第96回アカデミー賞で日本映画として初めて視覚効果賞を受賞する快挙を成し遂げた、山崎貴監督作「ゴジラ-1.0」が本日11月1日午後9時から、日本テレビ系の金曜ロードショーで地上波初放送されます。映画.comではあらすじ、キャスト情報のほか、公開当時にネタバレも含めて山崎監督、神木隆之介、浜辺美波が語り尽くしたインタビューの抜粋もご紹介します。
タイトルの「-1.0」の読みは「マイナスワン」。日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品で、日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目となります。
日本では興行収入約75億9000万円の大ヒットを記録しましたが、2023年12月にはアメリカでも公開され、全米歴代邦画実写作品の興行収入1位を記録するなど席巻。第96回アカデミー賞での受賞は大きな話題となりました。第47回日本アカデミー賞でも最優秀作品賞ほか同年度最多8部門の最優秀賞を受賞しています。
【主要キャスト】
●敷島浩一(神木隆之介)
「……俺の……戦争が終わってないんです」
戦争末期、特攻隊員として出撃するものの、特攻できずに生還。空襲で両親を失い、焼け野原となった東京を孤独にさまよっていたところで、大石典子と出会う。徐々に生活に色を取り戻していくなかでも、自分が生き残ったことが本当に正しかったのかと苦悩する。
●大石典子(浜辺美波)
「生き残った人間は、きちんと生きていくべきです」
焼け野原の戦後日本を単身で強く生きる女性。空襲の際に、他人から託された孤児である赤ん坊・明子を、自分の手で育てることを誓う。敷島の「自分は生きていてはいけない人間だ」という苦悩の言葉に、悔しさともどかしさを抱えながら、強く励まし支える。
●水島四郎(山田裕貴)
「俺だってこの国守りたいんです」
戦争経験がなく、戦争の現実を知らない青年。少々無鉄砲なところもあるお調子者。敷島とともに、戦後の機雷除去作業を経験するなかで、ゴジラと遭遇する。
●橘宗作(青木崇高)
「あの日死んだ奴らもそう思ってたよ。みんな生きて帰ってきたかった」
元海軍航空隊整備部所属の、腕利きの整備士。敷島とともに、大戸島で謎の巨大生物に遭遇する。自分が率いる小隊が一夜にして全員亡くなるという悲劇に見舞われ、日本へ帰還する。
●野田健治(吉岡秀隆)
「今回の……民間主導の本作戦では、ひとりの犠牲者も出さないことを誇りとしたい」
戦時中は海軍工廠の技術士官として、兵器開発に携わっていた男。仲間たちからは“学者”と呼ばれる。機雷除去の仕事のなかで、ゴジラと遭遇。科学者として「海神作戦」を立案し、民間人だけでゴジラ討伐に挑む。
●太田澄子(安藤サクラ)
「大人は何食べたって生きていけるんだからさ」
敷島宅の隣に住む、空襲で子どもたちを全員失った女性。戦争が終わった直後は絶望の淵にあり、特攻できなかった敷島に冷たく当たっていた。敷島、典子、そして赤ん坊の明子を支えていくなかで、徐々に、本来の優しい性格を取り戻す。
●秋津淸治(佐々木蔵之介)
「小僧、戦争に行ってないっていうのはなぁ、とても幸せなことなんだぞ」
機雷除去の仕事を請け負う「新生丸」の艇長で、ゴジラ討伐でもリーダーシップを発揮。戦争の渦中でいろいろなことを経験してきた男。敷島、典子、そして水島のことを大切に思っている。
【ネタバレ含む3ショットインタビュー】
※下記インタビューには、「ゴジラ-1.0」に関するネタバレが含まれています。未見の方は、十分ご注意ください。
■「シン・ゴジラ」を意識した部分
――監督自身、たびたび前作の「シン・ゴジラ」(脚本・総監督:庵野秀明、監督:樋口真嗣)のすごさ、その“次”を監督することの大変さについて言及されていますが、本作の構想を練るに当たって「シン・ゴジラ」を意識した部分はありましたか?
山崎:「シン・ゴジラ」に関しては、僕は非常に好きで、よくできた作品だという思いもあったので「引っ張られてはいけないな」と思っていました。時代設定も違う作品ですし、ゴジラの造形に関しても「シン・ゴジラ」はキノコ雲がやってきたような形で、1作目のゴジラをさらにブラッシュアップさせたような造形だと思いましたけど、今回の「ゴジラ-1.0」はカッコいい形にしようというのもありましたし、あっちが政府主導の話だったので、こっちは民間主導の話にしたり。
時代背景から生まれてきた設定ではあるんですけど、あとになって考えてみると「シン・ゴジラ」とは違う方向に行こうとしていたのかなと思いますね。製作中はそこまで深く意図していたつもりはなかったけど、作ってみたら「シン・ゴジラ」から離れようとしていたと感じる部分はありました。
――「シン・ゴジラ」が国家、組織としてゴジラという危機にどう対処するかを描いているのに対し、本作は戦争という究極の“国家への奉仕”を終えた直後ということもあり、個人の幸せや戦う理由を描いているように感じました。
山崎:そこに関しても、初代「ゴジラ」がプライベートの話とゴジラの話が非常に上手くリンクしていた映画だったので、あれをやらなくちゃいけないなと思っていました。神木くんと浜辺さんに演じてもらった敷島と典子の関係、敷島が背負っているいろんな思いみたいなものが、「対ゴジラ」に向かっていく時にどういうふうにエンジンになっていくかということは、脚本を書きながら非常に意識していましたね。
■神木隆之介と浜辺美波のキャスティング秘話
――神木さんと浜辺さんをキャスティングした理由についても教えてください。
山崎:昭和っぽい人たちにやってもらいたいなと(笑)。昭和感のある2人――もちろん現代でも全然いけるんですけど、昭和の舞台の中に置いた時に非常になじむ、自然と風情に溶け込む力を持っているなと思いました。
お芝居がちゃんとできないと怪獣って存在できないんですよ。こちら(人間)側の恐怖が伝わってこないと、怪獣は絵空事になってしまうので。お芝居ができることは前提として昭和の世界になじむ、そして、ゴジラとちゃんと対抗できるキャラクターを持っている人ということでお願いしました。
――お2人は“昭和っぽさ”を自覚されている部分は…?
