「哀れなるものたち」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンがタッグを組んだ「憐れみの3章」のキャラクタポスターが公開された。ストーンをはじめ、ジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォーらの顔が仮面のように仕立てられ、インパクトのあるビジュアルとなっている。
本作は、ランティモス監督のもと、「哀れなるものたち」で2度目のアカデミー賞主演女優賞に輝いたストーンをはじめ、同作に出演したデフォーやマーガレット・クアリーが再集結。さらに、プレモンス、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーといった実力者が顔を揃えた。「籠の中の乙女」「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のエフティミス・フィリップが、ランティモス監督とともに共同脚本を手掛けた。愛と支配をめぐる3つの物語で構成したアンソロジーで、3つの奇想天外な物語を不穏さを漂わせながらもユーモラスに描き出す。
顔を仮面のように仕立てたビジュアルは、キャスト陣が3つの物語で異なるキャラクターを演じることを示唆しているかのよう。ストーン、プレモンス、デフォーといったハリウッドの実力者たちに加えて、ランティモス作品初参加となるメンバーも大きなインパクトを残している。
第1章でロバート(演:プレモンス)の妻サラ、第2章で海難事故から奇跡の生還を果たしたリズ(演:ストーン)の同僚の妻シャロン、第3章でカルト集団のリーダー・オミ(演:デフォー)の妻アカを演じたのは、ホン・チャウ。マット・デイモン主演の「ダウンサイズ」(17)で片足を切断されたベトナム人政治活動家ゴック・ラン・トラン役を演じ、ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされたほか、「ザ・ホエール」(22)では第95回アカデミー賞助演女優賞にノミネートを果たした。
「ショーイング・アップ」(23)の演技をランティモス監督が観たことがきっかけで本作に参加したチャウは、「(本作の脚本を)何度も読み返して、テーマが何なのか考えようと思いました。それから一歩引いて、『いや、そんなことはしないで、ただこの経験を信じよう』と思ったんです。ヨルゴスの作品群には説得力がありますから、彼がどんな方向に進もうと、それは素晴らしいものになると分かります」と絶対の信頼を寄せる。そして、ランティモス監督も「ホンは素晴らしい女優です。最後の物語で、ウィレムと一緒にリーダーを演じた彼女は素晴らしかった。彼女の役に対する真剣な態度が大好きで、それがさらに愉快にさせるのです」とお互いの才能を讃えあった。
ママドゥ・アティエは、第1章ではロバート(演:プレモンス)の妻サラの水泳コーチ・ウィル、第2章ではダニエル(演:プレモンス)の親友ニール、そして第3章では死体安置所に勤める看護師役を担った。
舞台俳優としてキャリアをスタートさせたアティエは、映画デビュー作「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」(15)を皮切りに、「ザ・サークル」(17)、Netflix映画「ユニコーン・ストア」(19)、「フロントランナー」(19)などに出演。「ブラック・ボックス」(20)で初の長編映画主演を果たし、「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」(22)にも参加した。ディズニー&ピクサーの長編アニメーション「マイ・エレメント」(23)では、主人公ウェイド役を務めている。
本作でランティモス作品に初参加したアティエは、「ヨルゴスは本当に特別な監督だと思います。彼が僕と仕事をしたいと言ってくれたことは素晴らしいことでした。彼はただ、全てがありのままです。賭けをするわけでもなく、安全策をとるわけでもなく、ただ本当にやりたいことをやっているのです。魅力的な人です」とその魅力を語った。
第3章に登場する女性・アナを演じたハンター・シェイファーは、「ユーフォリア EUPHORIA」で女優デビュー。一躍ブレイクを果たし、2021年には米国TIME誌の「未来を切り開く100人の俊英」にも選出された。本作は、「ハンガー・ゲーム0」(23)に続き、実写映画2作目となった。
ランティモス監督の誘いで、本作に参加することになったシェイファー。撮影は1日だったが、その日は竜巻が発生していて外は危険な状態だったという。まるで竜巻とともに姿を消してしまったかのようなシェイファーとの撮影を、ランティモス監督は「その日が最も波乱に満ちた日でした」と振り返っている。
「憐れみの3章」は9月27日公開。