フランスの名優ジャンヌ・バリバール主演作「Laissez-Moi(原題)」が、「山逢いのホテルで」の邦題で、11月29日から公開される。このほど、日本版ポスタービジュアル、場面写真が披露された。
スイスの壮大な山々と湖畔に囲まれた、世界最大級のグランド・ディクサンス・ダムの麓に実在するホテルを舞台に、息子への献身的な愛と現実逃避の夢の間で揺れる女性を描く。果たしてクローディーヌが最後に選んだ道とは――。観る者の心を揺さぶる、しっとりと格調高い大人のラブストーリー。
スイスアルプスをのぞむ小さな町で、障がいのある息子をひとり育てる仕立て屋のクローディーヌ。毎週火曜日、彼女は山間のリゾートホテルで一人旅の男性客を選んでは、その場限りのアヴァンチュールを楽しむ、もう一つの顔を持っている。そんな中現れたある男性との出逢いが、彼女の日常を大きく揺さぶることになる。もう恋を追いかけることなど想像もしなかったクローディーヌは、再び女として目覚めようとしていた……。
第76回(2023年)カンヌ国際映画祭ACID部門のオープニングを飾り、その後も各国の映画祭で評価を得た話題作。主演のバリバールは、マチュー・アマルリック監督「バルバラ セーヌの黒いバラ」(17)でセザール賞主演女優賞に輝き、現在大ヒット上映中のアンヌ・フォンテーヌ監督「ボレロ 永遠の旋律」(24)では圧巻のダンスを披露した、フランスの名優だ。熟年を迎えた女性の孤独から、息子に無償の愛を捧げる母としての優しさ、情熱的な恋に落ちる女性の可憐さまでを見事に表現する。
その複雑で感動的な演技は、「『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』のデルフィーヌ・セイリグを彷彿とさせる」(L'Humanité)と絶賛された。監督・脚本を手掛けたのは、ファッションデザイナーとして活躍したのちに本作で長編監督デビューを果たした、スイスの新鋭マキシム・ラッパズ。俳優たちの魅力を掬い取る繊細な眼差しや、じっくりと時間をかけて感情の変化を紡ぎ出す演出に、長編デビュー作とは思えない手腕を発揮している。撮影監督は「その手に触れるまで」(19)や「トリとロキタ」(22)などダルデンヌ兄弟の作品で知られるブノワ・デルボー。
「山逢いのホテルで」は、11月29日から、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。