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世界最高峰のフレンチレストランの内部を映す「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」本編映像&平野啓一郎、三國清三、濱口竜介ら著名人コメント

映画.com 2024年8月21日 8時0分

 ドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマン監督の最新作「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」。親子3代でミシュランの三つ星を55年間保持する、最高峰のフレンチレストランの内部を映した本編の一部映像と、平野啓一郎、三國清三、濱口竜介ら著名人からのコメントが公開された。

 アカデミー賞名誉賞を受賞し、全世界から敬愛される94歳の巨匠ワイズマンが最高峰のフレンチレストラン「トロワグロ」の秘密に迫ったドキュメンタリー。2022年からスタートした撮影と編集を経て完成した。

 樹々と湖に囲まれた印象派の絵画のようなフランスの村ウーシュに佇む、世界の美食家たちが生涯に一度は訪れたいと夢見る「トロワグロ」。ワイズマン監督が「トロワグロ」のレストランと料理に魅了されて撮影を熱望。建築家パトリック・ブシャンが建てた、周囲の自然と解け合いながらそこにモダンさを加えた新しいレストランを主な舞台に、オーナーシェフ3代目のミッシェルと4代目のセザール、さらにスタッフたちの終わりのない食への追求の日々をとらえる。家族で始めたレストランが創業以来94年間、変わらず愛されつづけてきた秘密を紐解く。

 このほど公開された映像は本編冒頭で、朝8時、ロアンヌ駅前のマルシェで4代目オーナーシェフのセザール氏が野菜の買い出しをしている場面。なじみの店の店主からガーリックマスタードを販売しているとメールが入り、セザールは訪れたのだ。その店でセザールはスタッフとともに野生のクレソンを味見し、ガーリックマスタードと一緒に購入。さらに彼らは、タコのような巨大な平茸と出合い、「美しいまるで彫刻だ。丸ごと料理して、ローストしたら美味しかった。買うか?」と盛り上がる。爽やかで活気のある朝のマルシェの風景、新鮮な野菜の数々も観る者の目を楽しませ、そして<トロワグロ>が、普段どのような食材をどのように仕入れているのか、洗いざらい映し出される。

 「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」は、8月23日からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。

▼コメント一覧

4時間もの大作!しかしこれは、飽くことなく見入ってしまう。実り豊かな自然との対話を通じ、インスピレーションと熟練の技術とが織りなす、目も綾なる料理の数々。「食べる」という人間の行為の、最も洗練された、美しい祝福。フランス料理の究極のエスプリを体験されたし!
平野啓一郎(小説家)

愛され続け継承される料理という壮大な芸術作品がどのように生み出されるのかその想像力、感性、知性、情熱、追求、視野、勤勉さ、映画を見終わると自分の経験としてその時間が刻まれることでしょう94歳の監督が向けた眼差しの先と時間はドキュメンタリーの真髄であった
野村友里(eatrip 主宰/料理人)

フレデリック・ワイズマンの新作『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』を見ていて驚かされるのは、料理に携わる人たちにとっての言葉の役割の大きさだ。彼らは頭の中でその日のメニューを完成し、共有する。しかし、それが余すことなく我々に伝えられるのは、優れたマイク技術、そして被写体の近くにとどまる撮影者たちの力による。ワイズマンは 90 歳を超えた今も自分でマイクを振っているのだろうか? 料理と映画の「技術の粋(すい)」が出会う、その至福。
濱口竜介(映画監督)

レストランの仕事はオーケストラのようだ。テーブルに座った私達の目には見えない、たくさんの心遣いがあるからこそ、忘れられない思い出になるのだろう。 私は家庭料理が好きだ。でも、久しぶりにゆっくりと、レストランで食事をしたくなった。
タサン志麻 (家政婦)

ここまでキッチンを見せるレストランも映画も僕は知らない。
毎日試行錯誤して、話し合う、その繰り返えしで三つ星を 55 年獲得し続けている。
三つ星の料理はディテールの積み重ね。あれがグランメゾン、あれがトロワグロ。
食に興味のある方、特に料理人には観てほしい。
三國清三(料理人)

終わらない探求と試行。
’It's never finished. It’s always in the movement’ と語るミッシェル・トロワグロ氏の言葉と実践に、90代になっても映画を撮り続けているワイズマンの姿が重なって見えた。
小田香 (映画作家)

人に、時間を、空間を、料理を、そして幸せを提供することの意義と、プロフェッショナルとは?を、改めて考えさせられた。
田崎真也(ソムリエ)

プロの料理人たちの真剣な眼差しに、時間を忘れて魅了されました。料理の一つひとつが愛にあふれ、レストランを囲む田園風景が美しく、地球に生きている喜びを感じずにはいられません。
こんなにも素敵なレストランが、この星に存在するのですね!
小川糸(小説家)

「自然を支配する人々」(旧約聖書)の土壌を知り・感覚所与を記号化した新しい農業(biodynamie)と、あまりにも人間的な料理(gastronomie)の仕事・・が描かれている。
土井善晴(料理研究家)

家族の肖像画の内側から現れる、フランス料理の真実。
洗練と素朴が睦み合うひと皿、ひと皿に圧倒的な説得力がある。
平松洋子(エッセイスト、作家)

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