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見上愛&宮世琉弥が告白する恋愛観【「恋愛バトルロワイヤル」インタビュー】

映画.com 2024年8月24日 12時0分

 Netflix「恋愛バトルロワイヤル」で、見上愛と宮世琉弥が初共演を果たした。今や世代を代表する俳優となり、あらゆる作品で鮮やかな存在感を発揮しているふたり。本作では、恋のときめきや戸惑い、自分の道を切り開いていく葛藤までを体現してまた新たな扉を開いている。宮世が「うるっとした」という見上の座長としての振る舞いや、見上も「振り幅に驚いた」という宮世の役者力。「この経験があるから今の自分がいる」というエピソードまで、笑顔いっぱいに語り合った。(取材・文/成田おり枝、編集/大塚史貴)

●初共演の感想は? 見上愛の気遣いに、宮世琉弥が涙

 “男女交際禁止”の校則が制定された超エリート高校を舞台に、前代未聞のバトルロワイヤルが巻き起こる様子を描く本シリーズ。不条理なルールや運命に抗って、自分らしさを手放さないために立ち上がる主人公の唯千花(見上)。世間体ばかりを気にして家族を縛り付ける父との確執を抱えながらも、唯千花に恋をすることで変化していく真木(宮世)など、かけがえのない日々を必死に生きる高校生たちの姿をつづる。「人を好きになること」で生まれる嫉妬や裏切り、喜びや輝きまでを浮き彫りにするセンセーショナルかつ、ドラマチックなシリーズとして完成した。

――物語の基になっているのは、男女交際禁止の校則を破り、自主退学勧告を受けて退学した元女子生徒が、学校法人を訴えたという裁判。実際の出来事を出発点に、Z世代の恋愛観について広範囲なリサーチを行って練り上げられたオリジナルストーリーとあって、リアルで切実な感情が込められた作品となりました。Netflixで世界配信される本作ですが、出演が決まった時の感想を教えてください。

 見上:オーディションは「楽しもう」という気持ちで臨みました。合格の連絡をいただけて、とてもうれしかったです。これまで、主演としてその場に立つカッコ良い先輩方の姿をたくさん目にしてきました。お芝居をしている時はもちろん、そうではない時間の過ごし方もとてもステキで、現場の誰もが気持ち良くいられる空間を作られていて。今回、主演という立場をいただいて「私もそういう人でいなければ!」というプレッシャーもありました。

 宮世:世界配信もされる大規模な作品なので、僕も出演が決まった時には緊張しました。唯千花を演じるのが見上さんだと聞いて、共演させていただけることもとても楽しみでした。そして見上さんの座長としての姿は、完璧でした!

 見上:ええ! ありがとうございます。

 宮世:実は僕、うるっときてしまったエピソードがあって。僕が体調を崩してしまった時があったんですが、その時に見上さんがすごく心配してくれたんです。事情を聞いてくれたり、気にかけてくれたりと、「こんなにステキな人がいるんだ!」と思うくらい。撮影期間はもちろん大変なこともあるものなので、寄り添ってくれる座長がいるというのはものすごく心強いこと。見上さんの人柄もとてもステキだなと思って、ちょっと一人でうるっときてしまったんです。共演者の体調まで気にかけてくれて、視野が広いなと感じました。

 見上:そんなに染み入ってくれているなんて、思っていませんでした(笑)。私はすごく人見知りで、なかなかみんなとうまく距離感を近づけられないところがあって…。でも宮世くんは生徒のみんなに平等に話しかけて、その輪に私も呼んでくれたりと、そのおかげでみんなと円滑にコミュニケーションを取ることができました。

――唯千花と真木は、少しずつ距離を近づけていく間柄です。お芝居で対峙してみた印象はいかがでしたか?

 宮世:僕は、見上さんのお芝居に常に圧倒されていました。撮影中、心の中で「すごいな」と何度も思っていました。唯千花というキャラクターをリアルに表現されているところもそうですし、お芝居を一緒にしているとこちらも言葉のキャッチボールをとても気持ち良くできる。そのすごさを肌で感じたような気がして、いろいろなものを吸収させてもらったなと思っています。

 見上:なんだか照れちゃいます(笑)。宮世くんが演じた真木くんは、唯千花から見ても、視聴者の方から見ても、最初は「ちょっとイヤなヤツだな」と思うようなキャラクターだと思うんです。でもお話が進むにつれて、彼のお母さん思いな一面や、家庭の事情が見えてくる。宮世くんはその振り幅をすばらしく表現されていて、すごいなと思いました。

●どんな恋をしてみたい? 恋愛観を告白

――劇中では“男女交際禁止”という校則を軸に、それぞれの悩みが浮き彫りとなっていきます。退学になってしまう可能性があるのに「好き」という気持ちを抑えられなくなったり、誰かを好きになることで嫉妬などネガティブな感情に絡み取られてしまう人もいます。一方で「誰かを思う気持ち」は確実に人を変化、成長させるものだということも描かれています。お二人は本作を通して、恋愛について考えたことはありますか?

