「6才のボクが、大人になるまで。」「スクール・オブ・ロック」のリチャード・リンクレイター監督がメガホンをとった「ヒットマン」。主演のほか、リンクレイター監督とともに脚本も手掛けたグレン・パウエルのインタビューが公開され、製作の背景などを語っている。
本作は、1990年代に偽の殺し屋として警察のおとり捜査に協力していた人物の実話にインスパイアされたクライム・コメディ。
普段は冴えない大学教授でありながら、おとり捜査で偽の殺し屋に扮し殺しの依頼をしてくる「依頼人」たちを次々と逮捕へ導いていくゲイリーをパウエル、夫の殺害を依頼するも、ゲイリー扮する偽の殺し屋ロンに惹かれ、恋に落ちるマディソンを「モービウス」でヒロインを演じ、プライベートではジェイソン・モモアとの交際が報じられたアドリア・アルホナが演じる。
企画の発端は、パウエルが「テキサス・マンスリー」誌の記事を読み、モデルとなった偽の殺し屋という嘘のような本当の話に興味を持ったことだった。この記事は20年以上も前の記事で、かつてブラッド・ピットを含む幾人ものプロデューサーがこのネタを映画化しようと試みたが、断念したという。
そんな魅力的でありながら、とても難しいテーマであった本作の開発パートナーにパウエルが選んだのが、彼がスターと呼ぶ、リンクレイター監督だった。リンクレイター監督は、この記事が出た2001年当時の段階でこの話をすでに知っており、映画化を模索しながらも諦めた一人だった。
インタビュー映像内で、パウエルは「最初の脚本を読んだ時、映画をどう作るかが課題だった。中年の危機に瀕した男は、いつもと違う服を着てみたり、いろんなワードローブを試してみたりするのを、ゲイリーは仕事として実践していて、その結果平均的な自分を保っていた。リック(リンクレイター監督)と私がやろうとしたのは、もしそのように違う人格や見た目を試しているときに、誰かがその人格に恋をしてしまったら? それと同じように 自分自身もその人格が好きになり、それが初めからあなた自身だったと気づいたら? ということだった」と振り返る。
さらに、「記事には、彼と実際に危険な状態にあった女性との関係について書かれた文章がありました。元夫に命を狙われていた彼女は、元夫に殺される前に殺し屋を雇おうとしていました。それが事実だとわかって、ゲイリーは巻き込まれ、二人の関係が築かれたのです。私はリックに『ここがストーリーだと思う。ここを深掘りする必要がある』と言ったんです。そこから話を深掘りしていきました」と、パウエルの着眼点がリンクレイター監督を動かしたという。
共同脚本に名を連ねていることについては「以前にも脚本を書いて売ったことはあったけど、製作が決まったのはこれが初めてです。自分のヒーローであり、友人であるリチャード・リンクレイターの隣に自分の名前があるなんて夢のようです」と述べている。
「ヒットマン」は9月13日より新宿ピカデリーほかで全国公開。