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【“七夕ロス”解消】熱意とこだわりが生み出した「七夕の国」10分以上のメイキング映像&写真19点披露

映画.com 2024年8月16日 12時0分

 岩明均氏のSF漫画を映像化したドラマシリーズ「七夕の国」(ディズニープラスで配信中)から、瀧悠輔監督と豪華俳優陣が舞台裏を振り返る10分以上のメイキング映像(https://youtu.be/PRpzXjzwLPo)と、メイキング写真19点が披露された。8月8日にディズニープラスで最終話が配信され、その壮絶なラストが話題となった。映像と写真は、“七夕ロス”の視聴者にとって、作品をより深く味わうための貴重な内容になっている。

 謎の巨大な球体“●(まる)”によって、ビルや人が丸くエグられる怪事件が多発する日本を舞台に、祖父から受け継いだ「触れることなく、あらゆる物に小さな穴を開ける」という無益な超能力を持つ大学生・ナン丸こと南丸洋二が、人知を超えた戦いに巻き込まれる。

 原作が連載されていたのは、1996年から99年の間だが、主人公のナン丸を演じた細田佳央太は「あまり時代感を感じなかったというか、現代風にアレンジするとなっても違和感はないと思った」と、原作が持つ時代を超えた普遍性を語る。一方、共演する藤野涼子は、「(原作を)読み終わるとその衝撃に脱力をしてしまった」と回想。また、上杉柊平は学校の図書館で原作と出合ったといい、「当時の作品への印象と、大人になってから読み返したときの印象が大きく違った」と、奥深く多層的な魅力に触れている。

 連載当初から、原作のファンだった瀧監督がこだわったのが、原作のトーンだった。「ダークなトーンと、ナン丸のキャラクターのライト感。マイナーな空気感をなくさないように心がけた」という。細田が「原作からそのまま、脚本に起こしたよう」と明かすように、丁寧に作りあげられた脚本は、配信がスタートすると、原作ファンからの評価を集めた。

 そして、丁寧に作り上げたストーリーの上で躍動するのが、個性豊かなキャラクターたち。その強い個性を実写として表現するため、俳優陣はキャラクターの持つ要素を多面的にとらえていったという。

 ナン丸は、“役に立たない超能力”を持つ平凡な大学生。楽観的で他人に流されやすい性格は、細田本人の性格とは少し離れていたというが、共演シーンの多かった藤野によると、「人を包み込むような優しさや、人の立場になり行動を起こしてくれる人という要素は似ている」という。他人への優しさという共通点が、愛される主人公という、作品における重要なポイントを押さえることに成功した。

 その藤野が演じる東丸幸子は、古い風俗を重んじる閉鎖的な丸川町(丸神の里)に住み、悪夢に苦しむという役どころ。里に囚われた女性の苦悩のなかに隠れる柔和さを、撮影現場で瀧監督と引き出していった。さらに、幸子の兄・高志に扮した上杉は、虚勢の奥に隠し持つ弱さを意識したと振り返る。

 また、本作を語る上で欠かすことのできない存在が、山田孝之演じる謎の男・丸神頼之だ。●の力で、日本中を恐怖に包む頼之は、特殊メイクを施すことで山田の素顔が隠されており、当の山田にとっては、表情を演技に生かすことが難しい。それでも感情の機微を繊細に演じ分ける山田の姿は、細田をはじめ、共演した俳優陣に大きな刺激と感銘を与えた。

 瀧監督も「全員が“飲まれた”瞬間がある。すごい奇跡を見た。化学反応が巻き起こっていく2~3週間だった」と当時を振り返っており、本編に登場する頼之を見ると、その言葉が全く大袈裟ではないと分かるはず。個性的なキャラクターを、俳優陣が十二分に理解し解釈することで、説得力が増し、より魅力的なものになっていったのだ。

 特殊な能力がカギを握る「七夕の国」を実写化する上で、VFX技術が最大限に活用されたことは言うまでもない。「子どもの頃、『スター・ウォーズ』を見ていて大変だろうなと思っていたことが、自分に降りかかってきた」と語るのは、キーパーソンである民俗学の教授・丸神正美を演じた三上博史だ。グリーンバックを背景にしての撮影、触れたもの全てがエグられる●が登場するシーンは、目に見えないものを撮り、その前で俳優が演技をするという難しさをはらんでいる。

 そのため、瀧監督をはじめとする撮影チームは、言葉や模型などを通じて、俳優陣とそのイメージを共有していくことに。メイキング映像には、その様子が映されている。例えば山田と上杉が瀧監督とともに、●のサイズや進むスピードなどを詳細に話し合っていく様子からは、両者の厚い信頼関係が、作品のクオリティを高めていくことを感じさせる。

 こうした熱意とこだわりが生み出した「七夕の国」は、配信開始とともに大きな話題を集めていった。物語が進むにつれて明かされる謎の数々と、全ての事件の首謀者である頼之の目的。そしてナン丸と頼之、同じ能力を持つ彼らの正反対の選択が、見る者の心を離さず、深く考えさせる結果になった。「ふたりの真ん中にいるのが日本人。ナン丸と頼之は日本人の両端にいるイメージで撮影した」(瀧監督)。だからこそ、現実離れした物語でありながら、双方への感情移入と共感を生み出したのだ。

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