鈴木清順監督の名作「東京流れ者」(1966)4Kデジタル復元版が、が、9月27日から劇場公開される。
誰にも真似できない斬新な映像美で<清順美学>を築き上げた映画監督、鈴木清順。「ツィゴイネルワイゼン」(80)、「陽炎座」(81)、「夢二」(91)の”浪漫三部作”などで広く知られ、ウォン・カーウァイ、ウェス・アンダーソン、ジム・ジャームッシュ、クエンティン・タランティーノ、パク・チャヌクらの名だたる作家に影響を与えた。なかでも「東京流れ者」(66)は「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフンがベストリストの1位に選び、デイミアン・チャゼルは「ラ・ラ・ランド」で本作にオマージュを捧げるなど、近年ますます世界的に評価が高まっている。
デビュー2年目の渡哲也のフレッシュな魅力と、恋焦がれる松原智恵子の憂いを帯びた名演が印象的な本作は、魔法的な映像、色の洪水と、いつまでも耳に残るメロディ──鈴木清順の永久不滅の美学を楽しめる一作だ。
「東京流れ者」の4Kデジタル復元は、鈴木清順生誕100周年プロジェクトの一環として実現。2022年に「殺しの烙印」(67)4Kデジタル復元版のレストレーション作業を手掛け、同作にベネチア国際映画祭クラシック部門最優秀賞をもたらしたImagica EMSが、当時の色を調査研究し可能な限り正しく再現する「カラーフィルム・シミュレーション」を用い、世界最高峰の技術と科学的なアプローチで「東京流れ者」の“本当の色”をよみがえらせた。
本4Kデジタル復元版は、2024年6月22日にイタリアの第38回チネマ・リトロバート映画祭(ボローニャ復元映画祭)でワールドプレミア上映され現地で絶賛された。今回の公開が日本のスクリーンでの初披露となる。
また、「東京流れ者」4Kデジタル復元版をはじめ「刺青一代」「花と怒涛」などの名作を収録した「鈴木清順生誕100周年記念 ブルーレイボックス其の参『セイジュンと流れ者』」(3万3000円:税込)も9月4日に発売される。
「東京流れ者 4Kデジタル復元版」9月27日から、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか 全国順次公開。
<あらすじ>
ヤクザを辞め、恋仲の歌手・千春と結婚することを決心していた哲。敵対する大塚組に襲われても哲は決してやり返さなかった。しかし、哲のボス・倉田とライバル大塚の抗争は次第に激化。大塚は殺し屋“マムシの辰”を雇い、哲を執拗に追い回す。争いを避ける哲は東京から流れ日本各地を転々とするも、行く先々でトラブルに巻き込まれる。破る この地獄を──殺し屋・辰とのやり合い、倉田と大塚の抗争…その影がついに恋人・千春に落ちたとき、哀しきペールブルーのスーツを纏う”不死鳥の哲”が、ネオン輝く東京の夜に舞い戻る。