パリ2024パラリンピックのシングルスとダブルスで金メダルを獲得した、車いすテニスプレイヤーの上地結衣選手に迫るドキュメンタリー「The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。」が、10月18日に公開されることがわかった。さらに本作のナレーションを、「東京喰種トーキョーグール」「鬼滅の刃」をはじめ、「新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP」でも知られる声優の花江夏樹が担当することが決定。あわせて、特報とティザービジュアルがお披露目された。
先天性の病で、成長とともに歩行が困難になり、車椅子生活となった上地選手。姉の影響を受け、11歳でテニスを始め、テニスプレイヤーとしての才能を開花させていく。当時は競技用の車椅子が地元になく、両親がわざわざ遠方から毎回借りてきていたという。周囲のサポートもあり、高校3年生でロンドン2012パラリンピック競技大会に出場。高校卒業後はプロに転向し、親元を離れて18歳から単身海外遠征で経験を積み、20歳で世界ランキング1位を獲得した。
2017年には、全豪オープン、全仏オープン、全米オープンで優勝し、年間王者に。ダブルスでは日本人女子選手初となる年間グランドスラムを達成し、「女子車いすテニス最年少 年間グランドスラム達成」のギネス記録に認定される。リオ2016パラリンピック競技大会で銅メダル、東京2020パラリンピック競技大会で銀メダルを獲得した。10年以上にわたり、世界の車椅子テニス界を牽引する上地選手。しかし、オランダのディーデ・デフロート選手というライバルの存在があり、6年間、世界ランキング2位となっていた。本作では、上地選手が金メダル、そして世界一に向けて、日々戦いつづける姿を追いかける。
製作チームは、3年間にわたり、上地選手への密着取材を敢行。1年のほぼ大半を海外遠征に費やし、世界中を飛び回っている彼女は、可能性があればとことん追求し、どんなことにも貪欲に挑戦する。そんな彼女を日本から明るく見守る母。彼女に寄り添い、最適解を一緒に導き出そうとするコーチや車椅子エンジニア。さらには車椅子テニス界のレジェンドであり、23年に引退した元プロ車いすテニスプレイヤーで、男子世界歴代最多となる計50回優勝の記録保持者・国枝慎吾選手。それぞれの立場から彼女を支える、周囲の人々の姿もカメラにおさめていく。
特報では、6年連続で世界ランキング2位となっていた上地選手の覚悟を伝える「いつも2位。でも、負けたくない。負けるのが大嫌いだから」というテロップが表示される。国枝選手も登場し、上地選手の試合で躍動する姿や、トレーニングに打ち込む様子がたっぷりと切り取られている。上地選手の「次は勝ってるところを見せないといけない」という、パリに向けた覚悟の一言が印象的だ。
「The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。」は、10月18日から全国で順次公開される。新山正彰監督、小澤祐治プロデューサーのコメントは、以下の通り。
■新山正彰監督
この映画は、一人のアスリートが金メダルを目指してひたむきに努力する姿を描いています。上地結衣選手は、世界ランキング2位という輝かしい成績を誇りながらも、笑顔を絶やさず、常に周りへの感謝を忘れない温かな人柄を持っています。しかし、その裏には、決して己には妥協しない苛烈な一面がありました。
上地選手の姿を通じて、車いすテニスというスポーツに少しでも興味を持ち、これからも応援し続けていただければ、これほど嬉しいことはありません。
■小澤祐治プロデューサー
ここ2年、上地結衣という人と接していく中で、彼女のたくさんの魅力に出会えました。
そしてたくさんの勇気をもらいました。諦めない! 自分にもできる! やってやる!
その人の背中を優しくそして強くおしてくれる、そんな存在である上地さんの魅力をできるだけたくさんの人に届けられたら嬉しいです。