映画「トッツィー」でアカデミー賞にノミネートされ、米人気ドラマ「フレンズ」など数々の作品で存在感を示した米コメディ女優のテリー・ガーさんが10月29日、ロサンゼルスで死去した。79歳だった。長年、多発性硬化症と闘っていたと、広報担当者が明らかにした。
芸能一家に生まれたガーさんは、父がコメディアン、母が名門ダンス集団「ロケッツ」の元ダンサーという環境で育った。17歳でダンサーとしてキャリアをスタートし、1974年のメル・ブルックス監督作「ヤング・フランケンシュタイン」で女優としてブレイク。その後、スティーブン・スピルバーグ監督の「未知との遭遇」(77)に出演し、ハリウッドでの地位を確立した。
最大の転機となったのは「トッツィー」(82)だ。ダスティン・ホフマン演じる主人公の恋人役を好演し、アカデミー賞助演女優賞にノミネート。この作品は興行収入1億7700万ドルを記録する大ヒットとなった。共演者のホフマンは「テリーはすべての面で輝かしく独特で、心も優しかった。彼女と仕事をしたことは、最高の経験のひとつだった」と追悼している。
90年代には人気ドラマ「フレンズ」でリサ・クドロー演じるフィービーの実母フェルプス役を演じ、新たな世代のファンを獲得。クドローは「コメディ演技の天才で、私に多大な影響を与えた存在。一緒に仕事ができたことを感謝している」とコメントしている。
2002年には多発性硬化症であることを公表。闘病しながら社会啓発活動にも取り組み、11年に引退するまで、アニメーション作品の声優なども含め幅広い活動を展開した。40年以上にわたるキャリアで、エミー賞やトニー賞にもノミネートされるなど、その実力は高く評価されている。