「トランスフォーマー」シリーズ最新作となる3D CG「トランスフォーマー ONE」が、9月20日に劇場公開される。本作ではオプティマスプライムとメガトロンの過去が紐解かれ、固い友情で結ばれた2人がやがてすれ違っていくさまが描かれる。本記事では、シリーズを象徴する好敵手同士の2人にちなみ、映画史に残るライバルキャラクターを振り返る。
本作の舞台は、遙か宇宙の彼方、ロボット生命体トランスフォーマーが暮らすサイバトロン星。変形能力を持たないオプティマスプライム(オライオンパックス)とメガトロン(D-16)は固い友情で結ばれ、いつかヒーローになることを夢見ていた。ある日、謎のSOS通信を発見した2人は、仲間のバンブルビー(B-127)とエリータ-1とともに、侵入が禁止されている地上世界に足を踏み入れ、恐ろしい陰謀と強大な敵の存在を知る。強大な敵に立ち向かうため、変形能力を授かったオプティマスプライムとメガトロンだったが、2人の正義感には少しずつ隔たりが生まれつつあった。
監督は、「トイ・ストーリー4」のジョシュ・クーリー。若かりしオプティマスプライムの声はクリス・ヘムズワースが担当し、メガトロンの声はブライアン・タイリー・ヘンリー、エリータ-1役はスカーレット・ヨハンソンが務めた。
正義のオートボットをまとめる最強のヒーロー、オプティマスプライム。一方、破壊の限りを尽くす最悪の宿敵メガトロン。本作では、これまで明かされていなかった2人の“はじまりの物語”が描かれる。親友、家族、世界の英雄が、思いもよらぬきっかけでダークサイドへと堕ち、最大の敵として現れる。運命がそうさせたのか、どこかで引き返せるチャンスはなかったのか、そんな切ない想いを抱えながら戦いに挑む姿は観る者の心を揺さぶる。ここからは、オプティマスプライムとメガトロンのように、記憶に残る結末を迎えてきた大ヒット映画のライバルキャラクターを振り返っていく。
●夏油傑(げとう・すぐる)(「呪術廻戦」)
誰もが認める最強の呪術師である五条悟とは、かつて呪術高専時代の同級生であり親友、そして肩を並べる実力者だった夏油傑。“最強コンビ”として共に任務を遂行するなかで直面した大きな挫折と絶望、葛藤の果てに、夏油は呪術師とは正反対である“最悪の呪詛師”へと堕ちてしまう。
五条とは結果的に永遠に道を違えることとなるが、カリスマ性があり、作中随一ともいえる人気と実力を誇る夏油と五条のストーリーは、単なるライバル関係には留まらないエモーショナルな展開が待ち受ける。2人のエピソードもまた、“呪術廻戦のはじまりの物語”とも言える重要な一編となっている。
●ダース・ベイダー(「スター・ウォーズ」シリーズ)
世界で最も有名と言っても過言ではないヴィランにして闇堕ちキャラといえば、ダース・ベイダー。銀河を危機に陥れる“暗黒卿”の正体は、歴代最高のフォースの持ち主ともいわれるほど才能あふれるジェダイの騎士、アナキン・スカイウォーカーだった。
アナキンは、さまざまな苦悩の果てに暗黒面=ダークサイドへと堕ち、ジェダイの師であるオビ=ワン・ケノービや、息子ルーク・スカイウォーカーと激闘を繰り広げる。シリーズを重ねるごとに明かされていく過去が、より悲劇的でエモーショナルな記憶となり、ダークサイドの代名詞となった。
●ウタ(「ONE PIECE」)
2022年に公開された「ONE PIECE FILM RED」に登場したウタ。赤髪のシャンクスの娘で、主人公ルフィの幼馴染である彼女も見逃せない。ウタウタの実の能力者で、“歌を通じて世界を幸せにしたい”という信念のもと歌声を届け続け、世界で最も愛される歌姫となったウタだが、過去の父子の心のすれ違いが膨らみ、世界を揺るがす衝撃的な計画を実行してしまう。
無邪気で心根が優しく、常に全力で生きているウタ。彼女の人生を知ると、徐々に瞳の奥に恐ろしい計画をのぞかせていく様子と、そんな彼女を救うためにルフィとシャンクスが立ち上がる展開に、より感動が込み上げてくるはずだ。
●トゥーフェイス、ハーレイ・クイン(「バットマン」シリーズ)
「バットマン」シリーズといえばスーパーヴィランのジョーカーが有名だが、正義から悪へと変貌してしまった背景がより色濃いのは、トゥーフェイスとハーレイ・クインだろう。
正義感にあふれる検事であり、バットマンとも度々共闘してきたハービー・デント。しかし、顔に酷い損傷を負ったことをきっかけに大犯罪者・トゥーフェイスとなってしまう。一方、ハーレイ・クインは人々を救う精神科医だったが、ジョーカーの思想や精神構造に魅入られ、手を組んでしまう。いずれもゴッサム・シティの秩序を守るために戦うバットマン側の人間だったはずが、街を恐怖に包む悪の存在となっていく。
彼らに共通しているのは、あたたかな人格をもち、“良い人生”と言えるような過去を持っているにもかかわらず、思いがけない出来事や悩みを抱えきれなくなることでダークサイドへの扉が開いてしまうという背景。長年にわたって敵対関係を繰り広げているオプティマスとメガトロンに、果たしてどんな“はじまりの物語”があるのか。胸アツな展開に期待が高まる。