アメリカを代表するロック歌手、ブルース・スプリングスティーンの最新ツアーに密着したドキュメンタリー「ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド Road Diary」が、10月25日から、ディズニープラスで独占配信されることが決定。そこで、この記事では、スプリングスティーンをはじめ、クイーン、ザ・ビートルズといった“いぶし銀”ミュージシャンの真髄に迫る音楽ドキュメンタリー8作品をご紹介する。長年愛され、いまも輝きを失わない彼らの歩みとパフォーマンスを、秋フェス感覚でじっくり味わいたい。
●1.「ザ・ビートルズ Let It Be」
伝説的バンド「ザ・ビートルズ」が1969年1月に行ったセッション(ゲット・バック・セッション)と、彼らの最後のライブパフォーマンスとなったルーフトップ・コンサートの模様を記録し、解散までの歩みを描いた、翌70年製作の“幻のドキュメンタリー映画”。マイケル・リンゼイ=ホッグが監督を務め、「ザ・ビートルズ」メンバーの絆や当時の熱狂を映し出した音楽映画の傑作が、50年ぶりにフィルムの映像・音響の修復を経て、現代によみがえる。
ディズニープラスでは、ピーター・ジャクソンがメガホンをとり、エミー賞を複数受賞したドキュメンタリー映画「ザ・ビートルズ Get Back」も配信中。なお11月29日からは、マーティン・スコセッシが製作に名を連ね、「ザ・ビートルズ」が64年、初訪米した際の未曽有の熱狂を鮮明に映し出す完全新作ドキュメンタリー「ビートルズ ‘64」が配信される。
●2.「マッカートニー 3,2,1」
「ザ・ビートルズ」の元メンバーであるポール・マッカートニーが、伝説の音楽プロデューサーで親交が深いリック・ルービンを迎え、楽曲にまつわる制作秘話を一対一のインタビューで語る6話構成のドキュメンタリーシリーズ。各エピソードで取り上げられるのは、「ザ・ビートルズ」時代の革新的な作品群、解散後に結成し、70年代のアリーナロックを象徴する存在となった「ウイングス」としての活動、そして50年間に及び、いまも精力的に続くソロアーティストとしての軌跡など、多岐にわたる。マッカートニーが、いまは亡きジョン・レノンやジョージ・ハリソンとの出会いを振り返り、ギターとドラムを演奏する姿も見ることができる。
●3.「エルトン・ジョン・ライヴ Farewell From Dodger Stadium」
ライブ活動からの引退を表明し、世界規模の“お別れ”ツアーを開催したエルトン・ジョンが、2022年に行った北米での最後のライブを収録。会場はかつて、単独アーティストとしては初となる伝説的パフォーマンスで、全世界に衝撃と興奮を届けた聖地、ドジャー・スタジアム。約5万人のファンを前に、代表曲「YOUR SONG」(邦題:僕の歌は君の歌)、本人役でゲスト出演した映画「キングスマン ゴールデン・サークル」にも使用された「Saturday Night's Alright for Fighting」など、過去50年間の大ヒット曲を次々と熱演する。デュア・リパ、キキ・ディーら大物ゲストの出演からも目が離せない歴史的イベントを“最前列”で存分に味わうことができる、ファン垂ぜんのドキュメンタリーだ。
●4.「ボノ&ジ・エッジ A SORT OF HOMECOMING with デイヴ・レターマン」
グループとして最多となる、グラミー賞22回受賞を誇る世界的ロックバンド「U2」。そのメンバーであるボノとジ・エッジが、故郷であるアイルランドの首都・ダブリンを旅するドキュメンタリー。彼らと25年来の親交を築く人気司会者のデビッド・レターマンとともに、彼らの素顔やルーツに迫りながら、“ロック史上最強”と評されるボノ&ジ・エッジのパートナーシップがいかに構築されたかを紐解いていく。数万人規模のライブを行うことが多い彼らが、リラックスした雰囲気で貴重なパフォーマンスを披露する姿も必見だ。「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」で第86回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したモーガン・ネビルが監督を務める。
