東京・日比谷、銀座、有楽町エリアで開催されている第37回東京国際映画祭で11月2日、TIFFシリーズ部門「外道の歌」のワールドプレミア上映が有楽町よみうりホールで行われ、窪塚洋介、亀梨和也、南沙良、白石晃士監督が舞台挨拶に立った。
雑誌「ヤングキング」で連載された「善悪の屑」とその続編「外道の歌」を実写化した本作は、法の裁きから逃れた凶悪事件の加害者に対して、被害者や遺族に代わって壮絶な復讐をもって裁きを下す復讐屋コンビを描いたクライムサスペンス。TIFFシリーズ部門は、テレビ放送やインターネット配信などを目的に製作されたシリーズものの秀作を日本国内での公開に先駆け、スクリーンで上映する部門となっている。
この日の天気が雨だったことを踏まえ、「作品によく似合う雨が降っておりますが、足元悪い中、ご来場いただきましてありがとうございます。お楽しみに、という内容ではないとは思いますが、じっくりと堪能していただければと思います」と挨拶した窪塚。亀梨も「今日は初めてのお客さまを前に高揚しております」と続け、南も「こういった場で観ていただけることをうれしく思います」と晴れやかな表情。そして最後に白石監督が「3人の皆さんの輝きを浴びながら、まぶしい思いをして撮影をして、日々ふわふわしながら撮影に臨んでおりました。でも完成した作品はふわふわしていなくて。ビシッとしているので、心して観ていただけたら」と呼びかけた。
強烈なテーマの物語ということで、「原作を2巻目くらいまで読んで、出たくないなと思いました。あまりにも凄惨な内容で、ちょっと原作者の渡邊(ダイスケ)さんのことも嫌いだったんですよ」と正直な思いを吐露した窪塚。「でもマネージャーから、あと1巻だけ読んでくれと、そうしたら作品の意味が分かるからと言われたので、こういうことになり。亀ちゃんとコンビを組んで、今日ここに至ることになるんですけど、やはり何が正義で、何が悪かということって、視点によっても違うし、状況によっても移ろいやすかったり、不安定なものだったりするんですが、それを見事に作品にしている。それに対して答えはないと思うんですが、その中でもどう感じるかというのが、この作品をやる意義なのかな。だから皆さんに委ねるしかなくて。俺と亀ちゃんでも違うだろうし。その答えはそれぞれに感じてもらえたらいいかなと思います」と呼びかけた。
亀梨も「作品は、原作もそうですけど、目を背けたくなるような出来事が起こりますが、このあたりがこの作品が持っている深いテーマだったりもするので、皆さんも心して観ていただきたいなと思います」と注意を呼びかけるも、「初めて共演させていただいて、こういった作風の作品ではあるんですが、現場はとてもおだやかな時間をしっかりとつくっていただけましたし、メリハリがある現場を、先頭で引っ張っていただいたので」と窪塚に謝意。「そりゃお互いさまだから。亀さんには……」と返した窪塚に、「“亀ちゃん”から“亀さん”に昇格した」と大喜びの亀梨は、窪塚とハイタッチ。会場からは大きな拍手がわき起こった。
そしてあらためて「皆さんもご存じだと思いますけど、役に向かう姿勢が本当にすばらしいんですよ」と会場に呼びかけた窪塚は、「だから俺も頑張らないとな、と本当に思いましたし、すごくいい刺激をたくさんもらった。それに現場を引っ張ってくれたと言うけど、俺からしたら“人”という文字の上側が俺だった。下側が亀ちゃんだった」と語るや、“人”という文字の上側のポーズをとり始めた窪塚。そこにすかさず亀梨が下側のポーズで窪塚を支えてみせて、“人”という文字を完成させた。そんなふたりのやり取りに、会場からも惜しみない拍手が送られた。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。