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“八犬士”渡邊圭祐、板垣李光人、水上恒司らが幸せに浸る 役所広司「八犬伝」ジャパンプレミアで感無量

映画.com 2024年10月4日 13時0分

 山田風太郎氏の小説「八犬伝 上・下」(角川文庫刊)を、役所広司主演で映画化する「八犬伝」のジャパンプレミアが10月3日に開催され、役所広司をはじめ、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、松岡広大、佳久創、藤岡真威人、上杉柊平、河合優実、栗山千明、磯村勇斗、黒木華、寺島しのぶ、曽利文彦監督(「ピンポン」「鋼の錬金術師」)が集結。COREDO室町 仲通りでのレッドカーペットイベントを経て、TOHO シネマズ日本橋での舞台挨拶に臨んだ。

 世界に誇る日本ファンタジー小説の原点「八犬伝」。本作は、里見家にかけられた呪いを解くため、運命に引き寄せられる若き8人の剣士たちの戦いをダイナミックに描く“虚”パートと、180話に及ぶ物語を悩み苦しみながら28年もの歳月をかけて書き上げた作家・滝沢馬琴の創作の真髄、そこで生まれた奇跡の実話を描いた“実”パートがシンクロするというエンタテインメント大作だ。

 映画を鑑賞したばかりの観客の大きな拍手に包まれる中、ステージに登壇したキャスト陣。その様子に笑顔を見せた役所は「曽利監督が小学校の頃に、NHKの(連続人形劇)『新八犬伝』を観てからずっと『八犬伝』の世界が好きで。映画監督になられた頃から、これまでずっと『八犬伝』を映画にしたいと思ってこられて、それが実現しこの作品に参加できたことをとても誇りに思います」と挨拶。さらに「監督は小学校の頃に『八犬伝』に感動されたわけで、監督は当時も七三分けだったのかもしれませんね(笑)。とにかく本当に少年のような心を持った監督で、“虚”と“実”の世界が交錯する映像は、曽利さんならではの映像になっています」と呼びかけた。

 続く内野は、「役所さんとはほぼ初めてご一緒することになりましたが、とても楽しい現場にいさせていただきました。馬琴が部屋に閉じこもって作品を創っているのに対して、北斎はいろいろなところを歩き回って、馬琴の書斎の中に風を持ち込むような存在でいてほしいと、監督からは言われました。なんとかおじいちゃんを演じましたがいかがでしたか?」と尋ねると、客席からは大きな拍手が。さらに「役所さんもおっしゃっていましたが、情熱家の曽利さんとのお仕事はいつも興奮してやらせていただいてきました」と付け加えた。

 八犬士のリーダー・犬塚信乃を演じた渡邊は「僕らは“虚”のパートということで、すごくVFXが多い中で撮影をしていて。本当に2年越しになるんですが、ようやく皆さんにお届けできたという喜びに、今日は浸りたいと思います。本当に監督にはおつかれさまでした、と言いたいです」と語る。

 続いて、八犬士・犬川荘助役の鈴木は「今日は本当に幸せですね。今日は(撮影から)2年ぶりですが、こんな豪華キャストの中で、皆さんの前に自分も立たせていただくことができて。今日この作品を届けることができて、幸せをかみ締めております」としみじみ。八犬士・犬坂毛野役の板垣は、「これだけのキャストの方がこの世界をどうつくられていくのかがすごく楽しみでしたし、やはりVFXが多かったので、演じている我々も分からない部分が多かった。ですから演じていて、新感覚のエンターテインメントを観たなという感じがしていて。きっと今ご覧になって、そういう風に思われた方も多かったのではないかと思いますが、やはりこの作品が広く世界にまで届いたらいいなと思っております」と晴れやかな表情だった。

 八犬士・犬飼現八役の水上も「私事で恐縮ですが、水上恒司になってから初めての作品がこの作品でした。その作品が世に放たれていくということがすごくうれしいですし、この錚々たるメンバーの中でご一緒することができたことをとてもうれしく思っております」と述懐。八犬士・犬村大角役の松岡が「この作品を観て、私たちの生活に物語、フィクションがいかに大切なのか、ということを非常に感じました。このフィクションが誰かの救いになったらいいなと思っております」と語ると、八犬士・犬田小文吾役の佳久も「台本を読ませていただいた時に、本当におもしろい作品だなと思って。この作品が映像化したときにどんな映像になるんだろうと、とてもワクワクしながら試写で観させていただいたんですが、公開が本当に楽しみになりました」と呼びかけた。