●5.「ボン・ジョヴィ:Thank You, Good Night」
1984年のデビュー以来、数々のヒット曲を世に送り出し、全世界累計アルバム売上は1億3000万枚を超える“ロックバンド界の生ける伝説”であるボン・ジョビ。現在も最前線を走り続けている彼らの華々しいキャリア、その裏側で生じるプレッシャー、世界ツアーの疲労が生んだバンド内の不和、ボーカルを務めるジョン・ボン・ジョビの声帯の不調など、紆余曲折のサクセスストーリーを4部構成で届ける、バンド初の公式ドキュメンタリー。人気絶頂で脱退したリッチー・サンボラ(ギター)も全面的に協力し、脱退した理由・経緯を初めて公の場で語る姿は見逃せない。100回を超える来日公演の実施、童謡「さくら」を引用した「Tokyo Road」の制作など、彼らの親日家ぶりにも注目したい。
●6.「ビーチ・ボーイズ ポップ・ミュージック・レボリューション」
1961年に結成され、いまもなお多くのミュージシャンに影響を与える伝説的バンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」の軌跡に迫るドキュメンタリー。「サーフィン・U.S.A.」を筆頭に、「アイ・ゲット・アラウンド」「カリフォルニア・ガールズ」といったヒット曲を連発し、西海岸の若者たちのカリスマ的存在となった彼らが、時代を先取りし、アメリカを代表するバンドに成長した歩みが、初公開の記録映像や、バンドメンバーと音楽業界の大物たちの新たなインタビューで紐解かれる。「ワンリパブリック」のライアン・テダーや、ジャネール・モネイら、いまをときめくスターたちが、偉大なる大先輩を称えており、その影響力の強さを物語っている。
●7.「QUEEN ROCK MONTREAL」
人気バンド「クイーン」が81年にカナダ・モントリオールで行った4度目の凱旋ライブの模様をおさめた映画。「We Will Rock You」「Somebody To Love」など、大ヒット曲を次々と披露し、爽快なパフォーマンスを繰り広げる。ライブでは、彼らにとって初めての試みとして、長編映画の撮影のために特別にアレンジされた最先端の録音機材を使用し、その最もみずみずしい姿を映し出すとともに、フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンの比類なき音楽性と、ボーカルの才能が呼応する様子をとらえた。同ツアーは、サポートメンバーを加えずメンバー4人で行った最後のツアーとなった。社会現象を巻き起こした映画「ボヘミアン・ラプソディ」(ディズニープラスで配信中)もあわせて楽しみたい。
●8.「ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド Road Diary」
“The Boss”の愛称で知られる米ロック界の重鎮、ブルース・スプリングスティーンと、過去50年にわたり世界中のツアーをともにした「Eストリート・バンド」が、23~24年にかけて実施したワールドツアーの舞台裏にスポットを当てたドキュメンタリー。貴重なリハーサル風景やバックステージ映像、スプリングスティーンのインタビューの模様など、彼らの伝説的なライブパフォーマンスの誕生秘話が明かされる。スプリングスティーン本人が、ナレーターも担当。これまで、スプリングスティーンに関する映像作品を数多く手がけてきたトム・ジムニーが監督を務める。
現在、ハリウッドでは、スプリングスティーンの伝記映画「Deliver Me from Nowhere(原題)」が進行中。6枚目のアルバムで、多くのミュージシャンが称賛するアコースティック作品集「ネブラスカ」の制作過程を描く内容で、「クレイジー・ハート」「ほの蒼き瞳」のスコット・クーパー監督が脚本と監督を兼ねる。スプリングスティーンを演じるのは、「一流シェフのファミリーレストラン」(ディズニープラスで配信中)でエミー賞の主演男優賞に2年連続で輝くジェレミー・アレン・ホワイトだ。