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堤幸彦監督が最新作「夏目アラタの結婚」に自信 「顔面歌舞伎」と称す今作は「顔の持つメッセージ性が重要」

映画.com 2024年9月2日 15時0分

 映画「夏目アラタの結婚」のティーチインイベントが都内で行われ、堤幸彦監督と音声プラットフォーム「Voicy」代表の緒方憲太郎氏が出席した。

 本作は、「医龍 Team Medical Dragon」シリーズの原作などで知られる乃木坂太郎氏の人気漫画を実写映画化。児童相談所職員の主人公・夏目アラタが、連続殺人犯の死刑囚・品川真珠にプロポーズすることから始まる“獄中サスペンス”を描く。

 「SPEC」シリーズ、「十二人の死にたい子どもたち」などの堤監督がメガホンをとり、連続殺人事件の遺族から相談を受け、死刑囚に会いに行く元ヤンキーの児童相談所職員・夏目を柳楽優弥、“品川ピエロ”の異名をもつ死刑囚の真珠を黒島結菜がそれぞれ演じた。

 実は緒方氏は、黒島扮する真珠に殺された3人の社会的成功者のうちの一人・周防英介役で本作に出演。イベントでは出演の経緯や、堤監督との関係、出演者として作品を見た感想に加えて、映画というメディアをどう捉えているのか、そして起業家から見た堤監督作品の魅力などについて語った。

 堤監督は過去に、緒方氏のラジオ番組にゲスト出演。その際、“殺人犯に殺される実業家の役”を探していた堤監督が緒方氏にオファーし、本作への出演が決定したという。緒方氏は、「今日僕も改めてみんなと一緒に観まして、僕の出るシーンで苦笑が起こっていてどうしようかと思いました(笑)。僕が思うに、一番出番の短いキャストとして監督と一緒に登壇させていただくと思う」と挨拶。今回が2回目の鑑賞ということで、「漫画もどんでん返しの連続で、1回目観た時わからなかった部分も今回、とてもしっくりきました」と感想を語った。

 堤監督は、「2回観ないとわからない、ということは悪いことではなく、僕自身1回でわからなかったとしても、その奥に感じる何かがあるような映画が好きで、結論を押しつけがましくするよりも、曖昧なところがあるほうが良いなと思っています」とコメント。「今回は今までにないくらい編集にとても頭を悩ませましたが、編集の洲﨑(千恵子)さんがとても良いものを仕上げてくれて、さらに作品のレベルを高めることが出来ました」とチーム全員で作り上げた作品に自信をのぞかせた。

 緒方氏が「黒島結菜さんが、マウスピースをつけて撮影されていて『外したい』と言っていたのが印象的でした」と振り返ると、堤監督は「あれ(マウスピース)がないとこの作品は成立しないので、あれをやっていただけるかどうかにかかっていました」とその重要性を語った。

 さらに、緒方氏は「控室で他の被害者の方と一緒になって、『堤監督が僕と似た方を集めてくださったのかな』、と思っていたらお2人とも俳優をちゃんとやられている方で、恐縮してしまいました(笑)」と撮影時のエピソードを披露。そんな緒方氏に対し、堤監督は「あの立ち位置はとても重要で、どういう殺人事件なのか、ちゃんとした説得力を持たせる必要がありました。今回、僕はこの作品を『顔面歌舞伎』と言っていますが、顔のアップをたくさん使っていまして、それだけ顔の持つメッセージ性が重要なんです。そう考えると、緒方さんの顔の持つメッセージ性が一番強いんです! 演技という嘘がないので!」と労った。

 続いて、「これだけ多くの作品を製作されていていると、改めて自身の作品を見直した際に、やり直したいなと思う事はあるんですか?」と問われた堤監督は、「あります! しょっちゅうあります!」と回答。会場からは驚きの声が上がった。

 緒方氏は撮影の裏話も披露し、「自分の出演シーンの撮影前日、めちゃくちゃセリフを練習したのですが、当日現場で堤監督に『そのセリフを頭を壁に打ち付けながら言ってみて』とお願いされまして、結構強めに頭打ち付けて頑張ったんですが、本編ではほとんどカットされてましたね(笑)」と恨み節。堤監督は「申し訳ないです! ただ、現地で撮影場所を見て、緒方さんの姿を見てみないと思いつかないこともあったので(笑)。是非緒方さんのそのシーンにもご注目いただきたいです!」とアピールした。

 最後に緒方氏が「監督として、どういう風にこの作品をお客さんに楽しんでいただきたいですか?」と質問すると、堤監督は「最初はなかなか混乱すると思いますが、今日緒方さんが言ってくださったように、2回ご覧になっていただくと意味がわかることが多いかと思います。人間の脳は不思議なもので、最初に観ただけで混乱、混沌としていたものも、2回目見ると整理整頓されて、より多くのことを受け取れるようになるみたいなんですね。なので2回、立体感のある劇場でお楽しみいただけたら嬉しいです」とメッセージを送った。

 「夏目アラタの結婚」は9月6日より全国公開。

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