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デビッド・リンチ「デューン 砂の惑星」4Kリマスター版 音楽ファン必見のTOTO&ブライアン・イーノの逸話、スティングの怪演

映画.com 2024年7月23日 11時0分

 不朽の名作や、隠れた傑作を上映する、東京テアトルのスペシャル・プログラム「テアトル・クラシックス ACT.4」で、8月2日から公開されるデビッド・リンチ監督作「デューン 砂の惑星」4Kリマスター版。このほど、

 「キングコング」(76)などを手掛けた大物プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが「エレファントマン」(80)を成功させた俊英、デビッド・リンチ監督を抜擢。多額の製作費を投じ、映像化不可能と言われたフランク・ハーバートによるSF大河小説の映画化に挑んだのが本作「デューン 砂の惑星」だ。

 「ツイン・ピークス」(90)など、後にリンチ作品のアイコンとなるカイル・マクラクランの映画デビュー作。初公開時は興行的にも批評的にも振るわず、リンチにとって不本意な作品であったという逸話もある一方、砂虫(サンドワーム)など、「E.T.」(82)のカルロ・ランバルディが手掛けた不気味なクリーチャー造形やハルコネン男爵ら登場人物の醜悪な容姿など、細部に至るリンチ・テイストは魅力的で、映画ファンからは長年カルトムービーとして知られている。

西暦10191年。砂に覆われ、巨大な虫が支配する“デューン”と呼ばれる荒涼の惑星・アラキス。皇帝シャダム4世の従弟にあたるアトレイデス公爵の息子・ポールを中心に、宇宙を支配する力を持つ「メランジ」と呼ばれるスパイスを巡る、壮大なドラマが幕を開ける。

本作の音楽を担当したのはTOTOとブライアン・イーノ。実はエンリオ・モリコーネにもディノ・デ・ラウレンティスから依頼があったという逸話もある。TOTOがグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞した直後、彼らには本作のほかに「フットルース」のプロジェクトの話が来ていたという。その時点で本作監督はリドリー・スコットが務めることになっており、TOTOのデビッド・ペイチがリドリー・スコットのファンであることから映画音楽を引き受けたという。その後リドリー・スコットは降板となったが、メンバー全員で話し合った結果、デビッド・リンチ監督と一緒にやるべきだという結論に達しプロジェクトがスタートしたという。

リンチからとある交響曲を聞かされ、それは「スター・ウォーズ」の様な気分が高揚する様なものではなく、スローで低い音で作ってほしいというリクエストであり、不吉な雰囲気の音楽だった。そして、TOTOが手掛けた映画音楽は本作のみとなった。

 撮影現場に訪れたデビッド・ペイチと話し合ったことについて、リンチは「TOTOとは違うテイストの曲を作りたいと考えていたようだ。彼は天才だが、彼の溢れんばかりの才能は実は一部しか生かされていない。所属グループに配慮して新しい音楽への意欲を抑えていたのだろう。だから彼は本作でその意欲を大いに発揮したよ」と語っている。

 また、ポール・アトレイディスが“命の水”を飲み“ムアディブ”となる場面に流れる「予言のテーマ」を手掛けたのは、ブライアン・イーノだ。そのほか、音楽関連としては、スティングの怪演もみどころだ。リンチは「当初ロックスターのスティングを起用する気はなかった。だが「ブリムストン&トリ―クル」で演じている彼を見て考えが変わったんだ。フェイド役にピッタリだとね。多くの人が彼を本作の主人公と思ってる。彼は売れっ子で本作と同時期に他の映画にも出てるからだ。実際には違うが、彼の演技は本当に見事だったよ」と語っている。

 テアトル・クラシックス ACT.4「デューン 砂の惑星」4Kリマスター版は、シネリーブル池袋ほか8月2日から公開。

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