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「踊る大捜査線 THE MOVIE3」今夜放送! あらすじ&キャストまとめ、亀山千広氏が説く青島イズムとは?

映画.com 2024年10月12日 20時0分

 国民的人気シリーズとして、日本実写映画興行収入記録を樹立した織田裕二主演「踊る大捜査線」シリーズの劇場版第3作「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」の4Kリマスター版が、本日10月12日午後8時から、フジテレビ系で放送されます。

 今回の放送は、「踊るプロジェクト」の最新映画2部作「室井慎次 敗れざる者」(公開中)、「室井慎次 生き続ける者」(11月15日公開)の封切りを記念したもの。映画.comでは、あらすじとキャストまとめをご紹介するとともに、シリーズの生みの親と言っても過言ではない亀山千広氏が今から12年前、シリーズ全てを総括するなかで明かしてくれた青島イズムの根源について、ご紹介します。

【あらすじ】
湾岸署管内で起きた最悪の連続猟奇殺人事件から7年。管内に空港や高速道路、変電所などを抱える湾岸署はテロ対策のため、高度なセキュリティシステムを導入した新湾岸署への引越しが決まる。強行犯係係長に昇進した青島は、引越し作業を一任されて張り切っていた。

しかし新湾岸署の開署式が3日後に迫るなか、金庫破りやバスジャックといった事件が次々と発生。さらに湾岸署から3丁の拳銃が盗まれ、殺人事件へと発展してしまう。湾岸署には特別捜査本部が設置され、警視庁と所轄をつなぐ管理補佐官・鳥飼とともに青島も捜査に乗り出すが……。

【キャスト】
青島俊作(湾岸署刑事課強行犯係係長警部補):織田裕二
室井慎次(警察庁長官官房審議官警視監):柳葉敏郎
恩田すみれ(湾岸署刑事課盗犯係巡査部長):深津絵里
真下正義(警視庁警視):ユースケ・サンタマリア
和久伸次郎(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長):伊藤淳史
篠原夏美(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長):内田有紀
小池茂(警視庁刑事部交渉課課長警視):小泉孝太郎
神田署長(湾岸署署長警視正):北村総一朗
袴田健吾(湾岸署刑事課課長警部):小野武彦
秋山副署長(湾岸署副署長警視):斉藤暁
魚住二郎(湾岸署警務課課長警部):佐戸井けん太
中西修(湾岸署刑事課盗犯係係長警部補):小林すすむ
緒方薫(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長):甲本雅裕
森下孝治(湾岸署刑事課盗犯係巡査部長):遠山俊也
木島丈一郎(警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査係警視):寺島進
爆発物処理班班長(警視庁警備部爆発物処理班班長警視):松重豊
草壁中隊長(警視庁警備部特殊急襲部隊警視正):高杉亘
鳥飼誠一(警視庁刑事部捜査一課管理補佐官警視):小栗旬

【亀山千広氏が12年前に語った製作秘話】

 03年7月19日に公開された劇場版第2作「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」は、興収173億5000万円、動員1260万人という数字が物語る通り、それまで20年間破られることのなった日本実写映画の興行記録、動員記録をともに塗り替えます。ただ、悲しい出来事も起こりました。和久平八郎という人気キャラクターを確立し、「踊る」シリーズの精神的支柱ともいえる存在だったいかりや長介さんが、劇場公開から9カ月後の04年3月20日に死去してしまいます。

 亀山氏は「これまで、どうしたらいいんだろうと考える局面で、いかりやさんみたいな方がいらっしゃると『何も考えずにやりゃあいいんだよ、客がいるうちは』と言ってくれていたんです。ひょっとしたら無理かもしれないな……という思いを払拭するのに3年くらいかかりましたね。あの頃、続編はもうないと感じていましたよ」と振り返ります。

 そんな折、警視庁から総務を通じて連絡があったそうです。江東区青海に開署する新たな警察署(前身は東京水上警察所)の名前を「東京湾岸署でいきたい」と打診があり、「僕らは映画を終わらせるつもりはないので、湾岸署という名称が使えなくなったら困る」と返したといいます。深い深い“迷いの森”をさまよっていた「踊る」シリーズに、大きな刺激を与えたのは、劇中の舞台である警視庁でした。

 「湾岸署がリアルな世界に本当に出来ちゃうのか。ひょっとしたら、リアルとオレたち『踊る』の話の世界というものを、ファンが違和感なく受け入れてくれた。それがもたらした173億だったのかなと思うようになったんです。そう思ったとき、だったら……、期待してくれている人がいるんだとしたら、やらなきゃいけないですよね。で、織田君に話をしてみたら、同じことを思ってくれていたみたいなんですよ。そこからまじめに考え始めました」

 08年3月31日の東京湾岸警察署開署式では、織田が青島俊作名義で祝電を寄せます。そして、これと連動する形で「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」の製作決定を発表。きっかけを与えてくれたこともあり、7年ぶりに復活する「踊る」の冒頭は、新湾岸署への引っ越しから始まることになります。

