11月23日から開催される「第25回東京フィルメックス」の上映作品ラインナップが10月9日発表された。メイン会場を丸の内TOEIとし、会期は11月23日~12月1日。
今年は「東京フィルメックス・コンペティション」10作品、「特別招待作品」11作品、「メイド・イン・ジャパン部門」4作品、プレイベント「今だけ、スクリーンで!東京フィルメックス25年の軌跡」6作品、サイドイベントでの上映5作品の計36作品が上映される。コンペ部門の審査員は中国のロウ・イエ監督、フランスの映画プログラマー、カトリーヌ・デュサール、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で映画キュレーターとして活動するアメリカのラ・フランシス・ホイが務める。
この日行われたオンライン会見で、プログラム・ディレクターの神谷直希氏が上映作品を紹介した。「全体のラインナップでは、国境を超えて作られたり、国際共同制作作品が多い。コンペティション作品の選考過程においては、基準は新進、若手作家でデビューから1~3本目の作品にとどめるという前提があったがそれ以外の基準は設けず、とにかく面白く興奮させてくれるような作品を選んだ」と話した。
コンペティション部門「東京フィルメックス・コンペティション」では、アジアの新進作家が2023年から2024年にかけて監督した作品の中から、10作品が上映される。ベネチア映画祭のコンペティション部門で初上映され、特別審査員賞を受賞したジョージア人監督デア・クルムベガスビリの長編第2作「四月」、イスラエルのハイファに住む、あるパレスチナ人家族の物語から、イスラエルにおけるパレスチナ人とイスラエル人の分断状況や、軍国主義、あるいは女性に対する家父長主義的制約など民族や国家やジェンダーをめぐる文化的・政治的な背景を露わにする「ハッピー・ホリデーズ」(スカンダル・コプティ監督)などのほか、インド、ベトナム、シンガポール、台湾、中国、韓国を舞台とした作品が並ぶ。
「特別招待作品」部門でのオープニング作品は、ジャ・ジャンクー監督の最新作で、今年の第77回カンヌ映画祭コンペティション部門でプレミア上映された「Caught by the Tides(英題)」。クロージング作品は、ロカルノ映画祭のコンペティション部門で、主演のキム・ミニが最優秀演技賞を受賞したホン・サンス監督の「スユチョン」。リティ・パン、ツァイ・ミンリャン、審査員を務めるロウ・イエの新作など、世界の映画祭で評価された作品のほか、日本作品では宇賀那健一監督「ザ・ゲスイドウズ」がラインナップされている。
世界に向けて選りすぐりの日本映画を紹介する「メイド・イン・ジャパン部門」では、宇和川輝監督の「ユリシーズ」、台湾、日本の合作で、山形県で撮影された「雪解けのあと(仮)」(ルオ・イーシャン監督)、日本で家族と休暇を過ごし、日本で執筆した短編小説の一つを映画化したベテラン撮影監督のドゥ・ジエの長編監督デビュー作「椰子の高さ」、2013年のタレンツ・トーキョー(当時はタレント・キャンパス・トーキョー)の受賞企画で、リリー・フランキーが出演、撮影監督に芦澤明子を迎えたジャヌス・ビクトリア監督の長編デビュー作「DIAMONDS IN THE SAND」の4作を上映する。
さらにプレイベントとして、これまでに紹介された500以上の作品の中から厳選した映画を上映する「今だけ、スクリーンで!東京フィルメックス25年の軌跡」がヒューマントラストシネマ有楽町で開催され、関連企画として、パレスチナへの連帯を示すために各国の映画監督や映像作家が短編映画や短編映像を作り(あるいは提供し)、それらを繋いだものを各地で紹介するプロジェクト「Some Strings」特別上映会、現代ドイツ映画作家シリーズ(特別編)ペーター・シャモニ 日本未公開作上映、アモス・ギタイ監督「家」三部作一挙上映がアテネ・フランセ文化センターで行われる。
また、会期中には映画分野の人材育成事業「タレンツ・トーキョー2024」も開催される。第25回東京フィルメックスは11月23日~12月1日、丸の内TOEI、ヒューマントラストシネマ有楽町で開催。チケットは11月2日正午から発売。スケジュール、詳細は公式HP(https://filmex.jp)で告知している。