 宮世:物語を通して唯千花は変化をしていくし、真木も、唯千花に恋をすることで変化していきます。それはとても人間くさくて、同時に魅力的なものだなと思いました。真木は、唯千花がこれまで誰にも言えなかったような思いを打ち明けてくれたり、弱い部分も見せてくれたことで、彼女のことが気になっていく。真木を演じる上では、「一緒に行動をする中で、少しずつ唯千花の気持ちを知っていく」という点を大事にしていました。また本作では、LGBTQ+のキャラクターの心情も映し出されます。世界中に恋愛においていろいろな悩みを抱えている人がいると思うので、たくさんの方の背中を押すことができる作品になっていたらうれしいです。

 見上:劇中で「恋愛を通して大人になる」というセリフがあるんですが、その言葉は本作の肝になる言葉だなと感じています。恋愛をするということは、一人の相手と深く、濃く関わろうとすること。同時に、自分自身の内面を見つめ直す機会にもなると思います。唯千花も劇中で恋をしていきますが、恋愛ってやっぱり自分自身の思いだけではどうにもならないもので、そういった時に生まれるモヤモヤした感情は、きっとクラスメイトや家族と関わる中でも生まれたりするものですよね。誰かと関わり合いを持ち、相手を思いやるということは、人が成長するにあたって大きな役割を果たすものなんだなと思いました。

――たしかに、自分だけの気持ちでは成立しないのが恋愛ですね。お二人にとっての理想の恋や、恋愛観があれば教えてください。

 見上:なんだろう! 例えば道でぶつかってそれが恋につながる…みたいな運命的な恋とか(笑)!?

 宮世:あはは!

 見上:私の友だちや周囲では聞いたことがないですが、少女漫画のような出会いがあったら面白いなと思います。理想的だなと思うのは、お互いに影響を受けて成長していけるような関係。とてもステキだなと思います。

 宮世:僕の理想は、尊敬し合えるような関係性です。価値観や趣味が全然違っても良いと思うんです。友だちでもそうですが、全く知らない世界に触れさせてもらって、そこから新しい趣味を見つけたり、「こんなことがあるんだ!」と教え合えるような関係って、とても良いなと思います。

●見上愛&宮世琉弥の現在地。もがいた過去、大切な決断

――唯千花は、“男女交際禁止”の校則と戦っていくことになります。お二人が高校生時代に戦っていたことや、葛藤していたことがあれば教えてください。

 見上:高校3年生の終わり頃に突発性難聴になり、片耳がまったく聴こえなくなってしまったことがありました。聴こえてくる音が今までと違うものになってしまったり、人との距離感もつかめなくなったり。でも、弱って落ち込んだのは最初の1日目だけでした。「こんな経験をできていることは貴重だ」とポジティブに考えることで、元気になって。その頃に書いていた日記を家族と一緒に読み返したことがあるんですが、「こんなふうに前向きに考えられたなんて、強かったな」と改めて感じました。

 宮世:唯千花が「この学校で過ごす時間は当たり前のものではない」ということを話す瞬間があるんですが、僕の中でその言葉がとても胸に響きました。僕は高校生の時にはすでにこのお仕事を始めていたので、あまり学校には行けていなくて。学校帰りに、みんなとご飯を食べに行くこともしたことがないんです。街で友だちと一緒ににぎやかに歩いている高校生をみると「いいなぁ」と感じることもありましたが、その当時の僕を支えてくれた人たちとの出会いや、そういった時間に替わってできたすばらしい経験もたくさんあるなと思っています。

――本作で、高校時代を擬似体験できて楽しかったことはありますか?

 宮世:本作は学園ものの中でも出演者の方がたくさんいる作品だったので、それだけの大人数で地方ロケにいったのも初めてのことでした。朝起きて、みんなでホテルのロビーに集合して、バスに乗って撮影場所まで行くことも、なんだか修学旅行のようでとても楽しかったです。みんなで動物園をまわるシーンもあって、あの撮影もみんなでたくさん笑った思い出になっています。

――唯千花が自分で決断をして、力強く立ち上がっていく姿は、多くの人に勇気を与えるものだと感じます。お二人にとって、この時に自分で決めたこと、動いたことによって「今の自分がある」という大切な決断をしたご経験があれば教えてください。

 見上:大学受験です。中学3年生の時点で行きたい大学を決めて、部活動を変えて今の事務所の養成所に通い始めたりと、その大学に入るためにいろいろなことを順序立てて考えて行動しました。

――行きたい大学はどのように決められたのでしょうか。

 見上:寺山修司が好きになり、その大学に寺山修司の著作権を管理している方が講師としていらっしゃるというのを知って、絶対にその授業を受けたいと思いました。中学、高校生の頃は演劇の世界がとても魅力的に思えて、憧れがどんどん膨らんでいきました。俳優のお仕事を始めるようになってから、自分が予想していたよりも何十倍もの人たちの力が合わさって作品ができるものなんだなと知りましたし、いろいろな出会いがあって、とても楽しいです。

 宮世:僕はコロナ禍に突入した時期に、いろいろなことを考えました。目標を見つけて気持ちを新たに進んでいこうと思っていたときに行動したくてもできないような状況で、不安に思うことがたくさんあり、「どうしたらいいんだろう」と呆然としてしまう時もありました。でもそこで「この時間は自分にとって大切なものになる」と思い直して、今できることは何だろう、逆に家にこもっているからこそできることもあるのではないかと考え、自分の特技を探したり、ギターの練習を始めるようになって。自分磨きの時間に使おうと前向きになれたのは、とても大きな出来事だったなと思っています。

――改めて、このお仕事が好きだなと感じることも多かったでしょうか。

 宮世:本当にそう思います。僕自身、元気がなかった時にアーティストさんのパフォーマンスを見て立ち直れた経験があって、「そういうことができる存在になりたい」「誰かに感動を与えられるお仕事に就きたい」と思って活動をスタートさせました。これからもそういう思いを大切にしていきたいです。

 Netflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」は8月29日より世界独占配信。

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