江口のりこが主演を務め、森ガキ侑大が監督を務めた映画「愛に乱暴」(公開中)の絵画プロジェクトが始動し、都内の劇場で期間限定で展示会が開催されることが決定した。
原作は、「悪人」「さよなら渓谷」「怒り」など多くのベストセラーが映画化された吉田修一氏の同名小説。夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす桃子(江口)は、義母から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うように、センスのある装い、手の込んだ献立などいわゆる「丁寧な暮らし」に勤しみ毎日を充実させていた。そんな桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始める。近隣のゴミ捨て場で相次ぐ不審火、失踪した愛猫、度々表示される不気味な不倫アカウント…。桃子の平穏な日常は、少しずつ乱れ始める。
同プロジェクトは、森ガキ監督がかねて交流のあった新鋭画家・真田将太朗の描く大胆な世界に、「愛に乱暴」と同じ匂いを感じとったことから始まっている。森ガキ監督から“映画を題材とした作品を描いて欲しい”と依頼され、作品を鑑賞した真田がこれを快諾。こうしてプロジェクトがスタートした。
チェコのカルロヴィ・ヴァリ映画祭で現地の若いアーティストたちと、映画をきっかけに豊かな交流をした経験をした森ガキ監督。それがきっかけとなり「日本でも、アーティストを目指す若い学生たちに映画で感じた事を、自由に表現に繋げてもらいたい」と考えたそう。そこで、真田と東京藝術大学の後輩・小前光(東京藝術大学絵画科油画専攻)が中心となり、若手アーティストたちのネットワークで呼びかけたところ、史上最年少で岡本太郎賞を受賞した東京藝術大学の大西茅布を始め、デジタルハリウッド大学ほかアート界隈の賛同者から、7点の「愛に乱暴」インスピレーション作品が集まった。
また真田から絵を習っている森ガキ監督も油絵を制作。今回のプロジェクトに作品を寄せている。
真田は自身の作品について「映画『愛に乱暴』を見させて頂いたときに、体が受けていた感覚を素直に表現することを心がけました。過去を抱えながら単調に生活を守ろうとしてきた女性と、その生活に入り込んでくる暗い現実。印象的な夏の雰囲気と涼やかな映像が際立たせる、彼女が身を預けようと努力した狂気を一つの風景として描いています」と語っている。
【「愛に乱暴」絵画展示情報】
展示場所:シネリーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷(各劇場にて4点ずつ展示)
展示期間:8月30日(金)~9月12日(木)