第36回東京国際映画祭でワールドプレミア上映された「ゴンドラ」の日本版予告編が公開。コーカサス山脈の西、ジョージア(旧グルジア】の小さな村を舞台に、ゴンドラ(ロープウェイ)の乗務員であるイヴァとニノの、自由な創造力と小さな恋とユーモアあふれる復讐をのせた物語を紡ぐ。あわせて、ジェーン・スー、吉田恵里香ら著名人のコメントもお披露目された。
本作は、世界62の映画祭に招待され、10の賞に輝き、フランスでは12週のロングランヒットを続けているドイツ・ジョージア合作映画。「ツバル TUVALU」「ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を」など、“セリフなし”映画の名匠ファイト・ヘルマーが、「人生には少ないながらも素晴らしい瞬間がある。それを伝えるため、私の映画は、ある種のハッピーエンドにこだわる」という映画哲学をこめ、作り上げた。
予告編は、クレジットがゆらゆら、ゴンドラのように揺れて始まる。すれ違う2台のゴンドラでは、イヴァ(マチルデ・イルマン)とニノ(ニニ・ソセリア)が、奇想天外なやりとりを交わし合う。チェスで対決したり、ゴンドラの上から伸ばした網で果物をとったり、タップダンスを踊ったり。車椅子の乗客を、ゴンドラの下にロープで吊るして移動させるシーンも。「どこにも行けないけど、どこにも行ける」というテロップが切り取られ、セリフのない物語が想像力を刺激する。
「ゴンドラ」は、11月1日から東京の新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開。著名人、映画館スタッフのコメント(順不同)は、以下の通り。
■ジェーン・スー(コラムニスト/ラジオパーソナリティー)
美しいジョージアの景色も。村人たちの表情も、アテンダントふたりの行動も、そしてゴンドラ自身も、なにもかもが饒舌。私たちは、言葉以外でこんなにも心を伝えあっている。
■吉田恵里香(アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」、NHK連続テレビ小説「虎に翼」脚本家・小説家)
惹かれあい愛し合っていくニノとイヴァの姿を通じて「自由とは何か?」「規則とは何の為に存在するのか?」を気づけば自問していました。何を感じて、何が沁みたのかを観た人に聞きたくなる作品です。
■が~まるちょば(マイムアーティスト)
セリフがないのはセリフを必要としないから。音も音楽も、そして伝えるべき想いもキチンと映像に刻まれた、言葉に限定されない心のやり取りは、観ていて自然と楽しくなっちゃいます。
■ISO(ライター)
ファイト・ヘルマーが甘美な映像言語で紡ぐ、言葉いらずのクィア・ロマンス。行き交うゴンドラで奏でられる「どうやってあの人を笑わせよう」と思いを巡らす恋の歓びに、何度笑顔が溢れたか。
■櫻井知友樹(シネマカリテ/営業係)
セリフはないけれど、会話のキャッチボールの様に行き来するゴンドラが心地良い。ゴンドラの駆動音、村人の生活音、牛の鳴き声がジョージアの山間へと私たちを誘うヘルマーマジック!
■瀧川佳典(テアトル梅⽥/営業係)
85分という時間の中に美しい映像と音楽を乗せて、ぬくもり、いじわる、たくらみ、いたずら、ちいさな恋まで映画的滋味がたっぷり。引っ込み思案で高い所と狭い場所がちょっぴり苦手な方にぴったり。
■渡邉隆介(キネマ旬報シアター/番組編成担当)
小さなゴンドラが想像の翼を広げる、キュートで愛おしい物語。セリフがなくても豊かな世界にチャップリンやジャック・タチ以来の映画の素晴らしさを感じました。