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“20世紀最高の女優”の軌跡をたどる特集上映「ロミー・シュナイダー映画祭2024」開催

映画.com 2024年9月24日 17時0分

 “20世紀最高の女優”と評される伝説的女優、ロミー・シュナイダーの軌跡をたどる特集上映「ロミー・シュナイダー映画祭2024」が10月18日~11月14日、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で開催される。日本劇場初公開作を含む3作が上映される。

 2022年の特集上映に続き、2回目の開催となる。今回の上映作品は17歳にしてスター女優へとのぼりつめた記念碑的作品「プリンセス・シシー」(55)、鬼才アンジェイ・ズラウスキー監督と組んで演技派女優の地位を不動にした「最も重要なものは愛」(75)、死の2年前に製作され、彼女のベストアクトに挙げられることも多い異色作「デス・ウォッチ」(80)。3作ともデジタルリマスター版での上映となり、「最も重要なものは愛」と「デス・ウォッチ」は日本劇場初公開となる。

 1938年、オーストリア、ウィーンの名門俳優一家の元に生まれたロミー・シュナイダー。6歳の時に両親が離婚し、不遇の幼少時代を過ごすも頭脳明晰で独立心旺盛だったロミーは14歳で俳優になることを決意。17歳の時の大ヒット主演作「プリンセス・シシー」(55)から、イヴ・モンタンと共演した「夕なぎ」(72)、ヴィスコンティ監督「ルートヴィヒ」(72)、大反響を巻き起こした「追想」(75)と多くの傑作・話題作に出演し世界最高峰の女優として名を馳せたが、一方ではアラン・ドロンとの恋と破局、破産、元夫と息子の死などスキャンダルやゴシップが付き纏う壮絶な人生を送り、「サン・スーシの女」(82)を遺作に43歳の若さでこの世を去った。

 しかし死後、マリリン・モンローやカトリーヌ・ドヌーブを抑え「今世紀最高の女優」(仏CSA調べ)に選ばれるなど、今も世界中の映画ファンに愛され、輝き続けるレジェンドだ。今回上映される「プリンセス・シシー」は、オーストリアの皇妃エリザベートがフランツ・ヨーゼフ1世と結婚するまでを描き、一躍スター女優となった記念碑的作品。「最も重要なものは愛」は、「ポゼッション」などで知られるポーランドの鬼才アンジェイ・ズラウスキー監督作品で、第1回セザール賞主演女優賞を受賞した。「デス・ウォッチ」は、ハーベイ・カイテルとハリー・ディーン・スタントンと共演した異色のSF作だ。様々な年代、ジャンルの作品によって、ロミーの多面的な魅力を堪能できるラインナップとなっている。

 「ロミー・シュナイダー映画祭2024」は10月18日~11月14日Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて開催、全国順次ロードショー。

▼坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)コメント

「ロミーの顔は、一瞬で表情が変わる。嵐が起こったかと思えば、次の瞬間は光輝く青空が見える。そう、彼女の顔はまるで広大な風景のようだ」そう述べたのは脚本家ジャン=ルー・ダバディだった。ロミー・シュナイダーはまるで映画と一体化するかのように、目の前の人間、世界を映し出してしまう独特の力を有している。

 今回特集される3本の作品を見ることで、ロミー・シュナイダーがその30年近くに亘る女優人生で、ひとつのイメージや役柄、演じ方に留まることなく、リスクを怖れずあらたな試みに挑み続けてきたことをあらためて確認することができるだろう。生き生きと可憐なオーストリア皇妃を演じて世界中に巻き起こした「シシー現象」から、まるで自由を求め続けるシシーのように解き放たれることを望んだロミー。「最も重要なものは愛」の危うさや脆さと高貴なまでの威厳を併せ持つ女優ナディーヌ、死を前にして人生を果敢に横断してみせる「デス・ウォッチ」の女流作家キャサリン。ロミーが演じた女性たちは、見終わった後も深く、私たちの心の中に生き続けてゆく。

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