イタリアンホラーの巨匠、ダリオ・アルジェントの初期代表作の特集上映「ダリオ・アルジェント 動物3部作」が11月8日から開催される。
極彩色の悪夢的なビジュアルと先鋭的な音楽を融合し、ホラー映画を官能的なアートへと昇華させたアルジェント監督は、1977年の「サスペリア」の世界的大ヒットから、映画ファンから賞賛され、多くのクリエイターに影響を与え続けている。本特集で上映される1970年代前半に発表した3本の初期代表作は、いずれもタイトルに動物の名が含まれていることから「動物3部作」(アニマル・トリロジー)と呼ばれている。なお、近年も監督最新作となる「ダークグラス」(2022)や初主演作「VOLTEXヴォルテックス」(2021)が劇場公開され、自伝「恐怖」の邦訳が出版されるなど、84歳となる現在もその動向は全世界の映画ファンからの注目を集め続けている。
1作目「歓びの毒牙(きば)」(1969)は、主人公が目撃した「事件」を回想する構造を用い、観客が真相に迫るスリルを追体験するという、視覚的効果とサスペンス要素を融合させた画期的なデビュー作。続く2作目「わたしは目撃者」(1970)は盲目の元新聞記者が主役の本格サスペンスにして、アルジェントの永遠のテーマ「視覚の喪失」を見事に映像化した作品だ。そして3作目「4匹の蝿」(1971)で、現実の世界と悪夢の融合という、アルジェントの個性的な作風を確立した。
特集上映「ダリオ・アルジェント 動物3部作」は、11月8日から新宿シネマカリテ、菊川Strangerで開催。
▼本企画監修アルジェント研究会代表・矢澤利弘コメント
動物3部作は若き日のダリオ・アルジェントが70年代前半に立て続けに放った鋭い3本の矢。
「サスペリアPART2」も「サスペリア」も、これらの映画がなければ決して生まれなかった。
公開から50年以上を経て、ますます輝き続けるアルジェントの初期の傑作が新しい字幕で劇場公開される。
なんて贅沢で幸せなことだろう。巨匠の胎動をぜひ映画館で感じていただきたい。