山田風太郎氏の小説「八犬伝 上・下」(角川文庫刊)を、役所広司主演で映画化する「八犬伝」(10月25日公開)のスペシャルてい談映像が、このほど公開された。参加しているのは、「八犬伝」のメガホンをとった曽利文彦監督、日本映画におけるVFXの第一人者である山崎貴監督、「八犬伝」にVFXスーパーバイザーとして参加した上杉裕世氏。映画界の第一線で活躍を続けるクリエイターにして、共に1964年生まれの同い年の3人が、原作や映画の魅力を語り合っている。
世界に誇る日本ファンタジー小説の原点「八犬伝」。本作は、里見家にかけられた呪いを解くため、運命に引き寄せられる若き8人の剣士たちの戦いをダイナミックに描く“虚”パートと、180話に及ぶ物語を悩み苦しみながら28年もの歳月をかけて書き上げた作家・滝沢馬琴の創作の真髄、そこで生まれた奇跡の実話を描いた“実”パートがシンクロするというエンタテインメント大作だ。
映画作りの原点は自分たちで作った作品を文化祭で上映したことという点も共通する曽利監督、山崎監督、上杉氏。映像では、笑いの絶えない、しかし熱を帯びたトークが展開している。かねてより「八犬伝」の映画化を切望していた曽利監督は「山田風太郎さんの小説『八犬伝』は最高傑作だと思っているので、映画化できてすごく幸せです」と噛み締めるように語る姿が印象的。
第96回アカデミー賞では、「ゴジラ-1.0」で日本の作品として初めて視覚効果賞を受賞したことでも知られる山崎監督は、「八犬伝」の映画化を聞いた時に「ふざけんなよ!」と思ったそうで、かつては自身で「八犬伝」を映画化したかったことを告白している。曽利監督版「八犬伝」については「超エンタメでありながら、虚と実という哲学的なテーマを描いているところが面白い。贅沢な映画」と太鼓判を押している。
これまでに「アバター」「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」「アベンジャーズ」など世界的大ヒット映画に携わり、本作にはVFXスーパーバイザーとして参加した上杉は、「VFXでしか成り立たない壮大なスケールや、シームレスなVFXの役割にもものすごく価値がある」と力説。その上で、完成した本作については「“虚”でスタートダッシュをかけて、びっくりするようなタイミングで“実”になるのがすごく絶妙」と確かな手ごたえを感じているようだ。
なお、本てい談は、映画公式サイトでフルバージョンを公開中。「八犬伝」にちなんで8つの質問を用意し、「八犬伝」への並々ならぬ思いや、本作のテーマである「正義を描くことについて」などについて語り尽くしている。
また、著名人コメントも到着。詳細は、以下の通り。
【碧也ぴんく(漫画家)】
「虚(八犬伝)」の世界を生み育て、28年もの時をかけて完結させた、馬琴の「実」の物語。
目が見えなくなっても書き続ける、字を教えながら、覚えながら書き続けるって、途轍もないパワーですよね。
描き切って旅立つ彼の方(かのかた)を包むのはこんな光でありますように…と、私も何度も夢見た結びの情景に、涙が止まりませんでした。
【荒俣宏(作家)】
江戸文化の最後の華というべき天才奇人たち、それも北斎や南北が同時代に生きて張り合う中で生まれた一大奇談なのだから、ワビサビや風流といった平凡な感性では映画にできない。江戸美意識の極致といえる「風狂」で対抗するほかはないのだろう。
おかげで、どこか陰影のある令和の世話物狂言を堪能できた。
【石黒亜矢子(絵描き)】
私は、すごく面白かった。物語とそれを生み出す者の掛け合い。ワクワクしたり胸が詰まったりでうぅと惹き込まれ、最後の場面で号泣。久方ぶりに良い日本映画を観た充実感を得た。ありがとうございます。
【ヴィム・ヴェンダース(映画監督)】
役所広司は、19世紀の伝説の戯作者・馬琴として、またもや最高の演技でもてなしてくれる。
そして彼の演じる馬琴の人生は、『八犬伝』という幻想的で壮大な物語と同じくらいスリリングだ。
【葛西紀明(土屋ホームスキー部選手兼監督 ソチオリンピック銀・銅メダリスト)】
数々の逆境の中でも諦めずに八犬伝を描き続ける滝沢馬琴先生の姿から諦めない強い気持ちと信念を感じられました。
僕も今、目標に向かって挑戦し続けている中で継続することの大切さというものを改めて感じられ、エネルギーをもらいました。
また作中で「八犬伝の存在に支えられている」という方を見て、僕もスキージャンプを通じて皆さんに元気をお届けできる様、頑張っていこうと強く思えるような作品でした。
【高山一実(タレント)】
八犬伝、とっても面白かったです!!
