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広瀬すず、仲野太賀、森七菜、草彅剛、神木隆之介らが集結 奥山由之の自主制作オムニバス長編映画「アット・ザ・ベンチ」11月15日公開

映画.com 2024年9月5日 20時0分

 映像監督・写真家として活躍する奥山由之による自主制作オムニバス長編映画「アット・ザ・ベンチ」が、11月15日から公開されることが決定。あわせて、ポスタービジュアル、キャスト情報、シーン写真、奥山監督のコメントが披露された。

 変わり続ける東京という街の、変わらずに残したい景色を舞台に、巡る季節の中の、さまざまな人々の、とある一日の思い出の時間を紡ぎたい――。そんな奥山監督の願いからスタートした自主制作映画「アット・ザ・ベンチ」は、東京・二子玉川の川沿いに佇む古ぼけたベンチを舞台に、人々の何気ない日常を切り取った長編オムニバス作品だ。

 自らの個人的な想いに呼応して集ったキャスト・スタッフと共に小さなチームを組み、手弁当ながら1編ずつをじっくりと作り上げてきたという奥山監督。その稀有な制作スタイルついて「これ以上に純粋な創作は、生涯の中で何度と出来ることか分かりません」と語っている。

 2023年9月30日に第1編、2024年4月27日に第2編がVimeoで無料公開となり大きな反響を呼んだが、新たに制作された第3編、第4編、第5編を加えて、全5編のオムニバス長編作品として劇場公開となる。

 1つの場所にまつわる5つの物語。10人の登場人物を演じるのは、広瀬すず(第1編・第5編)、仲野太賀(第1編・第5編)、岸井ゆきの(第2編)、岡山天音(第2編)、荒川良々(第2編)、今田美桜(第3編)、森七菜(第3編)、草彅剛(第4編)、吉岡里帆(第4編)、神木隆之介(第4編)。奥山監督自身が出演を熱望したキャストの共演が実現している。

 なお、脚本として、生方美久(第1編・第5編)、蓮見翔(第2編)、根本宗子(第3編)が参加。奥山監督は第4編の脚本も兼任している。

 「アット・ザ・ベンチ」は、11月15日からテアトル新宿、109シネマズ二子玉川、テアトル梅田ほか全国公開。奥山監督のコメントは、以下の通り。

【奥山由之】

僕の散歩コースの途中には、川沿いにぽつんと佇む1つの古いベンチがあって、“川沿いにぽつん”と言っても、水辺に近いわけではなく、車道沿いにあるバス停のそれでもなく、芝生の広場の真ん中になぜかそれはあって、球遊びをしている子供たちや、犬の散歩をする人たちがチラホラいるのだけれど、みんな邪魔そうにするわけではなく、かといって座るわけでもなく、ただただ通り過ぎていく。

そのベンチと関わる人を見たことがないので、実は誰にも見えていないのではないかと思ったこともあるのだけれど、恐らく、ベンチの設置場所としては風変わりなスタイルをとっていることで、「あぁ座りたいなぁ」とは思わせない絶妙な調度よくなさがあるのだろう。そのベンチの周辺一帯だけがなぜかコンクリートの地面であることも不思議でならない。

僕がそいつに目をつけてからもう何年も月日が経っているのだけれど、一向に撤去される気配はなく、そいつはやはり誰にも見えていないのかもしれない。

そんなある日、近くで大きな橋の工事が始まった。

東京という街は、いつだってうねるように、まるで生き物のように、部分的な変化を続けている。便利になったり、綺麗になったり、勿論いいこともあるのだけれど、いつの間にか無くなってしまう景色を懐かしむ間もなく、記憶は塗り替えられてしまう。愛着を抱いていた場所でさえ、久しぶりに訪れると「前はどんな様子だったけ…」なんて忘れてしまうこともしばしばだ。

変わりゆく景色の中で、変わらずそこにいるベンチ。古ぼけた座面はなんだか頼りなく、妙な味わいと個性を放っていて、後ろから眺めたときの、まるでおじいちゃんのような哀愁感に僕は心を奪われ、「いま、このベンチを作品として残しておかないと後悔しそうだ」と思い立ち、ベンチだけを舞台に、誰かの会話を集めたオムニバス映画を作ることに決めました。

というわけで…『アット・ザ・ベンチ』は、変わり続ける東京という街の中で、変わらずに残したい“とあるベンチ”を舞台に、四季折々、ある日のある人たちのちょっとした思い出の時間を紡ぎたい、という個人的な願いからスタートした自主制作映画です。

その思いに呼応して、仲間が1人増え、また1人増え…といった具合に、みんなが “個人” としてベンチに集まってくれました。そうして形成された、サッカーチーム1つ分くらいの僕らは、手弁当ながらも、自分たちでやれる限りのことをやってみよう、という考えで1編ずつをじっくりと作り上げてきました。ある個人の「こういう映画を作りたい」という思いのもとに、同じく「作ってみようよ」という純粋な思いで集まってくれた人たちがいる、そうして作り上げられた作品は、また誰かの「こういう映画が好きだな」という温かな気持ちに届くと嬉しいな、と思っています。

これ以上に純粋な創作は、生涯の中で何度と出来ることか分かりません。

一緒に作って下さった皆さま、本当にありがとうございました!

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