神木:全くないです(笑)。初めて言われましたよ! 思いきり平成生まれですからね。何がそうさせたのかわからないですけど……。ただ、そう言っていただけるというのは、それだけ年代の幅も広がるので、ありがたいですけど。
山崎:(朝ドラで)大正にもいたでしょ(笑)?
神木:明治からいましたよ(笑)。ここ最近、明治、大正、昭和にずっといて、令和どころか平成にも届いていないので(笑)。そろそろ現代に戻りたいですけど…。
浜辺:自分の体形はすごく昭和っぽいのかなと思います。イマドキの手足が長くて身長が高い若い子の特徴はあんまりなくて(笑)、着物が似合うタイプなので、それは助かりました。
――戦争から“生きて還ってきてしまった”敷島、戦後の混乱の中を強く生き抜こうとする典子を演じるにあたって、どんなことを意識されましたか?
神木:敷島が典子をどう思っているか? という部分は、実はすごく大事なポイントだったのかなと思います。戦争からああいう形で戻ってきた敷島が「生き延びてしまった」という罪悪感にさいなまれる中で、典子が無理やり家に押しかけてきて、最初は拒否していたけど、徐々に典子の存在が敷島にとって大切な存在になっていく――典子の存在が希望や支えになっていくのは、敷島にとってすごく大きな変化であり、その関係性は丁寧に表現できたらと思っていましたね。
「失いたくない」と思うというのは、その存在が日常になっているということですよね。特別な思いというよりも、彼女がここにいることが当たり前、敷島の日常であり、心地よいものになってきた…というところまで行かなきゃいけないんだなと思っていて、“夫婦”らしさみたいなものを意識していました。
浜辺:まずは戦後という時代、皆が一度は絶望を味わった、傷がまだ癒えていない時代に強く生きる女性という役どころだったので、自分の中で「生きてこそだ」という明確な思い、逃げそうになってしまう時に「生きる」ということにしがみつくようなブレない芯を育てていきたいなと思っていました。
そこはいまの時代、コロナ禍で心が折れそうになったり、みんなの心が弱くなった時に、どうにか自分を保とうとする心の持ち方みたいなものとも共通するなと感じながら演じていました。
――2人が共に生きていこうとする中で、明子という血のつながらない赤ちゃんが大きな存在となります。典子が明子を「自分が育てる」と考えるに至った心情については?
浜辺:明子との出会いや典子が育てるに至った経緯について、映画の中では描かれていないのですが、だからこそ自分の中で「こんな思いがあったんじゃないか?」という想像はしていました。自分が絶望の淵にいる時に、赤ちゃんという絶望を知らない存在――生きようとする“希望”の輝きに引っ張られる部分もあったでしょうし、自らを明子に託すような、どこか使命感のようなものを典子は感じてたのかなと思います。
■“東宝女優”感が強く出ていた“あのセリフ”
――印象的なセリフと言えば、典子の「あれが、ゴジラ…」も外せません。
浜辺:あのシーンも何回かやらせていただいて、監督からは「ゴジラに対する恐怖感をもっと出してほしい」ということは言われました。典子にとってもゴジラと顔を合わせるのは初めてだったので…。
神木:「はじめまして」と(笑)。
山崎:「お話は聞いてます」って(笑)?
浜辺:ゴジラという存在に対する事前情報が何もない中で、抽象的な「何なのかわからない恐怖」という認識で表現しました。終わった後に監督からは「東宝ぽかったよ!」って褒めていただきました(笑)。「ここは(予告編やCMで)使われるよ」と。
山崎:タイトルコールですからね。「あれがゴジラ」というセリフを含めて、あのカットは往年の“東宝女優”感が一番出ているなと思います(笑)。
神木:歴代の東宝女優さんたちが印象的なセリフを口にされてきたじゃないですか? じゃあ、浜辺の中で今回のあのセリフは何点ですか(笑)?
浜辺:何点…(笑)? もちろん、昭和のシリーズとはまたお芝居が違うと思いますので…そうですね、令和では一番なんじゃないかな(笑)。
山崎:1本しかないわ(笑)!
神木:M-1の1組目みたいな(笑)。
山崎:「暫定1位」的なね(笑)。
■次のゴジラ映画は「また俺が作る」
山崎貴監督からの挑戦状
神木:ひとつ質問していいですか? 庵野さんが「シン・ゴジラ」を作って、山崎さんが「ゴジラ-1.0」を作って、それこそ、いま監督がおっしゃったように、時代が求めることでゴジラ映画が作られるのだとしたら、山崎監督が次のゴジラ映画を作ってほしいと思う同世代や後輩世代の監督は誰ですか?
山崎:また俺が作ります(笑)!
神木:めちゃくちゃ我がものにしていますね(笑)! 「続・ゴジラ ALWAYS 四丁目の朝日」になるじゃないですか(笑)!
山崎:「力づくで取りに来い!」という感じですね。いま、ボールはここにあるので、そう簡単には渡さねぇぞって(笑)。
神木:いいですね、山崎貴からの挑戦状!
山崎:だってゴジラ映画って楽しいんだもん、本当に。