 八犬士・犬江親兵衛役の藤岡は「僕は八犬士の中でも最年少の役で。僕自身も年齢は一番下として参加させていただきましたが、2年ぶりにあらためて皆さんとお会いして。本当にすごい方たちとご一緒させていただいたんだなと実感して、感謝しています」と語ると、実際に完成した映画について「“虚”のバートはアクションが多かったんですが、“実”のパートは人間くさいドラマがあって。本当に感動してしまって。僕もこの中に入っていたんだなというのがすごくうれしくて。今この場に立てていること、25日から皆さんに観ていただけることもうれしいです」と感激した様子だ。

 八犬士・犬山道節役の上杉も「これは本当に壮大なエンターテインメント作品だと思います。この作品を観てどう感じるかは、皆さんによって違うと思いますが、この壮大さは、2024年以降の技術だからこそできたものがたくさん詰まっているなと思っています。それを皆さんにいつ届けられるのかとワクワクしていたので、今日この日を迎えることができて本当にしあわせです」と感慨深い様子だった。

 そして、信乃に想いを寄せる浜路役の河合、八犬士の最大の敵・玉梓を演じた栗山、馬琴の息子、宗伯を演じた磯村、宗伯の妻・お路を演じた黒木、馬琴の妻・お百を演じた寺島もそれぞれ撮影を振り返った。

 河合「皆さんおっしゃる通り、私も微力ながら参加させていただいて。短い時間の撮影でしたし、グリーンバックも多かったのですが、完成した作品を観たときに、自分たちがやっていたこととは違う“実”のパートの温度感というか、ものすごく重量感があるなと感じて。滝沢馬琴がどういう風に物語を捉えていたのか、という人間のリアリティーと、『八犬伝』のファンタジーの壮大さがこんなにもコントラストがあり、映画としての面白さがあるなと思って。いち観客としても気付くことが多く、うれしく思いました」

栗山「これほどまでに振り切って演技ができるのもなかなかないなと思う中で、玉梓を演じるのは楽しくもあり、ありがたくもありの撮影でした。私も“実”のパートのことはなかなか分からずに。どんなことが行われているんだろうと、その空気感、温度感を想像していましたが、できあがった作品を観て、監督が思い描いていたことはそういう事だったんだと思いました」

磯村「2年前に撮った作品を今日、無事にお届けすることができて非常にうれしく思います。とてもぜいたくな時間をこのキャストの中で過ごさせていただきました。この映画がより広く育まれて、広がっていくのだと考えると非常に楽しみです」

黒木「2年前のことなので、撮影のことはあまり覚えていないのですが、初号試写を観させていただいたときに、こんなにも八犬士が戦っているのかと思いましたし、その物語を命がけで書こうとした馬琴さんの思いをより強く感じました。自分も興奮することができましたし、虚と実を皆さんにも楽しんでいただけたら良いかなと思っております」

寺島「私は、“実”のパートでお百という、(夫・馬琴に)がなっている役だったんですが、役所さん、内野くん、磯村くん、黒木さんと、とてもコンパクトな人数で、とても凝縮した時間を過ごすことができました。お百は参考文献がなくて、“悪妻と呼ばれた女”という1行しか残っていなかった。だから想像力をふくらませて、どなってるだけでもつまらないし、こうなったのも理由があるのではないかと。常に自問自答しながら取り組みました。この作品が心に残りましたら宣伝をお願いします」

 そして最後に、曽利監督が思いの丈を打ち明けた。

曽利監督「役所さんにおっしゃっていただいた通り、『八犬伝』は子どもの頃から大好きで。この世界に入ってからもなんとか映画にできないかなとずっと考えていたんですが、なかなか映画化に進まなくて。そういった時に山田風太郎先生の『八犬伝』という小説を読んで、これがパッと光が差した感じで、もうビビッときました。“虚”と“実”という本当に粋な演出が原作にもありまして。これをなんとか描けないかなというのが次の目的になって、このたび映画として実現しました。まさにこれだけのキャストに演じていただいて、監督冥利に尽きるというか。もうこんなことはないんじゃないかと思うくらいの財産になりました」

「八犬伝」は、10月25日全国公開。

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