演作となる。その他、主演舞台や、主演ドラマなどが相次ぐなど、まさに売れっ子として多忙な日々を送っているが、江口自身は「どうなんですかね……」と首をかしげながらも、「月日は流れるというか、去年働いたんだな、というだけで。でもみんなでつくったものが、無事に公開されるというのは当たり前のことではないので。それはうれしいです」と語る。江口のクールなコメントに、小泉も「いつも変わらないからすごいですよね」と笑っていた。

 真守を演じた小泉は、桃子と家庭生活を送りながらも心はどこか別の場所にあるという夫を演じる。従来の“陽”のイメージを覆す役柄となったが、「映画を観た人に『あれって小泉さん……? だよね』と思わせたら、映画製作チームの勝ちだなと思っていたので。肉体的にも内面的にも、こういう感じで真守を演じてほしい、というのは小泉さんと話し合いました」と振り返った森ガキ監督。小泉も「現場にはいろんな方が来られたんですが、真守として衣装を着て、前髪を下ろしていたら、誰ひとり小泉孝太郎だと気付かれなくて。森ガキさん、すごいと思った」と述懐。母親役の風吹も「わたしも現場に入って、正面で向き合うまでまったく気付かなかった。遠目ではまったく分からないし、大成功じゃないですか」とその変ぼうぶりを絶賛した。

 小泉とは宮部みゆき原作のドラマ「名もなき毒」で共演していた江口は、「わたしは10年前にも(小泉)孝太郎さんを追いかけ回すという役をやったんです。ストーカーですよね。わたしに全然気持ちがないという役だったんですが、また今回もこういう役で、また小泉孝太郎を追いかけ回すのかと。なんなんだろうなと思いましたけど、また一緒に芝居をして、一緒の時間を過ごしてみて。孝太郎さんって本当に面白い方なので、一緒に時間を過ごせて良かったです」と述懐する。

 それを受けた小泉は「ドラマの時は本当に精神的に追い詰められていたんですが、今回もある意味追い詰められていて。撮影現場で江口さんが、『わたしはやはり孝太郎さんとはご縁がある。10年に1度のサイクルで孝太郎さんを追い詰めている』と言われたのがすごくうれしくて。やはり芸能界ではいろんな方と一緒の作品をやりますけど、共演して、また会うというのはありそうでいて奇跡的なことなので。それが夫婦役で、しかもまた追い詰められる。これはめぐり合わせというか。だから自分自身、10年後も楽しみですよ」と語ると、江口は「はい」とひと言。そのやり取りからも、ふたりが信頼しあっている様子がうかがえた。

 「愛に乱暴」は8月30日から全国で公開。

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