■7年ぶりの新作で生じた反省材料

 新作製作まで7年の月日を要したことで、製作サイドが今だからこそ明かす反省材料もいくつかあります。

 「余分なことを考えたことは事実。本来、『踊る』は『踊る』でシンプルに考えれば良かったのですが、いかりやさんがいない、織田君の年齢も上がってきている。役職などはリアルにやってきましたし、もっと言ってしまえば、警察官で所轄の刑事全員が10年間も同じ部署にいるなんてことは、まずない。でも、これだけ大きくなっちゃうと、おなじみの人がいないとね。やっぱり小さなことが気になり始める。だとすれば、そろそろ青島も後進を育てるようなポジションに入らないと。和久さんがやっていたある要素は青島、ある要素は室井が受け継がないとダメだろうということなったんです」

 当初は、いかりやさんに代わる年配の俳優をキャスティングすることも考えたそうですが、「その方が違和感あるでしょう? だったら、和久君という次世代の男の子を入れて、青島の背中を見せるという方法論でラスト3本をやっていこうとなったんです」。

 こうして、いかりやさん演じた和久平八郎は病死したことになり、甥・和久伸次郎(伊藤淳史)という新キャラクターが登場することなります。和久の形見である「和久ノート」を肌身離さず持ち歩き、やる気に満ちあふれた新人刑事です。

■今回最も意識したのは、青島イズム。 青島の根源って何だろう?

 公開日は10年7月3日。全国447スクリーンで封切られ、公開週末2日間で興収約9億7200万円、動員約70万人を記録。最終的な興収は73億1000万円で前作と比べるまでもないですが、それでも立派な数字です。亀山氏は、「僕らの意味づけとしては新しいシリーズが始まる第1話って考え方でしたが、単体として見ると欲求不満はいっぱい残っていたのかもしれません。いろいろなことを一度に変えすぎた。作り方について僕らが拙速にものを考えすぎて、悩んだ末にそうなっちゃったんでしょうね」と振り返ります。

 ただし、今回の完結編に向けた布石という観点もふんだんに盛り込まれています。「もともとの計画がドラマを入れて3本という前提があるなかで、絶対に第1話(THE MOVIE3)で整理しておかなければいけない点もあったんです。そういう意味では、今回で『踊る』を終息させるためのことは、ちゃんとできたと思う。今回最も意識したのは、青島イズム。青島の根源って何だろう? それを継承していくことが一番大事だと思っています」

■室井が語りかけるセリフ「彼の背中を見ていろ」

 織田が15年間にわたり演じ続けてきた、青島俊作。コンピュータシステムの開発会社でNo.1の成績を残した元営業マンで、刑事ドラマの刑事にあこがれて警察官に転職した変り種です。市民の安全を第一に考え自らの信念に従って行動するため、組織内のかばい合いや官僚主義を嫌悪し、指揮系統からはみ出して単独行動に出ることもしばしば。亀山氏は、「青島って組織にいながら自由に意見を言い、正義を貫く。ただ、それをベラベラとしゃべるやつでもない。つまり、仕事に対する責任感が全てなんですよ。警察官の最後の姿勢って何かと言えば、一般市民を守るために自らの正義感、責任感を100%まっとうすることなんじゃないかな。今回は、青島イズムみたいなところを、最後きっちりとお見せしますよ。青島君の言葉で言わせますが、それを全編通じて見せたいんです」

 今作の劇中、室井が青島の部下たちに語りかけるシーンがあります。「彼の背中を見ていろ」。亀山氏は、君塚の執筆した脚本を見て「これだ、これです」と口にしたそうで、「責任感って口で言うんじゃなくて先輩が背中を見せるしかないんですよね。部下や後輩が『またやるんですか?』と不平を口にしたときに、『いいからやるんだよ』と言って背中を見せる。東日本大震災のときに見せた自衛官の背中は、まさにそうでしたね。最初に現場に入って、ガレキの山の中を越えていく。ファイナルの劇中、青島が背中を見せる印象的なカットがありますが、それが青島イズムの継承なんです」と語気を強めます。

 青島は、今作でいわれのない嫌疑をかけられ、警察官という天職ともいえる職を奪われそうになります。思えば、シリーズ放送開始当初から、警察官であるがゆえに感じる無念さを青島たちは感じてきたといえる。そのたびに、彼らは気持ちを持ち直らせて立ち上がってきました。

 それが何かといえば、「ただただ仕事に対する責任感でしかないんじゃないでしょうか。結局、そこに戻っていくんですよね。織田君やキャストの皆ともきわめていい話し合いの機会が持てたし、青島イズム=『踊る』のテーマだと思うし、それを検証できたことはものすごく意味があった気がします。ファイナルにふさわしいかといえば、『毎回やってるじゃないか!』と言われたらそれまでなんですが、もう一度あえて自分たちで検証するのには、良い機会でしたね」

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