ヨルゴス・ランティモス監督が本日9月23日に51歳の誕生日を迎えたことを記念して、最新作「憐れみの3章」の本編映像の一部(https://youtu.be/NqNUcjcHpfA)が公開された。本作は愛と支配をめぐる3つの物語で構成されたアンソロジーとなり、映像では第1章、第2章、第3章で描かれる奇想天外な物語を垣間見ることができる。
本作は、ランティモス監督のもと、「哀れなるものたち」で2度目のアカデミー賞主演女優賞に輝いたエマ・ストーンをはじめ、同作に出演したウィレム・デフォーやマーガレット・クアリーが再集結。さらに、ジェシー・プレモンス、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーといった実力者が顔を揃えた。「籠の中の乙女」「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のエフティミス・フィリップが、ランティモス監督とともに共同脚本を手掛けた。
第1章で描かれるのは、「自分の人生を取り戻そうと格闘する、選択肢を奪われた男」の物語。映像には、ロバート(演:プレモンス)がレイモンド(演:デフォー)の社長室で会話を交わすシーンが収められている。レイモンドは「遠慮なくかけたまえ」と声をかけると、続けてロバートの容姿について触れ、「痩せた男ほどみっともないものはない」とダメ出し。前より太ったと反論するロバートだが、「君の1週間の食事計画を見直さなければ」と言って聞く耳を持たない。
支配と服従の関係が垣間見えるが、デフォーは2人の関係について「ヨルゴスは結婚で見られるような感情面での関係性を、2人の男のビジネス上の関係に置き換えたのです。そうすることで私たちが別な文脈で受け入れるように育ってきた社会的慣習を発見することができるのです」と分析。ランティモス監督が古典的なテーマを覆し、皮肉や盲点を浮き彫りにしていると語っている。
続いて、第2章となる「海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官」からは、妻のリズ(演:ストーン)と夫のダニエル(演:プレモンス)が友人夫婦とディナーを楽しむシーンがお披露目。海難事故で失踪していたリズは、奇跡的に生還した後から別人のような言動を取るようになっていた。以前はタバコを吸わなかったはずだが、友人のニール(演:アティエ)にタバコをおねだり。「(タバコは)全然吸わない。試したこともない。でも吸いたくなった」と言いながらも、慣れた手つきでタバコをゆっくりと吸いこむ。さらに、リズは突拍子もなく「そろそろ寝室へ行く?」と持ち掛け、3人は思わず沈黙。リズの不可解な言動を訝しむ様子が描かれる。
最後の第3章「卓越した宗教指導者になるべく運命付けられた特別な人物を懸命に探す女」からは、ある一人の女性を人生をかけて探すという指名を負うエミリー(演:ストーン)とアンドリュー(演:プレモンス)が、ダイナーで手がかりとなる女性レベッカ(演:クアリー)と出会うシーンが公開された。カウンター席に座るレベッカの視線に気づいたアンドリューが「あの女がじっと見てる」と警戒するようにささやくと、彼女は2人の傍まで近づいてきて唐突に自己紹介。続けて「姉のルースは獣医師です。お探しなのは姉でしょう。」とエミリーたちが探す人物を教えてくれる。果たしてレベッカの目的は何なのか、先の展開が気になる映像となっている。
本章で双子のルースとレベッカを演じたクアリーは「自分の人生を支配すること、他人の人生を支配すること、誰かに支配されていると感じること、支配を見つけようとすることなど、さまざまな側面があります」と本作で共通して描かれる“支配”というひとつのテーマについてかたっている。
「憐れみの3章」は9月27日公開。