米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は10月27日(現地時間)、映画・テレビ製作向けの税優遇措置を現行の3億3000万ドルから7億5000万ドル(約1125億円)に倍増する方針を明らかにした。
ロサンゼルスのレイリー・スタジオで会見したニューサム知事は、「映画産業は生命維持装置が必要なほど危機的状況にある」と強い危機感を示した。昨年の長期ストライキ以降、撮影現場は低迷が続いており、業界関係者の間では将来への不安が広がっている。
製作現場の州外流出も課題となっている。ニューヨーク州は昨年、税優遇措置を7億ドルに拡大。ジョージア州では上限を設けず、年間10億ドル以上を投じて製作を誘致している。さらに英国やカナダ、オーストラリアなどの海外各国も、独自の支援策で製作を呼び込んでいる。
衣装デザイナー組合のブリジッタ・ロマノフ代表は、「組合員の中には仕事を求めて州外に移住せざるを得ない人もいます。このままでは映画産業を完全に失いかねない」と述べた。
今回発表された税優遇措置は、25年7月からの実施を目指す。特に他州から移転してくるテレビシリーズを重視する方針だが、リアリティ番組やポストプロダクション作業、俳優の給与は対象外となる。
カレン・バス・ロサンゼルス市長は「ニューヨークに負けるわけにはいかない」と意気込みを示したものの、業界復活の切り札となるかは予断を許さない状況だ。