キング・オブ・ブルースとして知られる、B.B.キングの生誕100周年を記念し、映画「ブルースの魂」が12月28日から公開される。あわせて日本版ポスタービジュアル&場面写真が披露された。
完成から50年の時を経て2Kレストア版として2024年7月にアメリカで公開された本作は、B.B.キングをはじめとする伝説的なブルース・ミュージシャンたちによる衝撃的で魂を揺さぶるパフォーマンスと共に、ハーレムでの愛と苦悩をアマチュア俳優たち自身の人生経験と演技であぶり出す。ブルースマンたちの証言と若いカップルの物語のリアリティとの融合によって、ブルースの歴史における真実が少しずつ浮かび上がり、世代を超えた核心の力‟人生の苦しみに痛む魂の回復力”が共有される。ハーレムに住む若きカップルを演じるのは、フレディ役のローランド・サンチェスとハティ役のオニケ・リー。
1970年代初頭、デルタ・ブルースへの関心が再燃していた。本作の監督である音楽ドキュメンタリー作家ロバート・マンスーリスは、本物のアメリカン・ブルースの名残をフィルムに収めようとミシシッピ・デルタを旅し、B.B.キングをはじめとする伝説的なミュージシャンたちの率直なインタビューや親密な演奏を撮影。彼の目的は、音楽を記録するだけでなく、ブルースをこれほどまでに表現豊かで心揺さぶる音楽形式にしている、文化的・政治的要因を探ることだった。並行して、ハーレムに住む若いカップル(ローランド・サンチェスとオニケ・リー)の波乱含みの関係をドラマチックに描き(カップルは貧困や偏見との闘いをナビゲートしている)、ドキュメンタリーとフィクションの境界線をあえて曖昧にして、見るものをブルースの核心へと誘うことに成功した。
1970年代初頭に撮影された本作では、生前のアメリカの人間国宝B.B.キングをはじめ、バディ・ガイ、ジュニア・ウェルズ、ルーズベルト・サイクス、ロバート・ピート・ウィリアムズ、ブッカ・ホワイト、ソニー・テリー、マンス・リプスカム、ジミー・ストリーターらが活き活きとした演奏しており、アーカイブとしても重要な作品となっている。
<あらすじ>ニューヨークのハーレムに住む若いカップルの愛と苦闘の物語。フレディ(ローランド・サンチェス)は子供のころ生活のためノースカロライナ州から母親に連れられてニューヨークに出てきた。だが武装強盗の罪で5年間服役、出所後ハティ(オニケ・リー)と結婚し二人で母親の家に居候している。フレディは刑務所の病院で働いた経験を生かして看護助手をやろうと職探しをする毎日だがうまくいかない。街をうろつきハティに金を無心してはビリヤード場に出入りし鬱とした日々をやり過ごしている。そんなフレディに嫌気がしたハティは、仕事帰りに立ち寄るなじみのバーでブルースを歌う男と駆け落ちを図るが…。
12月28日から、新宿K’s cinema、UPLINK吉祥寺ほか全国順次公開。