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「リトル・ダンサー」監督が語る ビリー・エリオットを演じた“映画版”ジェイミー・ベル&“舞台版”トム・ホランドの裏話【インタビュー独占入手】

映画.com 2024年10月4日 14時0分

 不朽の名作「リトル・ダンサー」のデジタルリマスター版上映(公開中)を記念し、スティーブン・ダルドリー監督のインタビューを、映画.comが独占入手。映画版で主人公ビリー・エリオットを演じたジェイミー・ベルや、ミュージカル版のトム・ホランドの裏話を明かした。

 物語の舞台は1984年、イングランド北東部の炭鉱町。母を亡くした11歳の少年ビリーは、炭鉱労働者の父に言われ、ボクシング教室に通わされている。ある日、偶然目にしたバレエ教室のレッスンに興味を抱いたビリーは、女の子たちに混ざって、こっそりレッスンに参加するように。そしてビリーはウィルキンソン先生に、バレエダンサーとしての才能を見出され、彼女の指導の下でめきめきと上達していく。

 2000年9月に本国イギリスで公開された本作は、500万ドルという低予算にも関わらず、世界の映画祭で高い評価を受け、興行収入1億ドル超えの大ヒットを記録。日本でも01年1月に公開されると、ひたむきに夢を追いかけるビリーの姿に多くの観客が胸を熱くした。ビリーを演じたのは、「ロケットマン」「異人たち」などその後、実力派俳優となったベル。当時13歳だった彼は、2000人を超える候補者からオーディションで選ばれた。ビリーにとって踊ることは、自分を表現する手段であり、ダンスシーンの数々は圧巻だ。

 メガホンをとったのは、本作で映画監督デビューを果たし、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」「愛を読むひと」「めぐりあう時間たち」など、上質なドラマの名手として知られる名匠ダルドリー。約20年ぶりに、「リトル・ダンサー」について語った。

(以下、ダルドリー監督のインタビュー)

――公開から20年以上経ってもなお、世界中で愛される映画になっていることについて、どう思いますか。

 最初はインディペンデントの小さな作品だと思っていたけれども、初めてのお披露目の時にすごく反響があって驚きました。またたまたまそこにエルトン・ジョンがいて、そこからミュージカルの話が何年かして実現しました。この映画に関わった僕らとしては喜びと誇りを感じ続けています。

――ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」ができたことで、日本にも映画だけでなく、ミュージカルを見たことで作品のファンになった方がたくさんいます。幅広い層が受け入れていることについて、どう思いますか。

 僕らにとってエルトン・ジョンの素晴らしい音楽をもらって、ミュージカルという形でこの物語を語るというのは、すごくワクワクしました。今回の日本の公演でも素晴らしいプロダクションでミュージカルを披露できているし、今後はドイツやイギリスでも再演という話が出ています。ミュージカルの演出はとても複雑で、特に若い4人のビリー・エリオットの演者はダンスシーンのレッスンを続けながら、本番もやっていかなくてはいけないので大変です。でもそういった努力のなかで、こうやって素晴らしい作品がステージでも、もちろん映画としても長く愛されているというのは僕らにとってもすごく嬉しいことです。

――ダルドリー監督の映画作家人生において、「リトル・ダンサー」前後で大きく変わったことは?

 1作目ということで、この作品に対する熱い反応に最初は驚いたんですが、これまでの自分の作家人生のなかでと考えるとよくわからないな(笑)。でもものすごく愛情を持っている作品であるのは間違いないです。過去の作品どれもそうですが、見返してみると間違っているところが目についちゃうから、映画は自分にとっては挑戦なんですよね。舞台だったらより良いものにと毎日試行錯誤できるけど、映画は完パケてしまったらそれで終わりなので、今見るとああすればよかったなと思うところが目についちゃいますね。

 1作目で素晴らしい反応を受けて成功したのは嬉しかったんですが、その時には次の作品「めぐりあう時間たち」のことを考えていました(笑)。毎回新しいプロジェクトは自分を変えられるし、もっと成長できるし、冒険でもあります。

――主人公ビリー・エリオットを演じたジェイミー・ベルの魅力、オーディション時の思い出や初めて会った時の印象など、教えてください。

 ミュージカルを含め全体で70人くらい、ビリー・エリオットを演じた俳優さんが世界中にいるんですが、どの俳優にもビリーを演じる上で必要な要素、粘り強さ、決意、チャーミングさ、自由な心といったものを持ち合わせているかどうか見ています。世界中でいろんな背景の子どもたちが、それぞれの素晴らしいビリーを演じてくれていて、例えばトム・ホランドもそのひとりです。彼は当時ダンスができなくて、ミュージカル「ビリー・エリオット」のほかの役を2年演じながらダンスを学び、主役を掴んだんですよね。

 ジェイミー・ベルは、元々タップは少しできたんです。ただバレエは学ばなければいけなかったんですが、最初から光り輝くものがありました。

――「リトル・ダンサー」に影響を受けたというダンサーやクリエイターが世界中にいると思いますが、映画の影響力を感じますか?

 この映画をきっかけにダンスを始めたり、映画製作を始めたりなど、行動を起こしてくれるのは嬉しいです。当時ロイヤルバレエスクールは、映画が公開される前は男女の申し込みの比率が50:50くらいだったんですが、この映画がきっかけで、学校の長い歴史のなかで初めて、映画公開後に男子の申し込みが多くなったそうです。それを「ビリー・エリオットエフェクト」と呼んだそうで、非常に嬉しいことでした。

――日本ではミュージカルと映画が同時に見られる好機に恵まれています。これから作品に出会う人たちに向けて、本作に込めた思いをお聞かせください。

 自分の夢を持ち、その道を自分なりに切り開いていく。今も昔も変わらないその光景が、観客と作品とが強い繋がりを持てている理由だと思います。公開から時が経っても愛されている映画であることを嬉しく思います。映画とミュージカルが同時期に公演されている今、是非両方楽しんで頂けたらと思います。

 映画「リトル・ダンサー」デジタルリマスター版は、東京・新宿ピカデリーほか全国で公開中。Daiwa House presentsミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」は10月26日まで東京・東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で、11月9日~24日に大阪・SkyシアターMBSで上演される。詳しい情報は公式サイト(https://billy2024.com)で確認できる。

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