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【第81回ベネチア国際映画祭】ホアキン・フェニックス、「ジョーカー2」は「安らぎを感じる愛への切望を語る」物語と紹介 ガガと歌唱シーンライブ録音、大幅減量に挑んだと明かす

映画.com 2024年9月6日 11時30分

 第81回ベネチア国際映画祭で、今年のコンペティションの目玉作品のひとつである「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」が披露され、トッド・フィリップス監督、ホアキン・フェニックス、レディー・ガガがレッドカーペットに登場した。フェニックスはつい最近、トッド・ヘインズ監督の新作プロジェクトの現場を急にドロップアウトしたため、ベネチアを訪れるかどうかが危ぶまれていたものの、蓋を開ければ何事もなかったかのように姿を見せた。一方ガガは、ベネチアの仮面にインスパイアされたような大きなヘッドピースと黒いデコラティブなドレスで、婚約者のマイケル・ポランスキーを伴ってレッドカーペットを歩き、カメラマンのフラッシュを一身に浴びた。

 「ジョーカー」(2019)の続編にあたるフィリップス監督の新作は、前作の2年後を描いたものだが、「フォリ・ア・ドゥ(フランス語で「ふたりで狂う」といった意味)」という副題が示す通り、ジョーカーの人生にガガ扮するリーという謎の女性が関わることで、大きな変化がもたらされる。ガガの存在感が強く、前回よりも幻想的な役割を担う歌とダンスのシーンがフィーチャーされている。もちろん、ダークな世界観やバックグラウンドの音楽は踏襲されているが、アーサーがついにジョーカーとなる過程を描いた前作に引き換え、今回はむしろリーに惹かれるアーサーが、ジョーカーでいることの苦悩を描いた作品と言えるだろう。

 プレミアに先立つ記者会見でフィリップス監督は、「前作が大きな成功を収めた分、今回はとてもナーバスになりました。ホアキンはもともと続編をやる必要はないと考えていた。でも実際にやるとなったら、わたしたちは大胆になり、予想外の期待を超える作品を作らなければならなかった。前作のジョーカーは、目には見えなくても心のなかに音楽と愛があふれていた。本作では客観的な視点よりも、ジョーカー自身の目を通して多くの情報が表現されています。リアリズムという点では共通しますが、より想像的で象徴的なシーンが多くあるのが特徴です」と語った。

 フェニックスは開口一番、「みなさんこんにちは。今日はここに来てくれてありがとう」と、会場を和ませた後、「今回の作品は、安らぎを感じる愛への切望を語っています。音楽は象徴的で、物語にあわせて選び抜かれているので、その解釈を理解することが鍵でした。歌唱シーンはすべてライブで録音されたので、テイクごとに異なるし、とてもエキサイティングだった。減量? 詳しく語るつもりはないですが、今回はダンスシーンが多かった分、リハーサルをしなければならず、その分(体力を維持するために減量が)難しかった。いま49歳ですが、もうこんなことはしない方がいいかもしれない(笑)。減量といえば、ガガもすごく体重を落としていた。びっくりさせられました」と語った。

 一方、今回の出演の動機と経験を尋ねられたガガは、「前作に心を揺さぶられました。観たことがないような素晴らしい作品だと思ったことが、今回参加した理由です。通常の映画で描かれるような歌のシーンとは異なり、この映画では、キャラクターの感情を表現するために音楽が使われています。だから歌唱方法も、通常歌を歌うときとは異なり、キャラクターから歌が生まれるようにしなければならなかった」と発言。さらに「ホアキンと仕事ができたのはとても光栄だったし、楽しかった。彼には自由なところがあって、これまでのわたしの映画経験とはまったく異なるものになりました。毎日、いかに真実に満ちた瞬間を表現するかということを心がけていました」と語った。

 満席の熱気あふれる記者会見場は、快活なガガと意外にリラックスした様子のフェニックスの、お互いへの称賛とリスペクトが滲み出た一幕となった。

現地での批評家の評価は、前作に比べるとまちまちといったところだが、ベネチアをスタートにこれからどう賞レースに絡んでくるのか、楽しみだ。(佐藤久理子)

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