「行方不明展」「イシナガキクエを探しています」を手掛けた大森時生(テレビ東京)が、酒井善三監督とタッグを組み初プロデュースした新感覚BLドラマ「フィクショナル」が、11月15日から劇場公開されることがわかった。
本作は動画プラットフォーム「BUMP」で配信開始され、BL作品としては異例の緊張感あふれる不穏さで話題に。各界を代表する著名人からもコメントが寄せられている。
また、今回の劇場公開を記念し、酒井監督の前作である「カウンセラー」もリバイバル上映される。「カウンセラー」はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて、短編映画では初のSKIPシティアワード受賞という快挙を達成。全国劇場で公開されるなど、短編自主映画としては異例の反響を呼んだ。黒沢清監督が注目の若手監督の名前として酒井監督の名前を挙げ、「Chime」が「カウンセラー」の影響を受けたと語ったことでも知られている。
「フィクショナル」はシモキタ-エキマエ-シネマ K2、新文芸坐ほかで11月15日から公開。著名人のコメント、作品のあらすじは以下の通り。
■「フィクショナル」
うだつの上がらない映像制作業者・神保(清水尚弥)のもとに、ある日、大学時代の先輩・及川(木村文)から連絡がくる。憧れの先輩との共同業務に、気分が湧き立つ神保だったが、その仕事は怪しいディープフェイク映像制作の下請けであった。やがて迫りくる自身の「仕事」の影響と責任…神保は、徐々にリアルとフェイクの境目に堕ちていくのだった…
■著名人コメント
漫画家 浅野いにお
これは架空の物語ですが、確信を持って描かれる示唆的なラストに、自我を見失いつつある現代社会の縮図を感じました。混沌と不安、そしてやり場のない怒り。これは明日の自分の姿なのかもしれない。
小説家 背筋(「近畿地方のある場所について」「穢れた聖地巡礼について」著者)
虚実ない交ぜのこの世界。もしかしたら私たちは、情報に溺れたままのほうが幸せなのかもしれません。人がおかしくなってしまうのは、疑うことに気づいたときですから。
そのことに気づいた私は、もうおかしいのかもしれませんが。
小説家 高瀬隼子
自分の目で見て、耳で聞いて、頭で考える、その先にある「信じる」が驚くほど遠い。こんなに難しかったんだっけ、と頭を抱えている…この頭も本物だろうか? と疑ってしまう。根底からぐらぐらと不安定になる、じっくり見つめてほしい作品。
皆口大地(ゾゾゾ/フェイクドキュメンタリー「Q」)
この時代にまた一つとても危険な作品が生まれてしまった。ヒリヒリと皮膚を刺す様な穏やかな緊張感を終始張り巡らせ、この作品は優しくしかし確かに現実を蝕んでいく。
■「カウンセラー」あらすじ
ある心理相談室に勤める心理カウンセラーの倉田真美は妊娠6カ月で、産休前最後の出勤日だった。予定していた最後の相談者を見送った真美の前に、予約のなかった吉高アケミという女性がやってくる。やむなく相談内容だけでも聞くことにした真美に対し、アケミは「妖怪が見える」と語り始める。謎めいたアケミの口から語られる昏い物語は、聞いている真美の妄想を駆り立て、真美は次第に不安の渦に飲み込まれていく。
■著名人コメント
映画監督 黒沢清
40分ちょっとの中編だが、
これは凄い!近年最も不気味な映画と言っていいだろう。
全ての画面に恐怖と錯乱が張り付き、見ているこっちまで気が変になりそうだ。
映画監督 清水崇
かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまった……
脚本、構成、場所、キャスト、間合い、画、音響、全てに不安が張り詰め、
薄気味悪い空気が満ち満ちてくる──
かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまっ…あれ?
……気がしただけ?……マズい、憑り込まれる。
酒井善三監督、、、、凄い才能だ!ぎっちり憑り組まれた長編が観たい。