私は八犬伝ゆかりの地安房の出身で、地元のお祭りの名前は伏姫祭りだったり、通学路に八房伝説の地と書かれた看板があったりと、昔から馴染みがあったのですが…
これまで全く知らなかった「馬琴がどんな想いで八犬伝と向き合っていたのか」をこの作品で知ることができて嬉しかったです。虚と実、2つの世界を交錯する映画は2倍楽しい!あっという間の149分でした。
【ザ・パンチ(お笑い芸人)】
<パンチ浜崎>
映画を見終わった後にはっきりと思い出せるシーンがあるととても楽しいと思うのですが、今回の八犬伝はラストシーンがまさにそれでした。馬琴の表情がたまらなく良かったです。そこまでの全部がフリだったかのような最高の表情。
馬琴と北斎のかけあいに漫才みたいな面白さもあってそこに割って入ってくるお百の強キャラはつい声を出して笑いました。
いくつになっても創作を続ける凄みに元気いただきました。
<ノーパンチ松尾>
八犬伝って、何か漫画やゲームにもなっていたっけ?妖刀 村雨?八つの珠?
こんな漠然としたイメージで見始めたもんだから、大いに裏切られました!
実と虚の2つの世界で、勧善懲悪で葛藤する馬琴の姿にちょっと刺さりすぎてしまいました。
【原哲夫(漫画家)】
『八犬伝』の挿絵を葛飾北斎が描いてたというのは知らなかったので、原作の滝沢馬琴と挿絵の北斎の関係が、漫画原作者と漫画家の関係みたいに描かれていて、観てて、あるあるな感じもよかったし、役所広司さんが好きだったので、やはり滝沢馬琴を見事に演出して味付けがグッとくる見応えの演技でした☆
滝沢馬琴の人生を全てかけての創作やその生き様など、僕の仕事にもリンクする感覚がジンときました☆
【原晋(青山学院大学 陸上競技部 監督)】
馬琴の生きる現実世界と八犬伝というフィクション世界が相互に作用しあっている様がよく表されている。本気で向き合って創り上げたものは人の心を動かすのだと強く感じた。また、馬琴と北斎の掛け合いも非常に面白い。
【平野美宇(パリオリンピック卓球女子団体 銀メダリスト)】
映像が美しくて、すぐに映画の世界に引き込まれてしまいました
。
いくつものストーリーが同時進行していて、どうなるのかハラハラドキドキして感動の結末でした。
父と子、母と子、剣士たちの友情、滝沢馬琴の鬼気迫る創作への執念。
いろいろなテーマが散りばめられていて、見どころが盛りだくさんだったので、もう一度観たいです!
【水谷隼(東京オリンピック卓球混合ダブルス 金メダリスト)】
「八犬伝」の物語が完成するまでの滝沢真琴の28年間の苦悩から、大きなことを達成するには、自分一人の力だけでは難しいという思いが感じられる映画でした。また、八犬士のように仲間のために自己を犠牲にして戦う姿勢や、葛飾北斎と滝沢馬琴のように互いに高め合う友情には、アスリートの競技生活でも経験するライバルへの想いと共通するものがあり、胸が熱くなりました。
【山崎貴(映画監督)】
この『八犬伝』は馬琴の物語という切り口が、今この時代に観るべき作品に思えました。
「虚」と「実」の2つ世界が観れる、映画的にエンタメでゴージャスなんだけど、ボクらものを作る者たちにとって、問いかけられ自問自答できる作品に仕上がっていて、非常に気持ちが良かったです。